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37話 山から帰還

「さて・・・ちゃんと生活できておるかのぉ・・・」

あるお昼下がりの時間帯、そコウジは山の中に入っては桃子を探していた。

最初に自分が拠点を作った地点に向かうも、その拠点が壊れていたため、桃子はクマに遭遇したことも理解した。


「フォフォフォ・・・桃子め、クマ吉と遭遇したか・・・」

そう言いながら、小川の方へ向かう道に人の痕跡があったため進んでみると、小川が石と木の枝でせきとめられている状態で発見した。


「ちゃんと考えて生活をしている様だのぉ・・・」

そう言いながら、そこからさらに人の痕跡を探しては、その方向に歩いて行った。すると僅かに小さい煙が遠くから登っているのを発見した。


「あ・・・コウジさん・・・‼︎」

奥へ進むと、桃子が焚き火でお茶を作りながら、焼き魚を昼食に摂っていた。川で体とつなぎと下着を洗ったばかりのようで、つなぎと下着を焚き火で乾かしていた。

そして、その代わりとして葉っぱで作った下着を水着のように胸と股間部分に装着していた。


「元気じゃったか・・・?桃子よ」


「ヒ、コウジさん・・・!」

そういうと桃子は、涙目になりながら声を震わせていた。


「おぉ・・・そんなに寂しかったかのぉ・・・⁈」

そう言うと、小さい我が子を抱きしめるようにして両手を広げていた。


「・・・来るのが遅い!!!死にそうになったのよぉ!」

そう怒りながら、桃子はこちらの胸を両手で掴み、ぐらぐらと振り回した。

その時、山籠りを始めた時と比べて明らかに筋力がついていることが分かったが、本人は自覚がなさそうだった。


「も、桃子・・・思ったよりもかなり元気そうじゃの・・・安心したわい・・・」


「だ・か・ら!死にそうだったって言ってるでしょ⁈なんとか追い払ったから良かったけど、クマに数日前に襲われて戦ったんだからね!」

桃子が鼻息荒くしながら怒鳴り声をあげていた。


「クマと戦った・・・?自力で何かクマにやったんか・・・⁈」


「うん。枝に毒草を塗ったナイフをくくり付けて、攻撃して追い払ったわ!あの時は死ぬかと思ったわよ・・・」

そう桃子が言うと、先ほどまで怒っていた顔が徐々に泣きそうな顔になっていた。なぜそのような顔になったのか、クマに襲われた時の不安と恐怖を思い出したのか、久しぶりに人と話すことができた安心なのかは本人にも分からなさそうだった。


「よく自力でクマと戦ったのぉ・・・」


「だって・・・最初は逃げてたけど、ずっと追いかけられそうだったから・・・」


「クマはライオンなんかよりも強い・・・ワシがまともに戦っても勝てないんじゃぞ?よく生き残れたもんじゃな・・・」

その言葉を聞いた桃子は、クマと対峙した時のことを思い出している様子だった。


「あはは・・・そんなやばかったのね・・・クマって・・・」

力のない渇いた笑いを出していた。自分は相当無謀なことをしていたのだなと思っていた。


「でも無事1ヶ月生活しきった。最初にしては十分じゃよ。さあ家に帰るぞ」

そう言うと桃子に手を差し伸べた。その差し伸べた手を桃子が見ると、次にコウジの体全身もジッと見ていた。


「ん?」

家から来た割には服がそれなりに汚れているのに気づき、違和感を感じた。


「どうしたんじゃ?ジロジロ見おって・・・」


「服が汚れてるけど・・・まさか家に帰らないで山で生活してたの・・・⁈」


「お、よく分かったのぉ!見た目は綺麗にしていたつもりじゃったから気づかれないと思っとったよ。桃子が拠点にしている場所よりさらに上で生活しておったよ」

もちろん一緒に山に入った時は持ち物を持っていた訳でもなかったので、同じ条件でサバイバルをやっていたのは間違いなかったのだが、その割にはかなり綺麗ではあった。


「てっきり家に帰ってるかと思った・・・」


「たった1ヶ月山の中で生活するなんて、昔した海外でのジャングルで活に比べれば大したことないわい・・・」


「ジャングルで生活って・・・その時はどれくらいの期間を生活してたの・・・?」


「どれくらいじゃったかな・・・多分・・・1年くらいじゃったと思うぞ?」


「い、1年!!」

コウジの言葉を聞いて、大きな声をあげていた。


「あの時は敵から追われながらのサバイバルじゃったから、敵が襲ってくるわ、罠がそこら中に仕掛けてあるわで大変じゃったわい・・・思い返してみるとよく生き残ってこれたともんじゃのぉ〜・・・」


「・・・もう早く帰りましょう」

コウジの話を聞いては、その生活を想像した桃子は、気が滅入っていた。


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