23話 自宅襲撃
「次は東京〜東京〜降り口はこちらです」
電車内にアナウンスが鳴り響いていた。
時刻は夜21時を回っており、普段の感覚であれば長旅に思うほどの移動時間だったが、思ったよりも早く東京へ到着したと感じた。
「なんか・・・色々あったなぁ・・・」
Barでの出来事から随分の時間が経過したように感じるが、実際は2日ほどしか経過していない。
しかし、1ヶ月、2ヶ月間ほど経過したかのような感覚になっている、その期間での体験が夢に思えるような現実感のない感覚が続いていた。
「コウジさん、ケイコさん・・・どうしてるんだろう・・・」
今頃、家に帰宅していないため心配して私のこと探してるのだろうかと考えていた。もしそうだとしたら、申し訳ない気持ちでいっぱいになっていた。
「あ・・・いやいや!あの人たちはただの会社に雇われたドッキリのエキストラだから!それよりも、警察と弁護士に相談して会社を絶対に訴えてやるわ・・・!」
そう独り言を言いながら、気持ちを奮い立たせていた。
「実家の窓・・・明かりがついてるってことはまだ起きてるのかな?」
実家のマンションに到着したのは23時近くだった。早く寝る母にしては珍しいと感じていた。
「はぁーお母さんになんて説明しよう・・・とりあえず家に着いたら早く寝たい」
母への言い訳を考えながら家の鍵を開けた。
ガチャリッ
「ただいま・・・お母さん・・・」
そう言いながら玄関のドアを開けると、玄関にはたしかに母の靴があり、廊下の奥にあるリビングのドアのガラスからは照明の明かりが漏れていた。
「お母さん・・・?起きてるんでしょ?」
返事は聞こえない中も、そう言いながらリビングに入るドアを開けた。
ガチャリッ
「っ!!!」
するとそこには、ロープで体を縛られ、目には布、口にはガムテープで塞がれている母と、その横にはビルで襲った男達と同じ格好をした男4人が土足で家の中にいた。
「な、何・・・これ・・・?」
あまりにも不自然な光景を目の当たりにしたため、腰が抜けてしまい、床に座り込むようにしながら声を震わせていた。
「おい!ターゲットがきたぞ!拘束しろ」
4人の男達の中でもリーダーであろう人物が、他の男にそう命令した。
桃子は一切抵抗せず、体を震わせていることしかできなかった。あっという間に母と同じようにロープで体を縛られ目と口を塞がれた。
「(何これ・・・これもドッキリなの・・・⁈)」
そう思いながら、Barで襲われた時のことを思い出した。その時に嗅いだ血の匂いが脳裏に映し出されており、その時に経験した恐怖が少しずつ蘇ってきていた。
「(どうしてこの男達がいるの⁈どうして家の場所を知っているの⁈なんでこのタイミングなの⁈)」
頭から勢いよく疑問が湧き出ていた。
「おい1人ずつ運べ。ここで殺すのはマズい」
リーダー格の男が周りの男達に指示を出していた。
「(殺す⁉ま、まさか・・・ドッキリじゃなくて本当なの・・・これ・・・⁈)」
助けを呼びたいが、口が塞がっている上に連絡手段であるケータイも手元になく、なす術がなかった。
「・・・はい。確保しましたので始末してから戻ります・・・」
トランシーバーか何かで上司に報告をしているのか、喋り声が聞こえた。
「おい、先にそっちから運べ。まとめて運ぶと目立ってマズい」
「ん〜〜!!」
そう声が聞こえると、布のような物を広げる音が聞こえた後、周りがバタバタと慌ただしくなった。
おそらく母が担ぎ出されているのだろう。母が抵抗している声が聞こえた。
「おい、うるさいぞ!これ以上騒ぐと娘をここで殺す」
「っ!・・・」
そう聞こえると母の騒ぐ声が消え、そのまま外で運ばれていくように気配が無くなった。
「(お母さん・・・)」
私のせいでお母さんを巻き込んでしまったと思い、胸が苦しくなったのと同時に、自分の無力さを嘆いた。自分がコウジ達のように強ければこんなことにはならないのにと思っていた。
「・・・」
半ば諦めていたその時、
ピンポーン!
部屋中にインターホンの音が鳴り響いた。




