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極道の義兄ができました  作者: リラックス夢土


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第29話 デートの口実はケジメ



 次の日の朝。

 大学の授業がある私は寝不足の目を擦りながら朝食を食べようと食堂に向かう。


 寝不足の原因は昨日の天飛さんと暁刀さんの会話を聞いてそのことが頭から離れなかったせいだ。

 敵組織とスパイを誘き出す手段として暁刀さんは天飛さんに私とデートをするように勧めていた。


 正直、天飛さんとデートをすることは嬉しい。

 私も天飛さんのことが気になっているから。


 デートをして天飛さんと仲良くなれれば自分の抱いている想いが天飛さんへの恋心なのか、それとも義兄として頼りたい相手だと思っているのかが分かるような気がする。

 だけどもしデートの最中にまた敵組織に狙われたらと考えると怖い。私自身の危険もあるが天飛さんの身に何かあったら困る。


 それにあの後、天飛さんが暁刀さんの提案を受け入れたかも分からない。

 天飛さんが私とデートしたくないって思ったかもしれないし。


 そんなことを思いながら食堂に入るとテーブルには三人の義兄が座っていた。



 おおっ! びっくりした!

 まさか三人がお揃いになっているとは。



「おはよう、凛子」


「リンリン、おはよう」


「おはようございます。凛子さん」


「お、おはよう、ございます……」



 朝からイケメン三人からの眩しいくらいの顔圧を受けて私は怯む。

 朝食の席で顔を合わせるかもとは思っていたが義兄たちが勢揃いしているとは驚いた。



 天飛さんと愛斗さんはこの家に住んでいるから分かるけど暁刀さんは昨日自宅には帰らなかったのだろうか。



「暁刀さんは昨日はここに泊まったんですか?」


「もちろんよ。だってリンリンがまた襲われて危ない目に合うかもでしょ? 天昇火風光会の最強武闘派の僕がここにいれば大抵の奴らは手を出して来ないからリンリンの安全が確認できるまで僕も本家に寝泊まりすることにしたのよ」



 虫も殺さぬ爽やか王子様スマイルで暁刀さんが説明してくれる。

 その爽やか過ぎる笑顔が逆に怖いくらいだ。



 う~ん、暁刀さんは自分の敵を全て沈めてきた自信があるんですね。

 でも自分の組のことは大丈夫なのかな。



 私を護ってくれるのは嬉しいがそのために暁刀さんが本業の仕事ができないのであれば申し訳ない。



 あれ? でもヤクザさんの組長さんが仕事をしない方が世の中の人のためにはいいのかな?



「凛子。席につけ。お前が朝食のメニューを決めないと食事ができねえ」


「は、はい」



 ついつい余計なことを考えていた私に天飛さんから声が飛ぶ。

 慌てて私は自分の席に着いた。



 そうか。皆がそろって食事をする時は私がメニューを決めることになってたっけ。

 この義兄たちは律儀にそれを守っていたのか。もしかしてこの三人もペットの犬だったりして。


 いやいや、それは違うよね。この三人の義兄がペットの犬だったらその犬に食べ物を与える私がご主人様ってことになっちゃうじゃん。

 そんなのありえないし。そもそもこの三人が犬みたいな可愛い動物な訳ないし。


 天飛さんは猛禽類の鷹ってイメージだし暁刀さんはしなやかな美しさを持ちながら猛獣でもある豹みたいなイメージだし愛斗さんは海岸線に出没するならサメかな?

 とにかく犬なんて可愛いモノじゃないよね。



 義兄たちに聞かれたら怒られそうなことを考えながらも私が決めないと朝食が始まらないので食事係の人に「和食でお願いします」と頼んだ。

 すぐに料理がテーブルに置かれ朝から美味しそうな匂いが漂う。



「朝食を食べる前に凛子に話しがある」


「え?」



 すっかり目の前の料理を食べる気満々だった私は天飛さんの顔を見る。

 天飛さんは幾分不機嫌そうな顔をしていた。



「昨日、暁刀とも話し合ったのだが凛子にケガさせたことは俺の落ち度だ」



 へ? 天飛さんの落ち度? なぜ、そんな話になってるの?



「暁刀から凛子に対してケジメをつけろと言われた。それは俺もその通りだと思ってる。だから、凛子。俺とデートしろ」



 は? 私へのケジメが私とデートすること!?



 私が狼狽えると暁刀さんが声をかけてくる。



「リンリン。僕たちの世界ではね。ケジメをつけないと後々面倒なのよ。リンリンへのケジメのつけ方をタカ兄から相談されたんだけどリンリンが楽しめることをしてあげることがいいかなって思ったの。タカ兄みたいなイケメンとデートするのって女の子は嬉しいでしょ?」



 暁刀さんはニコリと笑みを浮かべているがその美しい青い瞳は獲物を狩る前の猛獣そのもの。

 そこで私はなぜこんな話を二人が始めたのか悟った。



 なるほど。これは昨夜話していた私と天飛さんにデートをさせて襲ってきた敵組織を捕まえる作戦のフリってことか。

 きっと本当の理由を話すと私が怖がると思ったんだよね。



 それならば私も吾郎丸さんという犬を護るためにも自分の気持ちをハッキリさせるためにもこのチャンスを逃す理由はない。



「そ、そういうことなら、ぜひ、天飛さんとデートしたいです」



 私が答えた瞬間、ガタガタッとテーブルが揺れた。

 テーブルが揺れた理由は三人の義兄がそろって拳でテーブルを叩いたからだ。



 な、なに? どうしたの!?



「……凛子が望むならそれを俺からのケジメとする」


「やっぱりリンリンって……うん、リンリンにケジメをつけるのは大切よ、タカ兄」


「凛子さん……私は凛子さんの決断を尊重します。天飛兄さん、凛子さんにきちんとケジメをつけてください」



 なぜ、三人の義兄が拳でテーブルを叩いたかの理由は分からないが私と天飛さんがデートをすることが決まった。

 しかし、最後に天飛さんが私に言った言葉が私をその日一日悩ませることになる。


 天飛さんは一言、「どこにデートに行きたいか明日までに決めておけ、凛子」と言ったのだ。



 え? 待って。普通の男性ともデートしたことのない私にデート先を選べと?

 ヤクザの若頭の天飛さんとのデートってどこに行けばいいの!? 誰か教えて!






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