18.戦う理由
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「お前らは鍛錬場の方へ行け。俺以外のみんなか、オリーナ先生がそこにいるはずだ。あそこなら、少なくともここよか安全だからな。」
ナイフをしまい、一ノ瀬を女子たちのほうに投げながら、そういって背を向ける。
「ちょ、ちょっと待て!お前はどうするんだ!?一緒に行かないのか!?」
「お前たちだけで行け。俺はあっち行かなきゃ。」
そういって、いまだ爆発音が聞こえる方角を指さす。
「無茶だ!勝てっこない!こいつらでさえ強いのに、ここにはもっと強い奴がいっぱい...!それこそ俺たちの居住区をぶっ壊したやつだっているのに...!」
「かもな。でも俺は戦うよ。ソフィアさんに任されたんだ、ここを守り通さなくちゃ。」
「なんでだよ!?死にたいのか!?命が惜しくないのか!?あいつらの命令が、命より大事だってのかよ!!」
俺はふっと笑って振り返った。
「命令?違うな、俺は誰かに指図されて動いてるわけじゃない。これはただのわがままだよ、俺の。ソフィアさんたちは国の外で命かけて戦ってる。少しでもそれに報いたい、あの人達の代わりにこの国を守りたいっていう、俺のエゴだ。誰に頼まれたわけでも、ましてや正義感でもない。」
「な..何よそれ、それで死んじゃったら意味ないじゃない!何もしてない私たちをあざ笑う気!?」
「私たちはただ生き残りたいだけなの!」
一ノ瀬の取り巻き女子たちが声を上げる。話が通じないやつっているんだな、と思いながらため息をつく。
「別にお前らにどうこういう気はないさ。何と言われようと生き残る、それも大事なことだ。とりあえず、俺は行くから。お前らも気をつけてな。」
そういって去ろうとした時、声が聞こえた。俺や一ノ瀬たちのものじゃない、低い声。どうやら魔物の一体が目を覚ましたようだった。俺が最後にぶっ叩いたやつだった。ちょっと力が弱かったか?
「う、ぐ...な、これは...!う、動けん...!」
俺はまたため息をつく。まあ、この分なら害はないだろう。どうせ動けないし。それより、次の場所へ向かわなければ。
そうしてその場を離れようとし...すぐナイフを抜いて、一ノ瀬の剣を弾き飛ばした。
「がっ!?お、お前なにを...!!」
そのまま首襟をつかんで壁に追いやった。
「がっ...!?」
「お前、何をしようとした?」
俺は一ノ瀬を睨みながらそういう。
「何って、魔物を...!!」
「殺そうとしたのか?なぜ?」
「なぜって、さっき言っただろ!クラスメイトの大半が、こいつらに殺されたんだ!だから...!」
そういってわめく一ノ瀬の首にナイフをつきつける。
「あいつらは、こいつに殺されたのか?こいつが建物をぶっ壊したのか?違うだろ?」
「そ、それは...でもこいつらの仲間が!」
「そうやって互いに憎み合って、できあがったのがこの世の中だってのがなぜわからない?こいつが殺されたら、こいつの家族がお前たちに復讐に来る。それで仲間が殺されたら、またお前たちは魔物を恨むだろ。いいか、こんな最悪の堂々巡りが続いていいはずがない。ここらで断ち切らなきゃ。」
「でも...それじゃあいつらが報われない...!あいつらの命を無駄にすることに...!」
「無駄にしないように、お前らがこんな世の中を断ち切るんだよ。これ以上犠牲を出さないようにな。」
俺は一ノ瀬からナイフを放し、突き飛ばした。
「一時の感情に飲まれるな。お前らなら乗り越えられるって、信じてるからな。」
そういって俺は、その場を後にするのだった。
「何なんだよ、あいつ...!前まで全然パッとしなかったのに、正義ぶりやがって...!」
そんな悪態を背に受けながら。
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