第30話 デート場所の選定
内心、大学に行くことを禁止されるのではないかと心配していたが天飛さんは通学することを許可してくれた。
ただし、大学での送り迎えの車には愛斗さんも一緒。
しかも学部が違うのに愛斗さんは私の授業がある講堂の入り口までボディーガードとしてくっついて来た。
だけど私の授業まで邪魔する気はないらしく講堂内には入って来なかったが「授業が終わったら迎えに来ますから単独行動は避けてください」と言われてしまった。
いくらなんでも過保護過ぎないかな。
まあ、私も襲われたいわけじゃないけど。
そんな思いを抱く私だが頭の中ではもうひとつ別の案件を考えていた。
天飛さんとどこにデートに行くかだ。
ヤクザさんってどこにデートに行くんだろ?
遊園地とか水族館とか動物園にヤクザさんがいるイメージってないよね。
世の中のヤクザさんのデート事情など私は知らない。
繁華街にある飲み屋で飲むとか?
でもそれってデートってより天飛さんにとってシノギと変わらないんじゃないかな。
ヤクザさんプラス繁華街ではどうしてもヤクザさんたちが仕事をしている姿しか思いつかない。
一人で考えていても良い案が浮かばないので私は携帯電話を取り出し優香ちゃんに助言してもらうことにした。
えっと、さすがにヤクザさんと行くデートスポットはどこがいいなんて訊けないよね。
そこはうまく誤魔化そう。
『優香ちゃん、突然だけど近場でおすすめデートスポットってないかな?』
『え? 凛子ちゃん、彼氏できたの? どんな人?』
う! こういうツッコミが来るとは。
天飛さんは彼氏じゃないけど彼氏がいないのにデートスポットを訊くのも変に思われるかも。
『彼氏というか気になっている人と二人で出かける機会ができたんだけど、どこに行こうか迷っていて』
『もしかしてその人ってお店に来たイケメン三人の中の一人? 御曹司、王子様、イケメン学生の誰?』
う! 優香ちゃんって勘が鋭いな。
でも優香ちゃんには三人の正体を知られてないからあえて正直に話した方がいいかも。
『御曹司だよ』
『おめでと~、御曹司が凛子ちゃんの本命だったんだね~、凛子ちゃんの想いが通じて良かったね~』
『別に天飛さんは彼氏ってわけじゃないよ』
『でもその天飛さんとのデート先考えてるんでしょ。御曹司ならあえて庶民的なところがいいんじゃない。相手は金持ちだから庶民的な経験したことないんじゃないかと思うから逆にベタなデートスポットでいいと思うよ。遊園地とか水族館とか』
なるほど。あえてベタな庶民的なところか。
天飛さんは御曹司じゃないけど父親が最初からヤクザさんだったから子供の時に遊園地とか行ったか分からないよね。
私はヤクザさんたちの子育て事情も知らない。
普通の家族が行くような遊び場に家族で行くものなのだろうか。
それともやはりヤクザさんを出禁しているところもあるから普通の子供なら経験があることができていない可能性もある。
吾郎丸さんレベルのヤクザさんなら遊園地で遊んだこともありそうだが天飛さんは天昇火風光会の会長の子供だ。とても普通の子供の生活を送っていたとは思えない。
『それならおすすめの遊園地とかある?』
『最近できたМパークなら遊園地と水族館が一緒になってていいかも。凛子ちゃん、イルカ好きだったでしょ?』
優香ちゃんの言う通り、私はイルカが好きだ。
だから水族館に行くと必ずイルカショーを見る。
Мパークかあ。まだ行ったことなかったな。
よし! そこにしよう!
とりあえず行き場所の候補が決まり私は大学の講義を受ける。
それでも不安はある。
Мパークがヤクザさん出禁だったらどうしよう。
ん? でも天飛さんは見た目は御曹司だから気付かれないかな。
だけどこのデートは敵組織に私たちを襲わせるためのデートだよね。
ヤクザさんたちが基本的に入れない場所なら襲われる可能性は低いかも。
あれ? そしたらこれは本当のデートと言ってもいいのでは。
その事実に気付き私は結局講義中も悩むことになる。
天飛さんとのデートを楽しみたい自分と囮のデートなのにヤクザさんが襲撃しにくい場所を選んでいいのかと思う自分に挟まれて結論が出ない。
ええ~い! 良いか悪いかは天飛さんに任せよう。
天飛さんは天昇火風光会の頭脳だもん。なんとかしてくれるよね。




