↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/20

18.戦う理由

☆☆☆


「お前らは鍛錬場の方へ行け。俺以外のみんなか、オリーナ先生がそこにいるはずだ。あそこなら、少なくともここよか安全だからな。」


ナイフをしまい、一ノ瀬を女子たちのほうに投げながら、そういって背を向ける。


「ちょ、ちょっと待て!お前はどうするんだ!?一緒に行かないのか!?」


「お前たちだけで行け。俺はあっち行かなきゃ。」


そういって、いまだ爆発音が聞こえる方角を指さす。


「無茶だ!勝てっこない!こいつらでさえ強いのに、ここにはもっと強い奴がいっぱい...!それこそ俺たちの居住区をぶっ壊したやつだっているのに...!」


「かもな。でも俺は戦うよ。ソフィアさんに任されたんだ、ここを守り通さなくちゃ。」


「なんでだよ!?死にたいのか!?命が惜しくないのか!?あいつらの命令が、命より大事だってのかよ!!」


俺はふっと笑って振り返った。


「命令?違うな、俺は誰かに指図されて動いてるわけじゃない。これはただのわがままだよ、俺の。ソフィアさんたちは国の外で命かけて戦ってる。少しでもそれに報いたい、あの人達の代わりにこの国を守りたいっていう、俺のエゴだ。誰に頼まれたわけでも、ましてや正義感でもない。」


「な..何よそれ、それで死んじゃったら意味ないじゃない!何もしてない私たちをあざ笑う気!?」


「私たちはただ生き残りたいだけなの!」


一ノ瀬の取り巻き女子たちが声を上げる。話が通じないやつっているんだな、と思いながらため息をつく。


「別にお前らにどうこういう気はないさ。何と言われようと生き残る、それも大事なことだ。とりあえず、俺は行くから。お前らも気をつけてな。」


そういって去ろうとした時、声が聞こえた。俺や一ノ瀬たちのものじゃない、低い声。どうやら魔物の一体が目を覚ましたようだった。俺が最後にぶっ叩いたやつだった。ちょっと力が弱かったか?


「う、ぐ...な、これは...!う、動けん...!」


俺はまたため息をつく。まあ、この分なら害はないだろう。どうせ動けないし。それより、次の場所へ向かわなければ。


そうしてその場を離れようとし...すぐナイフを抜いて、一ノ瀬の剣を弾き飛ばした。


「がっ!?お、お前なにを...!!」


そのまま首襟をつかんで壁に追いやった。


「がっ...!?」


「お前、何をしようとした?」


俺は一ノ瀬を睨みながらそういう。


「何って、魔物を...!!」


「殺そうとしたのか?なぜ?」


「なぜって、さっき言っただろ!クラスメイトの大半が、こいつらに殺されたんだ!だから...!」


そういってわめく一ノ瀬の首にナイフをつきつける。


「あいつらは、こいつに殺されたのか?こいつが建物をぶっ壊したのか?違うだろ?」


「そ、それは...でもこいつらの仲間が!」


「そうやって互いに憎み合って、できあがったのがこの世の中だってのがなぜわからない?こいつが殺されたら、こいつの家族がお前たちに復讐に来る。それで仲間が殺されたら、またお前たちは魔物を恨むだろ。いいか、こんな最悪の堂々巡りが続いていいはずがない。ここらで断ち切らなきゃ。」


「でも...それじゃあいつらが報われない...!あいつらの命を無駄にすることに...!」


「無駄にしないように、お前らがこんな世の中を断ち切るんだよ。これ以上犠牲を出さないようにな。」


俺は一ノ瀬からナイフを放し、突き飛ばした。


「一時の感情に飲まれるな。お前らなら乗り越えられるって、信じてるからな。」


そういって俺は、その場を後にするのだった。


「何なんだよ、あいつ...!前まで全然パッとしなかったのに、正義ぶりやがって...!」


そんな悪態を背に受けながら。


☆☆☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。