↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
肉塊のアダム  作者: kotatu
PR
8/9

カメラとカード?

インフルになったりクトゥルフのシナリオ作ったりで遅れました。

手を取り、立ち上がる。彼の左手には消防用の真っ赤な斧が握られていた。


「今すぐ向こうに走れ、逃げろ」

「でも...!」


周りの化け物たちはおばさんを見つめ動かない。


「でもじゃない!お前の命のためだ!分からないのか!?」


レコード店の店長の怒鳴り声が十字路に響く。


「それでも置いていくなんてできません!」

「そんなこと言ったってお前じゃ何もできんだろ!」


強くそう言われ、うッと口ごもる。

確かに私だけなら何もできない。でも、私にはアダムさんがついている。渡されたカードをカメラに差し込めば...。

右手で腰のあたりをサッと掴む。

しかしその手は宙へ空ぶった。身に着けていたはずのバッグは、そこには無かったのだ。


「お前ぇ...!」


おばさんが立ち上がる。


「もう許さないわ!やっておしまい!!」


彼女が腕をブンと前に突き出すと、化け物たちがこちらに飛び掛かる。私たちは左右に分かれ、それを躱した。


「ぅっ...!」


ズザザと革靴がアスファルトを擦る。

私の前に化け物が2匹立ちふさがった。

おばさんの方を睨む。


「っ!」


立ちふさがるおばさんの向こうに、薄茶色の物がちらりと見えた。


「私のバッグ...!」

「あら、大事なものなのね?」


彼女が私のバッグを拾い上げる。


「う~ん、大したもの無いわね。ま、これは預かっておくわ」


それは彼女の肩に収まった。


「さ、貴方たち、ようやくご飯が食べられるわよ」


化け物たちは私に一歩近寄った。私も一歩、後ずさる。化け物たちの向こうでは、残された1匹がレコードのおじさんを襲っていた。おばさんはそれをただ眺めているだけだ。


ー油断している。ならば!


私は後ろを振り返り、地面をダンと蹴った。

生暖かい空気をかき分け、進む。左に抜ける道がトンネルの照明の様に流れては消える。


「なっ!?追いなさい!!」


後ろの方で絶叫が響く。どたどたと慌しい足音が2つ、私を追い始めた。

こわばる体を無理くり動かして逃げつつ、頭の中で突破口を探す。


(どうにかカメラを...でもどうやって?)


私のバッグは彼女に握られている。彼女をどうにかすれば私のバッグは帰ってくるだろう。

しかし、彼女は私を追っているこの赤い化け物を従えている。向こうにはまだ1匹残っているし、彼女自身も凶器を持っている。私は非力な方だ。どうしようも...。


「ウシャァァァ!!」


化け物の鳴き声が轟く。ダンっと地面を蹴る音が反響し、足音の一つが姿をくらます。


「う゛っ…」


私の右肩に鋭い痛みが走った。手を添えると、赤く、温かい液体が手にまとわりつく。

ー出血していた。

走り、腕を振るたびに傷が擦れザシザシと痛む。

右肩越しに後ろを見ると、奴らにかなり接近されていた。


速度を上げ、前のめりに走る。再び建物が途切れ、左に抜ける道が現れた。

多少の時間稼ぎになれば。

そう思い、壁を蹴ってその隙間を抜ける。


道は急に開けた。


壁を蹴った勢いが落ちず、地面をゴロゴロと転がった。やたら幅の広くなった商店街が私を迎える。

生暖かいアスファルトに手をつき、足を踏ん張らせ立ち上がる。


「商店街...!じゃあやっぱりあそこはあの隙間...?」


疑問は一旦置いておき、化け物に追いつかれる前に再び走り出す。今度は今までと逆の方向だ。


(ならやりようはあるかも...!)


彼女が立っていた道も、商店街に続く道だ。つまり私は今彼女の後ろ側を走っている。

あの場所が昼の隙間なら、あそこはレコード店の裏だ。

そこまで走り、背後から奇襲できれば、バッグを取り戻せるかもしれない。


「シャァァァ!!!」


後ろで声が響く。いつの間にか私の後ろを化け物たちが追走していた。

更に速度を上げ、化け物たちと差を広げる。


(カメラを取り返す算段は付いたけど...こいつらはどうしよう)


化け物たちは私の後ろを走っている。奇襲してもすぐ奴らに襲われたら仕方ない。


(ん?あそこだけシャッターが...)


掠れた看板を掲げた薬局は、なぜかシャッターが半分だけ上がっている。

それを見て閃く。


(あそこを使えば...!)


奴らを撒くことができるかもしれない!


うまくいかなければ私は奴らに食べられてしまうだろう。生唾を飲み込み、中途半端に開いたシャッターに向かって走る。

一か、八かだ。私はシャッターの下に転がり込んだ。


溜まった埃がひらひら舞う。化け物の方へ向き直った。

地面を蹴り、奴らがこちらに飛び掛かる。

私はそれを右に躱した。

化け物たちは薬の棚にぶつかり、その棚をドミノの様に倒していく。

それを横目にシャッターを潜って店外へと戻った。そしてシャッターに手をかける。


「出てこないでくださいね?それじゃ」


シャッターは私によって力強く閉められた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。