二人の時間
駅に着いて電車に乗り、美咲がいる待ち合わせの場所へ向かう。
電車に揺られながら、古着屋にどんな服があるのか想像する。
昨日の帰り道で美咲からストリートファッション系やアメカジなどが似合うと言われていた事を思い出す。
私はファッションには疎い、というかファッションに全く興味がない。
そんな服に全く興味がない私を、事あるごとに美咲はちょっと有名なアパレルショップや路地裏などにあるよくわからない服屋へと私を連れ回す。
美咲と知り合ってから勧められた服を買っていたら、今や私のファッションは美咲が決めた服一色になっている。
電車に揺られながら自分の服について考えていると、美咲と待ち合わせしている場所がある駅に到着した。
駅から出て待ち合わせ場所に向かうと、美咲は既にそこにいた。
スマホで時間を確認すると待ち合わせ時間の五分前だ。
美咲はいつも指定した待ち合わせ時間より早くいる、前回遊んだ時なんて私は時間配分をミスって15分前に来たら彼女は待ち合わせ場所に既にいたのだ。
その時、流石に私が『なんでこんな早く来ているの?』と聞いたら美咲は『綾音と遊ぶのが楽しみだから早くきちゃった』と言う。
その時の彼女のあの何とも言えない表情が物凄く怖いと感じた。何故だかわからないが。
『綾音と遊ぶのが楽しみだから早くきちゃった』果たしてそれが本当の理由なのか疑問が残る。
美咲の中に確かな理由はありそうだが私はそれが怖くて聞けない、聞いてはいけない気がする。
そんな事を考えていると、気づくと美咲が向かって来ていた。
綾音が見えて私は急ぎ足で彼女の元へ向かう、私の綾音、私だけの綾音が近くにいる。
綾音の前に着く、そして綾音を見る。
前々から一緒に服屋に行って、綾音の服装は完全に私色へと染め上げている。
綾音は服にあまり興味がない、だから好都合だった。彼女に似合う私好みの服を着せて一緒にデートをするには。
本当に綾音は愚かで可愛い。
外見はクールで綺麗な子でミステリアスな雰囲気を持っているように思うが、本当は物凄く純粋な子だ。
仲良くなって、私が『この服が似合うよ』と言うと直ぐ信じて買ってしまうし。
私が少しスキンシップを取ると綾音は直ぐ動揺する。
だからこそ私が彼女を守らなければならない。
そしてゆくゆくは彼女の全てを支配したい、いや私に支配されるべきだ。
そんな真っ黒なドロドロとした感情をバレないように心の奥底に仕舞い、微笑みながら綾音に「行こっか」と言った。
愛嬌のある微笑みで美咲に「行こっか」と言われて私は「うん」と短く返事する。
美咲と横並びになって、どんな服がいいのかなどを話しながら古着屋に向かう。
歩きながら美咲の話に相槌を打っていると、ある考えが頭に浮かんだ。たまには自分で服を選んでみようかなと。
この選択が美咲にとってどれ程『地雷』であるか。
私はまだ、知らない。




