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54話 コウジ VS 10名の武装集団

「え・・・?!どうして・・・!」

倉庫内に侵入する前の確認時には確かにいなかったためその事実に驚愕していた。


「おそらくさっき倒したナイフ男の叫び声で集まってきたんじゃ。プレハブ小屋のドアを開けっぱなしで戦闘してしもうたせいで声が聞こえたんじゃろうなぁ。あやつ、仲間に知らせるために叫び声をあげたんじゃろうなぁ。それをさせる隙を与えたワシのミスじゃ・・・」

自分のミスで面倒なことになってしまったという、プロとしての未熟さによる困り顔の表情、いや恥ずかしそうな表情と言った方が正しい。


「敵でも見えたの・・・⁈」


「いんや・・・視線で分かったわい。距離を図っている様子もあったから見てはおらんが銃も間違いなく持っておるよ。その証拠に桃子がロープで倉庫に降りている間に、ここに置いてあった段ボールを動かして、人が隠れられそうなところ塞いでおったんじゃが動かされておる」

視認せずに敵の装備を把握したことへの驚きもあったが、それよりも順調に計画が進んでいたところから、敵に囲まれている状態に焦りが生まれていた。


「まぁ・・・Rがボスの組織じゃ。そう簡単には帰してはくれないとは思っておったからのぉ・・・想定内じゃよ」

そう言いながら、空気を掴むように両手の指をグイグイと曲げては伸ばしてを繰り返しながら、骨をポキポキと鳴らしていた。


「のぉ桃子・・・外の敵じゃけれども・・・やるぞ?」


「・・・っ!」

それはつまり「殺してもいいか?」と言う許可を取った。母親が聞いている可能性があるため、コウジなりに気を遣っての言い方だった。


「うん・・・しょうがないよ」

綺麗事を言ってられない。自分たちの命を守るための判断としてそう答えた。


「良かったわい・・・それなら全く問題ない。手加減して戦うとなるとさすがにワシでもやられるかもしれんからのぉ」

そう言うと、小屋内で倒れている男達の体を弄り、持っていた銃を抜き取っていた。そして「念の為・・・」と言いながら銃に細工がされていないかを確認し、問題なく使用が可能と分かると、空いているホルスターに先ほど抜き取った敵の銃を差し込んだ。


「ええか桃子。母親と一緒に小屋の中で待機しておくれ・・・片付けてくるわい」

そう言うと、ドアノブに手を掛けたその時「おっと!」と思い出したかのような声をあげていた。


「ええか・・・?再三にわたるが確認するが・・・」


「自分の身が危険に感じたら絶対に・・・でしょ?」

コウジのセリフに被せる様に、言おうとしていたことを先回りして言った。


「・・・分かってるならええんじゃよ」

そう言いながら、握っていたドアノブを回したその時、「待って!」と声をかけた。


「・・・どうしたんじゃ?」

顔を振り向かずにドアの方向を向きながらこちらに尋ねた。


「お願い・・・無事に帰ってきてね・・・?」


「・・・」

こちらの声掛けに驚いた様な表情をしていた。


「ど、どうしたの・・・?」


「いや・・・他人から心配の声をかけられたのが初めてじゃったもんだから・・・つい驚いてしもうたわい」

そして、驚いた表情から徐々に笑みが浮かび上がっていた。


「クックック・・・桃子よ・・・ワシがこんな奴らに遅れを取るわけないじゃろ・・・」

その言葉の意味を誤解なくコウジにも伝わった様子だった。


「ここまで5分・・・」

ボソッと独り言のようにそう言うと思わず「え?」と聞き返した。


「ここまで5分経過した・・・計画通りに進めることを考えて1分で外の奴ら殲滅してくる。それ以上時間をかけると、Rもこっちに来るかもしれんしのぉ。出不精のあいつが来るのは低い確率じゃが」

くるりと顔をこちらに向けて振り向いた。その表情は初めてコウジに会った時と同じく戦闘を楽しんでいるニコニコとした表情に一瞬背筋がゾクっとした。


「(今だから分かる・・・この人の恐ろしさを・・・)」

これまでの特訓をしてきたらこそ、ある種同業者としての目線でコウジの戦闘力に尊敬と畏怖を持っていた。とはいえ、Rと遭遇するのはリスクがあると判断しているようで、その辺りの冷静さは保っている様子だった。


「これからのワシの戦闘は勉強になるはずじゃ・・・小屋の窓から見ておれ」

そう言い、ドアを開け小屋の外に出た。


「さぁて・・・」

そう言うと、倉庫内を見渡すと人影のようなものは見えないが、明らかに複数の視線を感じていた。


「お前ら!!!」

急に大きな声で敵にそう伝えた。声に出す様な反応はしていなかったが、明らかにコウジの声に動揺するような空気が感じ取れた。口調もいつものような老人が話す喋り方ではなく、ドスのきいたヤクザの様な声だった。


「分かっておると思うが小屋内の男達は始末した!お主達ももそうなりたくないだろ⁈」

そう言いながら持っている銃を天井に向けた。


「今から10秒カウントする!10秒以内にこの倉庫から出て行けば命は助けてやる!出て行かないやつは近くにいる人間から順番に消す!」

そう言うと、「いち!」と大きな声でカウントを開始した。


「・・・」

その場の空気が僅かにざわついていた。そのままターゲットを襲うか、トランシーバーでの指示を待つか、はたまたプレハブ小屋の中にいた男達の様になりたくないという理由で逃げるか、各々がこの後のアクションについてどうするべきか思考を回していた。


「・・・くっ!」

その時、小さな発声が聞こえたかと思うと、前方斜め前の段ボールの上から、銃を構えた男が上半身のみを出していた。


「パンッ!」

一発分の銃声が倉庫内を響かせた。


「・・・撃つのが早すぎる上に、俺から見えやすい場所で位置どりしてるのはいただけんな」

銃声の出どころは敵ではなく、コウジの持っている銃からだった。天井に向けた銃が一瞬で敵に向けられていた。銃口からは微かな白い煙が出ており、男はそのまま崩れる様にして倒れた。


「うわぁあぁあぁ・・・!」

狙撃された男の近くに仲間がいたのか、物陰からその様子を見ては恐怖で喚き声が聞こえてきた。


「そこにもいるな・・・」


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