19話 ケイコをかいくぐれ
カチャカチャ
朝8時、ちゃぶ台を囲んで朝食を食べていた。
「桃子・・・料理はあまりしたことがないのかのぉ〜。味がしないんじゃが・・・」
「教えた味付けになってないわね。今晩また教えるから覚悟しなさい」
「ごめんなさい・・・」
自炊をあまりしたことがなかったため、苦手である上に、今日こっそり母に電話をすることばかり考えていたため、集中して料理ができず、散々な出来栄えになっていた。
「これも訓練じゃ・・・さて畑でも見て来るかのぉ」
食事を済ませたコウジはそのまま外へ出ていった。
「じゃあ私達は買い物に行くわよ」
ケイコも食事を済ませ、外へ出ようと玄関へ向かおうとした。
「ケイコさん!わ、私買い物なら1人で出来るの私だけで行ってきますから!家にいて大丈夫ですよ!休んでてください!」
そう言うと、買い物袋を奪うように持ち、ケイコを座らせようとした。
「あら・・・昨日の今日でここに来たのに、随分気が利くのね。急にどうしたの?」
ケイコの目つきが鋭くなったように見えた。桃子の行動を善意として受け取っているというよりは、勘繰っているようには見えた。
「い、いえ別に何にも・・・普段パートでお仕事もされてますし、家でやりたいこともあるんじゃないかと思ってですね・・・」
なんとか頑張って気の利いた事を言おうとした。
「・・・まあいいわ。ちょうどPの特訓の準備もする予定だったから。じゃあこのメモの通りに買い出しに行って来てちょうだい」
そうケイコが言うとメモ書きを桃子に渡した。
「わかりました・・・!」
そう返事すると、足早に玄関へ向かい靴を履いた。そして、玄関を開けようとドアを触ったその時、
「ちょっと待ちなさいP!」
ケイコから大きな声で止められた。口から心臓が飛び出しそうになるほど驚いた。
「・・・な、なんでしょうか?」
頑張ってケイコに向かって笑顔を作ったが、自分でもぎこちない笑顔になっていることが分かった。
「・・・P。寄り道しないでまっすぐ帰って来るのよ」
そう言うと、そのままキッチン奥にケイコは引っ込んで行った。
「は、は、はぃ!」
元気よく返事をして、家から逃げ出すように外へ飛び出していった。
「(し、心臓に悪いわ・・・)」
自然と早歩きになりながら商店街へ向かっていった。




