第7話 デビュタントのエスコート
「アレックス様。」
その時だった。
いつの間に来ていたのか、セバスチャンの声がした。
「お久しぶりでございます、アレックス様。」
「お嬢様の怪我は、大きな物ではございません。きちんと、消毒もしてございます。」
「無理に見ようとすれば、雑菌が入るかもしれません。どうぞお控えくださいませ。」
セバスチャンが、丁寧に言った。
ありがとう、セバスチャン!!
危なかったわ。
もう少しで、手を触れられてしまうところでしたわ!!
私は、サッと手を下ろした。
「ところで、アレックス様。ご用事は、お済みでしょうか?」
セバスチャンが、アレックスを見る。
「あ……、ナターシャ。」
アレックスが、おずおずと話しだした。
「なあに、アレックス?」
「その……。デビュタント、エスコートを誰にするか、もう決めているのかい?」
「いえ、まだですけれど……」
「本当に??じゃあ、僕がしてもいいかな??」
「え、アレックスが?」
驚きました。
私、お兄様とか、親族がするものだと思っていました。
「うん。是非、僕に任せてほしい。」
どうしましょう。すぐに決められない。
「ちょっと考えてもいいかしら?」
これは、お父様や、お母様にも聞いてみたいですわ。
私は、返事を後にすることにしました。
「うん、わかった。」
「良い返事、待っているよ」
アレックスが、私を見た。
――この表情、昔から変わらないですわね。
アレックスは、いつも、真っ直ぐに私を見てくださいますわ。
「お嬢様、そろそろ。」
セバスチャンに、声をかけられる。
「そうね。では、ごきげんよう、アレックス」
「うん。ナターシャ、またね」
アレックスに挨拶をすると、セバスチャンと歩きだした。




