24話 危機一髪
「っ!!!」
部屋にいる男達と桃子の体が固まった。
「・・・」
部屋にいる誰もが声を出せずにジッとしていた。
ピンポーン!
インターホンがもう一度鳴った。
「おい・・・どうする・・・」
「ダメだ・・・このままジッとしているぞ」
小声で男達が相談し合っていた。
「あのぉ〜・・・下の者なんですけどぉ〜・・・深夜遅くにバタバタうるさいです・・・静かにしてくださ〜い!」
中年の男の声が聞こえた。母が抵抗した時の騒音が下の部屋に響いていたようで、そのクレームに来たようだった。
「・・・」
男達はインターホンを押した人物が分かったことで安心した様子だった。このまま居留守を続けていれば大人しく帰るだろうと思っていたようだった。
「あれぇ〜・・・インターホン壊れてるのかなぁ・・・ごめんくださぁ〜い・・・!」
まだ玄関から声が聞こえた。
「チッ!しつこいな・・・まだ帰らないのか・・・」
男達が痺れを切らしていた。
ガチャリ!
「あれ?ドアに鍵かかってない・・・?」
そう声が聞こえると、ドアを開ける音が玄関の方から聞こえ、
「すいませ〜ん・・・何かあったんですかぁ〜?」
中年の男の心配そうな声が徐々に近くなっていった。どうやら玄関を上り、リビングに近づいているようだった。
「なっ!鍵を閉めて連れ出さなかったのかあいつら・・・⁈」
男達が一斉に驚いた。まさか部屋に入ってくることを想定していなかったようだった。そして、母を連れ去った際に鍵を閉めなかった部下に対して苛立っていた。
「おい!どうするんだ!」
「チッ!しょうがねーよ!一緒に捕らえて運ぶぞ!」
男達が焦りながら小声で相談していた。
「(だ、ダメ!逃げて・・・!)」
桃子は心の中で逃げるよう叫んでいた。
しかし、玄関の方から聞こえる足音がどんどん近づいてきており、玄関へ行く廊下へのドアの摺りガラスに人影が映っていた。
ガチャッ!
「あのぉ〜何かあったんですかぁ〜?!」
リビングのドアを開ける音が聞こえた瞬間、
「動くなっ!」
そう大声が聞こえ、そのまま男達が中年男性に飛びかかる音が聞こえた。
「んーーーーー!!!」
桃子が口を塞がれてはいたが、恐怖の叫び声を上げていた。
「・・・」
数秒経過すると周りから音が聞こえなくなっていた。
「(な、何があったの・・・?)」
音が聞こえなくなったと思うと、周りに先ほどまでいた人の気配も消えていることに気づいた。
「(だ、誰もいない・・・?)」
そう思った次の瞬間、目を塞いでいた布が勢いよく剥がれた。
「っ!!」
そこにはコウジがいた。
たしかに先ほどまで聞こえた中年男性の声は別の人の声だった。
なのにも関わらず、なぜここにコウジがいるのかが理解ができなかった。周りを見回すと襲った男2人が床に倒れていた。
「桃子・・・この部屋には盗聴器がある。おそらくコンセント付近か固定電話じゃ」
「っ⁉」
コウジが桃子の耳元で小声でそう話しかけると、その言葉を聞いて体が硬直した。その瞬間、居心地の良い自宅が気持ちの悪い空間に感じていた。
「今から口のテープを剥がすが何も喋るなよ?ええの?」
「・・・コクッコクッ」
何度か頷くと、口のテープをゆっくりと剥がして体の拘束も解いた。
「家で何があったのか・・・小さな声でワシに教えなさい」
「・・・実家の固定電話にかけてお母さんとお話して・・・家に帰ったらリビングにBarで襲った男と同じ格好した人がいて、母がロープで縛られてて・・・私も同じく縛られて・・・」
「男はその時何人いたんか?」
思い出しながら話している桃子の遅いテンポに痺れを切らして、食い気味にコウジが桃子に質問した。
「え?・・・たしか、4人だったような・・・」
桃子の話を聞いたコウジは小声でなるほどと納得した様子だった。
「じゃあ、今は桃子の母を2名で連れ去って行った後ってことじゃな?おそらく、その後に桃子も連れ去ろうとしてたってことでええかの?」
「そうだと思う・・・」
コウジは場慣れしているような感覚で、桃子の事情を聞いた上で把握していた。
「・・・じゃあまだ近くにいるのぉ」
そう呟くと倒れている男の体をまさぐっていた。何かを探している様子だった。
「前回のビルで襲った奴らも使ってたから多分あるはずじゃ・・・」
そう言うと、倒れている男が装備していたであろうトランシーバーが出てきた。慣れた手つきでトランシーバーを操作した。
「コホンッ!あーあー、聞こえるか?今から部屋を出てターゲットを運ぶ」
「っ!」
コウジの声が先ほど襲ってきた男と瓜二つの声になっていた。中年男性として部屋に入った時はこの声真似をしていたのだろうと思った。
「・・・こちら聞こえている。早く合流ポイントまで来い」
「すまない・・・合流ポイントを忘れしてしまった・・・どこへ運べばいい?」
コウジが声真似をしながらトランシーバー先の相手に合流場所を尋ねた。
「おい・・・異常がなければA地点と打ち合わせていただろ」
「すまない・・・ちょっとトラブってしまって、そのA地点自体を忘れてしまった。目印をいくつか教えてくれ・・・」
「しょうがないやつだ・・・」
トランシーバーの先から呆れた声が聞こえた。
「(す、すごい・・・!)」
目の前で見ても信じられないほど声真似が上手かった。トランシーバーを介した声では間違いなく見抜くことはできないだろうと桃子は思っていた。
「・・・」
しばらく黙りながら相手の返事を待っていた。しかし一向に応答がなかった。
「どうした?早く教えてくれ」
コウジがトランシーバーに声をかけた。
「クックック・・・久しぶりだな。コウジ・・・いやファースト」
トランシーバーの応答者の声が変わった。
「っ!!!その声・・・まさかRか・・・」




