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30話 サバイバルの鉄則

「さて・・・ここからさらに山奥に入って行くが、獣道をずっと進むから、周りや足元に気をつけるんじゃぞ?」

そうコウジが言うと、サバイバルナイフを持ちながら、雑草が生い茂っている道に見えるようなところを進んでいった。


「(こ、こんな場所を進むの・・・⁈)」

虫が苦手なため、生理的に体が拒否をしていたが、諦めるかのようにコウジが作ってくれている道を進んでいった。


「歩きながら説明するが・・・山の中で生活をする上で必要なものは何か分かっておるか?」


「必要なもの・・・食料とか、水とか・・・?」


「あっておるが基本として4つある。食料・水・火・拠点、拠点はいわゆる寝床じゃな。テントを持っていってない以上、拠点も自分で用意せにゃならん」


「は、はぁ・・・」

今までサバイバル生活をすることなんて全く考えてこなかったため、どのように生活をしたらいいかをずっと考えていた。


「フォフォフォ・・・考えることが沢山あるじゃろ?山の中で生活をするということは、ただそれだけで修行になるんじゃよ。食料や水を正しく探して、寝床もその時の環境に合わせて作らないといけない。なんならどこに拠点を作るかもしっかり考えないといけんからのぉ・・・」


「・・・ゴクッ」

苦手な虫もだが熊も出ると聞いている山の中で、果たしてちゃんと生活を送ることが出来るのか、不安が募っていた。


「さて、この辺りでええじゃろ」

3時間ほど山の中を歩き、開けた場所を見つけた。雑草は生い茂ってはいたが、今まで歩いていた場所に比べれば地面も平たかった。


「はぁ・・・はぁ・・・」

舗装されている道ならともかく、足元がでこぼことした雑木林を無理やり突き進んだせいで、両足が棒のようになるほど疲れ切っており地面に座り込んでいた。


「コラコラ・・・ここからやっとスタートするんじゃぞ?夜になる前に食料と水を多少は調達せんと」

そうコウジが言うと、辺りを見渡していた。


「・・・お、あったわい」

地面に落ちているものを拾い上げた。それは捨てられたペットボトルだった。


「こんなところにゴミが捨てられてるなんて・・・」

「この辺りは開けておるからのぉ・・・おそらく元々はキャンプ場として使用されておったんじゃろうなぁ。それにしてもゴミくらい持ち帰らんかい・・・」

コウジがブツブツ言いながら歩いていると、同じようにまた何かを発見していた。


「それは・・・空き缶?」


「これは良いものを見つけたわい・・・これを桃子にやるからリュックに入れておくんじゃ」

そう言いながらこちらに拾ったゴミを差し出していた。


「え?こんなゴミ、何に使うの・・・?」


「確かに普通だったらただのゴミじゃが、サバイバルにはとても重宝するアイテムになる・・・」

そうコウジが言うと、桃子が背負っていた空のリュックの中に入れようと手を入れた。


「・・・ん?」

コウジがリュックに手を入れると、何かに気づいたように手をリュックから出すと何かを持っていた。


「これは財布かのぉ?置いてこなかったんか?」


「あ・・・そういえば家に置き忘れてた・・・」

コウジに言われるまで自分でも気づいていなかった。


「どれどれ・・・サバイバル生活に使える道具とかこっそり持ち込んでないじゃろうなぁ・・・」

そう言うと勝手に財布を開けて中を確認していた。


「・・・これは御守りかのぉ?」

中にはクレジットカードや、ポイントカードが数枚と、お札が数枚、あとは御守りのような金色と赤色の柄の入った小さな袋がそこにあった。


「あ・・・それは・・・親にもらって・・・」


「今の親からもらったんじゃのぉ・・・綺麗な柄じゃ」

コウジがそう言いながら袋をぶら下げながらジッと眺めていた。


「いや違うの・・・私が赤ちゃんだった頃に書き置きのようなメモがあったみたいで・・・それを入れてるの」


「ほぉ・・・ヘソの緒を入れるなら聞いたことがあるがのぉ・・・」

そう言いながらリュックの中に財布を戻した。


「さて、まずは基地作りを教えるぞ」

そう言うと、様々なテントのような形をした絵が木の棒を使って地面に書かれていた。


「ええか桃子。季節によって作る拠点が違う。なぜならその時に採取できる木材や葉っぱが違うし、その時の気温も違うからじゃ。この季節じゃと虫も出るし、野生動物もそれなりに出る。さらにこの山に分布している植物から考えると、このタイプの拠点を作るとええぞ?」

そう言うと、いくつか地面に書いたテントの絵の中の一つを棒で指した。


「は、はぁ・・・」

コウジの話が分かったような分からないような、そんな曖昧な返事をしていた。


「基地を作るには天井、壁、床を守るように作らないといかんが、優先すべきは天井じゃ。理由は天候が悪くなった時に雨を凌げからじゃ。雨は体温を下げるから浴びたら絶対にいかんが、気温が高い時や火を確保していたり、暖を取ることが出来る状態なら、雨をシャワー代わりにするのは有りじゃ。また、拠点作りじゃが、床は最後でええ。床は枯葉でも十分機能するからのぉ」


「うぅ・・・」

捲くし立てるような早口についていくのが必死だった。話を聞いてる限り、コウジは相当森の中でのサバイバルが得意のようだった。


「まあこのように、サバイバル生活は常に優先順位をつけながら動くのが鉄則じゃ。これは依頼任務をこなす時に、ものすごく活きるぞい」


「わ、分かりました・・・」

でこぼこな山道をずっと歩いていたせいもあり疲労からか、あまりコウジの話が頭に入ってこず、ボーっとしていた。


「なんじゃ・・・眠いんか?」


「ちょ、ちょっとだけ・・・早起きしたのと長く歩いたせいで疲れが・・・」


「これから1人で1ヶ月山の中で生活するんのにずいぶんと余裕があるのぉ・・・」

コウジがやれやれと呆れたように言った。


「まあええわい・・・じゃあ眠気醒ましに早速拠点を作るのに材料を採取してくるんじゃ」

そう言うと、コウジがよっこいしょっと立ち上がった。


「え?も、もうちょっと休みたいんですけどぉ~・・・」

コウジに甘えるように交渉した。


「ダメじゃ・・・あくまでサバイバルは生き死にの環境なんじゃから休むのは余裕が生まれた時のタイミングでじゃ。早くせんと熊に襲われるかもしれんぞ」


「く、熊!!」

そう言われると、飛び起きるように体を立たせて材料を探した。


「なんじゃまだ動けるじゃないか・・・」


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