第五十七話 遺跡の奥にあるもの
黒の災厄。
今から二百年前に発生した大災厄により、天主国と帝国双方の軍が壊滅したことで大戦は終結した。
天主国との邂逅以来、六百年に及ぶ大戦は勝者を出さずに終わる。
しかし、勝者のいない終戦は秩序の無い世界を創り出す。
帝国に抑え込まれていた勢力が続々と独立を果たし、世界は無数の国に分割されていった。
軍を失った帝国は自国の維持で手一杯となり、彼らに構っている余裕は無かった。
そう、帝国の統治が終わり世界は再び混沌とした時代へと進んでいったのだ。
「混沌とした時代が、帝国の統治を失った時代が今の世という訳だ。災厄発生の原因、その正体は二百年たった現在でも謎のままだ。だが、災厄が分からなくとも天主国はいまだ健在であることを認識しておく必要がある。この二百年で軍事力を立て直したのは我らだけではない。奴らもまた当時の軍隊を凌ぐ力を蓄えたはずだ。君たち士官候補生は来るべき大戦の再来に備えて帝国の剣となる必要がある。そのためには・・・」
指導教官の解説にさらに熱が入る。身振り手振りでその重要性を示していく。
セレネが真面目に聞いているとツンツンと肩をつつっく皇女殿下。
セレネが振り向くと何やら紙切れを渡された。
内容は、”この話はもう三度目じゃ。つまらん”とグチが書かれている。
天主国に関する講義は山のようにあるが、講義の最初は似たり寄ったりの内容になってしまうのだろう。
帝国の歴史にも関与しているので、そこかしこの講義で天主国の名が出てくるのだ。
セレネも紙切れに何やら書き込んで皇女殿下ことノトリアに渡す。
書き足した内容は、”ぼくは初めてだから面白いです”。
ノトリアが、ズルい! とジト目でセレネを見る。
おお、セレネは無謀にも皇女殿下を挑発したようだ。本人にその気はなくとも一人だけ面白いのは抜け駆けというのだ。
ノトリアのジト目を見たセレネは思わず吹き出しそうになる。
白く美しい顔がほっぺをプクーと膨らませて台無しになっているのだ。
セレネがクスクスと笑いを堪えていると。
「セレネ候補生、ノトリア候補生。この短時間にそこまで打ち解けてくれて喜ばしいが、私の講義を聞く気になれんかね? なら、ノトリア候補生! 天主国保有技術に関する報告書、第3章の説明をお願いしようか。私の講義を聞かなくても説明できるのであろう?」
セレネとノトリアがビクッ! と身を震わせる。
指導教官が意地悪なことをいってきた。
悪いのは講義中に別のことをしていたセレネたちだが、これをやれというのは酷だろう。
彼はセレネたちが説明出来ないことを分かっていてやらせようとしている。
遠まわしではあるが自分の講義は必要なものであると分からせるためだ。
ここ、帝立士官学校は入校した全ての士官候補生が同等の階級となる。
庶民だろうが、貴族だろうがみんな同じだ。
そう、皇族のノトリアも例外なく一兵の兵士になるための士官候補として扱う。
これが、帝国の教育法。血筋ではなく、優れた能力を重視するのだ。
教官に説明を求められたノトリアが戸惑うことなく立ち上がり口を開いた。
ノトリアの目はそのぐらい全然平気だといっている。
「天主国保有技術に関する報告書、第3章について説明致します。第三章の内容は、天帝戦争時に鹵獲した術式機械及び先史文明期の遺跡を調査した結果より天主国の技術力を把握するために行われた報告書となります」
ノトリアがスラスラと説明を始めた。
指導教官は少し驚いたようだが満足げだ。
セレネはノトリアを尊敬の目で見る。先輩で皇女で、そして、頭も良い。
セレネだけでなくみんなが尊敬できる人物だ。
そんな尊敬できる先輩ノトリアは、詳しく内容を語り出す。
「帝国歴1256年、天主国の技術力を解析し帝国のものとするため調査が開始されます。同年、天主国製兵器の鹵獲に成功。この鹵獲作戦で一個中隊が壊滅するも天主国の技術を解明する糸口を掴むきっかけとなる。この時、捕獲したのが当時天主国の主力兵器であったコードネーム・シルトクレーテ。僅か100体足らずの戦力で一個連隊に匹敵するその戦闘力の解析を進めていくこととなります」
報告書の内容より当時の人たちが何と戦っていたのかが伝わってくる。
単純に数で判断するなら特別指定個体クラスの魔獣の大群と対峙していたのだ。
そんな化物の軍団を抱えているのが天主国。
「コードネーム・シルトクレーテ解析結果の報告ですが、当時、判明したことは二つあり、一つ、天主国の兵器は遺跡固有種に酷似した構造をしている。一つ、それは生命体ではない。以上のことより天主国の技術調査は先史文明期の遺跡も対象となりました。その判断の根拠は天主国が積極的に遺跡調査を行っており遺跡より異端技術を獲得していると考えられたからだ・・・です」
スラスラと説明するノトリアだが、少しづつボロが出てきているようだ。
口調が維持できていない。
体に染みついた喋り方はなかなか直せないようだ。
解説は続く。
「帝国歴1302年、遺跡で調査隊がある重要な存在を偶然にも発見することに成功する。それは、当時いや現代でも解析が不可能な先史文明期の遺産であり、ツァラトゥストラ教発祥以前の時代を知ることの出来る貴重なものであったな。・・・ありました。コードネーム・エドゥ。恐らく神々の時代の存在。天主国の兵器とも遺跡固有種とも異なる構造をしているが、人と他の動物を比べているようなそんな感覚を覚えたと報告されておる」
ノトリアは言い直すのを諦めたようだ。
帝国は遺跡調査で神話の始まりを知る重要な手がかりを発見する。
この発見をきっかけに帝国でも遺跡より異端技術を獲得する動きが強まっていった。
それは、当時は兵器開発のためであったが、現代は失われた時代を解き明かすためにも行われている。
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セレネが遺跡調査の話を聞いている頃、ある6人の人物が帝国より遺跡調査を命じられていた。
遺跡調査は現在の積極的に行われている。
今回は、ベスタ公国領にある先史文明期の遺跡。
友好関係にあるベスタ公国が帝国からの依頼を受諾したことにより、現地の人間が向かうことになった。
灰色の髪を持つ姉弟、トカゲ顔の元神官に元傭兵のハトゥール族の女戦士、そして、赤毛の少女。
彼らに依頼を持ってきた女考古学者も同行している。
彼らはこれより、遺跡の深部を調査する。
人類が忘れ去った遺物が眠るはずだと依頼された彼らはあるかどうかも分からないものを探しに行く。
遺跡に潜っていく中、ハトゥール族の女戦士が尋ねた。
「ルフタ、こういう古いやつはジグラットが詳しいんじゃニャいの?」
ルフタと呼ばれたトカゲ顔の元神官は答える。
「確かにジグラットは古代の技術を継承し守っているが、この遺跡は別物である。こういうものこそ、考古学者のアン殿に尋ねるのがよかろう」
「ムフフフ・・・、何でも聞いてください。何でも答えちゃいますよ?」
「・・・いや、いいニャ」
話を振ったハトゥール族の女戦士エリウは何かヤバい雰囲気を感じ取り断った。
多分、語らせたらダメなタイプだとエリウはアンの人柄を判断する。
彼女、考古学者アンが神託、つまり帝国の指示で遺跡調査をベスタ公国までしに来たのだが、あまり成果は上がっていないようだ。
これまでの調査で、遺跡は深く潜れば潜る程、より古い時代の遺物が残っていることが多いと判明している。
外側にあるのは遺跡固有種に食い散らかされた後ばかりなので、新たな発見を目指すなら奥に潜るしかないのだ。
士官学校にいるノトリアが遺跡調査報告の続きを語る。
「コードネーム・エドゥは遺跡最深部で発見されておる。よって、この神話の時代の遺物、聖遺物はかつての姿を保っている遺跡最深部にあると仮定されたのだ。我が帝国は第二のエドゥを見つけるべく遺跡調査に力を入れていく。何故聖遺物なんぞに執着したか? それは、聖遺物一つで技術革新が発生するほどの知識が手に入るからだ。そう、天主国との差を埋めれるほどの知恵がそこにある」
第二のエドゥを見つけるのが帝国の目的。
完全解析が不可能でもそれを模した技術の獲得ができる。いや、異端技術の欠片でもそのまま使用するだけで莫大な革新が起きたのだ。
敵である天主国との技術力差を覆すために過去の異端技術の結晶ともいえるそれを求める。
最初の発見以来、帝国は約七百年かけて計5つの聖遺物を発見することに成功し遅れていた技術力を高めていった。
その技術の使い方、発展は全て先史文明期の遺跡を参考にしている。
かつて栄華を極めていたと考えられる文明のマネをしているのだ。
先史文明を超えるなら、まずは肩を並べる所まで行く必要がある。
その手段を選んではいられないのが残念な所だが、敵は待ってくれない。
場面は戻って遺跡調査を進める6人。
灰色の髪を持つ弟が姉に話かける。
「アズ姉、ここの遺跡も東の森と同じだね」
「そうね。たぶん遺跡は全て同じ文明を持った種族に建てられたのだと思う。これ程のものを創り出すのは今の人間では無理かもしれないわね」
「うん。きっとすごく頭のいい種族だったのかな。でも、なんでいなくなったんだろう?」
姉のアズラに話かけた弟のセトはそう思った。
これだけ高度な文明を持っていた種族。
もし会えるのなら会ってみたい。かつて、大昔に確実にいた種族、もしかしたら何処かに末裔がいるかもしれない。
そんなことを考えていると。
「ムフフフ。セートさんも考古学に興味がおありで? その通り、この素晴らしい! 遺跡を誰が建てたのか、どんな種族だったのかは実は全然分かってないんですよ。残念・・・」
考古学者のアンが遺跡の話題に寄って来た。
彼女からはどことなく変態の香りがする。
本当にする訳ではないが、変態と判断するための材料を第一印象だけで揃えてきている。
顔はそこそこの美人さんなのに、変態という印象が美人のステータスを消してしまっているようだ。
「ですけどね、遺跡に残された道具の残骸や部屋の構成を見る限り、人に近い種だったことは想像できちゃいます。もしかしたら! 私たち人だったのかも! と思ってみたりしなかったり・・・」
「う、うん。そうですね」
セトは苦笑いで返す。
彼女のテンションの上下についていけない。
いきなりテンションが上がるものだから引いてしまうのだ。
しかし、いわれてみたら遺跡の作りは人が使いやすい構造をしている。天井の高さや扉の大きさ、だいたい自分たちの建物と同じだ。
帝国が遺跡より積極的に技術を模倣しているのもあるが、それでも人に適した構造なのだ。
「もう少し下層に行けば、生活空間と思しき場所が出てくるのでそこで、その辺りを詳しく調べてみましょ。きっと、人が作ったのかも! と思いますよ・・・」
セトたちが遺跡の下層を目指している時、ノトリアは遺跡について詳しく述べていた。
帝国領にある遺跡。
今の帝国の技術力の源となっている場所だ。
「では、先史文明期の遺跡について説明をするかの。遺跡はマルアフ・ノフェルと命名されておりツァフォン地方の北マルアフ・ノフェル遺跡。ミズラフ地方の東マルアフ・ノフェル遺跡群森林区。マアラヴ地方の西マルアフ・ノフェル遺跡。そして、ダロム地方の大マルアフ・ノフェル遺跡となっておる。これらは全て同一の文明のものでカデシュ大陸全域に広く点在しておる。ダロム地方の大マルアフ・ノフェル遺跡だが、ここがコードネーム・エドゥを発見したカデシュ大陸最大の遺跡であるな」
ツァフォン地方の北マルアフ・ノフェル遺跡。
ミズラフ地方の東マルアフ・ノフェル遺跡群森林区。
マアラヴ地方の西マルアフ・ノフェル遺跡。
ダロム地方の大マルアフ・ノフェル遺跡。
この4ヵ所が帝国の四大遺跡となる。
東マルアフ・ノフェル遺跡群森林区はセトたちが調査した遺跡だ。
現在は黒い巨人の攻撃で崩壊しているが規模が大きいため調査できる所はまだまだ残っている。
「これらの遺跡はほぼ全てが同じ構造をしておる。我らが第一層と呼ぶ区画は搬送通路が入り組んだものとなり、第二層が倉庫区画と考えられておるのだ。第二層が倉庫と呼ばれる通りかつて使用されていたであろう何らかの道具や装置が置かれていることが多い。次に第三層だが、ここは当時の生活空間だったと思われる。椅子や棚のようなものが確認されておることから確実であろう。遺跡は一つの町だったのではないかと考察する論文も出ているほどであるな」
第三層、かつてセトたちは第二層までしか調査をしなかったが、そのさらに奥に当時の生活を垣間見ることが出来る空間が広がっている。
椅子も扉も、目に入るもの全て金属と思われる物質で構成されており朽ち果てずに残っているのだ。
特に、食器などは現代と形がさほど変わらない。
こんなものを見れば人が暮らしていたのでは? と思いたくもなる。
丁度セトたちも第三層に無事たどり着き、その当時の生活空間を調べていく。
セトはアンが人だったかもといった意味がよく理解できた。
ここで暮らそうと思えば暮らせるかもしれない。
魔獣がいなければ生活できるだろう。
セトがフンフンと考え事をしている時、赤毛の少女リーベは壁のあちこちを見て回っていた。
規則正しく建てられた柱に縦の線が入った大きな壁。
その壁の横にあるガラスを取り付けた窪みが目に留まった。
押してくれといっているように見える。
ポチッとなとリーベは好奇心の赴くままに押してみた。
ガラスが赤く光り、何やら文字が浮かんでくる。リーベには全く読めないがさらに彼女の好奇心を刺激した。ピピピピと適当に連打してみる。
すると、一度ビッ! という音が鳴り縦の線が入った大きな壁シュッと静かに開いた。
「セト、もっと奥に行けるみたいだよ?」
みんなが遺物の調査をしている途中に、赤毛の少女リーベが新たな通路を発見した。
壁だと思っていた場所がいきなり開いたのだ。隠し通路だろう。
遺跡にも第三層で終わるものと、さらに奥が存在するものがある。
深層といえる部分。第四層だ。
聖遺物などはこの第四層で発見されている。
「リーーーーーーーべさん!! お手柄です!! こんな所に扉があったのですか・・・。どうして遺跡を造った種族は扉をスライド式にするんでしょうね? 流行っていたのでしょうか・・・」
アンは興奮気味に新たな通路の奥に進んでいく。
「あら? 行き止まり?」
通路は途中で終わっていた。
何かがあった部屋だろうか? 他の部屋と違い何もないが。
「他の場所を調べた方がよいであるな。アン殿移動せんか?」
「待って下さい。リーーベさん、このガラスの窪みを押したら開いたのですね?」
「うんそうだよ」
「では、ポチッと・・・」
シュッと壁が閉まり閉じ込められた。
「このバカ女! 何するニャ!」
「な、何!? 浮遊感を感じるんだけど?」
天井付近にあるガラスが意味ありげに点滅しながら左に移動していく。
そしてすぐに壁は開いた。
「ニャんだったのニャ? ニャ! 知らない場所ニャ! どうニャってるニャ!」
壁が開いた向こうは先ほどいた通路ではなく広い広い空間だった。
底が見えないほど深く、天井も高い。
そして。
「そして、その第四層こそが聖遺物を保管する区画であるな。先史文明期でも特別な存在だったものを厳重に隔離していた場所。当時の技術の粋が集められた聖域であるのだ。報告書では、この第四層を有する遺跡の発見が重要であると結論付け、大マルアフ・ノフェル遺跡に近い規模もしくは構造を持つ遺跡を探し出すことを最優先事項としておる」
ノトリアは話を締めくくりに入る。
先史文明の聖域。
そこにある聖遺物とは何なのか。
コードネーム・エドゥが何かまでは残念ながら報告書には記載されていない。
約七百年かけて5つしか発見出来ていないもの。
その5つが発見された聖域にセトたちはたどり着いていた。
「「「・・・」」」
みな声を失っていた。
目の前に広がる光景に圧倒されていた。
もしこれが外を自由に動き回っていたら国が滅ぶだろうと予感させる。
セトとアズラ、そしてリーベはアイツを重ねてしまう。
ラガシュで出会ったあの黒い巨人を。
数十体にも及ぶ鉄の巨人が並び立っていた。
鉄の巨人。
大きさはあの黒い巨人と同程度5m強といった所。
黒い巨人と異なり、分厚い鉄で覆われているのが見て分かる程の重武装。
鉄の装甲を装備した人型をさらに武装していった姿。
かなり形が異なるが間違いないだろう。
黒い巨人の正体はやはり先史文明期、神話の時代の存在。
「おおおおおおおお・・・。絶景!! 壮観です!! これがエドゥなのですか。まさか巨人だったなんて、兵器か何かだと思ってましたが。ああ・・・、どうしましょう・・・、帰りたくない」
「アンさん。気持ちは分かるけど一旦戻りましょう。詳しく調べるにも道具がなくちゃダメでしょ?」
「そうですね・・・。待っててね、分解してあげるからね」
アンがさらりと怖いことをいっている。
彼らが寝ているだけだったらどうするつもりなのだろうか?
いや、変態の彼女は巨人が暴れまわっても喜ぶだろう。
「・・・」
みんなが驚きに包まれるなか、一人、リーベは悲しい顔をしていた。
彼らを知っている。
夢で見ている。
黒い虫に混じって数体いた。黒い虫たちに指示を飛ばし黒い島を守ろうと必死だった。
おそらく黒い虫たちの中でも地位の高い存在なのだろう。
何故、彼らは遺跡の奥深くで眠っていたのだろうか? もしかしたら自分も? とリーベは自身の存在を疑う。
「以上が、天主国保有技術に関する報告書、第3章となる」
「ノトリア候補生ご苦労だった。言語は標準語を使用するように」
「ハッ! 指導教官殿!」
「では、セレネ候補生は・・・」
終了のベルが鳴る。ジリリリとまるで警告音のようだ。
「ふむ、時間か。では解散」
セレネはうまく逃れることが出来た。
ノトリアのように説明なんて絶対にできない。
(助かったですー)
「ふぃー。終わったです」
「セレネ、今日の講義はこれで終わりだ。この後、暇か?」
「暇ですよといいたいのですけど、士官の礼儀作法を覚えなくてはならなくて」
「それなら、わらわと一緒に学ばぬか。わらわも標準語に苦労しておってな」
「それなら、私とセレネ君の下宿先で行うのはどうでしょうか?」
気付くとラクウェルが後ろにいた。
彼女はいつもノトリアの側にいるようだ。
皇女殿下直属の護衛かもしれない。
「それはいいですね。じゃあ早速下宿先に・・・。あれ? 私とセレネ君の?」
「ああ、そうかセレネ君は寝ていたから挨拶がまだだったな。同居人となるラクウェル・ルサンチマン・メローネだ。改めてよろしくお願いする」
(なんという偶然ですか!)
「ラクウェル先輩と同じ部屋だったんですね! 嬉しいです! あ、そのちゃんと挨拶できなくてすいません」
「いいさ。わたくしも嬉しかったよ。いきなり後輩のかわいい寝顔も見れたからね」
「ラクウェルだけズルいぞ。セレネ今すぐ寝るのだ。かわいい寝顔とやらを見せろ」
ノトリアがセレネの腕をがっちりホールドしてわがままを押し通そうとしてくる。
いきなり寝れる訳がない。セレネは少し困り気味に。
「ノトリア先輩、そんなすぐに寝れないですよ。また今度お見せしますから」
「約束だぞ」
そんなやり取りをしながらセレネたちは士官学校を後にした。
これから、セレネは士官として成長していく。
再びセトたちと出会う時はどれだけ大きくなっているか楽しみだ。
断章1はこれで終わりです。
次は本編に戻ります。




