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肉塊のアダム  作者: kotatu
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9/9

奇襲と転送?

あれ?1事件に何話かけてんだコレ?反省。

化け物を薬局に閉じ込め、その場を離れた。

奴らがシャッターを叩き、引き裂こうとする音が商店街に響く。あの薄いシャッターじゃ長くは持たないだろう。

奴らが脱出する前におばさんを倒さないといけない。


「ぐっ...!」


レコード店の奥から軽いうめき声が聞こえた。そっと道をのぞき込む。

おばさんが手に膝をつき、息を荒くしていた。その奥ではおじさんがあの赤い化け物と戦っている。


「頑固な爺ねぇ...!とっととくたばりなさいよォッ!!!」


彼女は包丁を振り上げおじさんに殴りかかっていく。おじさんはそれを斧で受け、弾いた。


「きゃっ!?」


おばさんが大きく姿勢を崩す。

ー好機。


「もごっ!?」


私はおばさんに背後から組み付きその口を押えた。左腕でしっかりと首を抱き彼女が逃げられないよう力を込める。


「大人しくっ...してください...!」


激しく暴れる彼女の腕が私の体を殴打する。軽い痛みが断続的に私を襲った。


「このぉっ!」


身体が左右に揺らされる。おばさんが体を振って抵抗しているのだ。思わず彼女を抑える腕に力を込めてしまう。


「ちょっと!抵抗...!しないで...!くださ...きゃっ!?」


おばさんと私の足が絡まり体勢が大きく崩れた。背中を壁に叩きつけられ肺から空気が漏れる。

おばさんの首から腕が離れ、地面に手をつく。


「うっ...げほっげほっ」


喉の奥からむずむずとしたものがこみ上がる。げほごほと激しくせき込んだ。

地面に写る私の影に新たな影が重なる。


「あなたもいい加減に...」


彼女が再び肉切り包丁を握り締める。


「うざったいのよ!!」


それは天に向かって振り上げられた。俯いて目をぎゅっと瞑る。

ーぐちゃ...と嫌な音が路地に響いて、消えた。

包丁が地に落ち、カランカランと喚く。

同時に熱い物が私に降り注いだ。


「...?」


顔についたそれを手で拭う。赤く温かいそれが手にまとわりつく。

目前に立つおばさんがアスファルトに倒れこんだ。


「ひっ!?」


引き攣った声が口から漏れる。

おばさんの頭には赤い消防斧が深く突き刺さっていた。頭から血が流れ、そこに血の海を作っていく。

あまり快い景色ではなかった。冷や汗がこめかみを伝う。

ザッザッと足音を立ててその斧の持ち主が死体のそばに立つ。


「あぁ...ったく。これで俺も人殺しか...」


レコード店のおじさんはそれを無表情に見下ろしている。


「あっ?う、わ。えっ...」


思考がうまくまとまらない。


「まぁ、こりゃ仕方ないよな。今まで助けられなかった分の罪滅ぼしだ」


生々しい音を立てて斧がおばさんの頭から外された。脳の一部っぽいものがべったりとくっついていて、とても見ていられない。私は少し吐き気を覚えた。


「ウシャァァァァァ!!!!」


大きな叫び声が、場の空気を劈く。

おじさんが焦ったように振り向いた。その彼に化け物が飛び掛かる。

赤い斧が化け物の爪とせめぎ合った。

それが私の思考を再び動かす。


(と、とにかく...バッグ!)


そもそもバッグを奪うために行動していたのだ。

鈍い打撃音など、おじさんと化け物の戦闘音が響く。


「シュゥゥゥーッ!!」


バッグに手を伸ばした私の耳に、ひねり出された空気の唸りが届いた。

そちらへと顔を向ける。


「っ!」


商店街を背景に2匹の化け物が私を見つめていた。その爪には鉄くずがこびりついている。

シャッターは破壊されてしまったらしい。

赤い皮膚に覆われた眼孔から放たれる視線が私を刺す。


緊迫した空気がその場に漂った。

カメラを取り出し、カードを入れる。それだけ。

足元まで広がった血の海に冷や汗がぽとりと落ちた。


「......!」


伸ばしかけて止めていた手を伸ばす。


「ガッ!!」


化け物たちも地を蹴った。

化け物の爪と私の指先は互いの標的(私/バッグ)へ近づく。


私の指先は、バッグのボタンを弾き飛ばした。

零れたカメラをつかみ取る。化け物の方にそれを向け、血に濡れた左手でカードを差し込んだ。

画面が青白く光る。


ー繝?Ξ繝昴?繧ソ繝シ インストール中. . . 。

・・・完了。


「グァッ!?」


何かが化け物を弾き飛ばした。

飛び蹴りの様に飛び出たそれは壁を強く擦って止まり、アスファルトに軽く着地する。


「アダムさん!?」


暗闇に立ち上がるシルエットが浮かぶ。


「ようやく出番か。ない方がいいがな」


彼はサッと振り返った。


「怪我は?」

「少し...」


赤色の瞳が私を見つめる。それは私の隣に倒れたおばさんを気にしつつ、私の右肩にとまった。


「肩か。大丈夫か?」


血の海に踏み込んで彼は私の前にしゃがむ。そして来ていた服を私の肩に巻き付けた。


「止血にはなるだろ。立てるか?」


左手の前に彼の手が差し出される。その手を取り立ち上がる。


「ありがとうございます...」

「あいつらにやられたか」


彼は再び化け物と向き合った。化け物も立ち上がり臨戦態勢で構えている。


「俺の後ろにくっついとけ」


彼の背中に手を添えて立つ。念のためカメラを手に持って。

ー爪(クロー)

彼の腕がねじれ、鋭い爪をこさえた小手が形成される。彼は顔の横にそれを構えた。


「早く来いよ。野良犬」


その一言を合図に化け物が動き出した。2匹は爪を食い込ませ壁を駆ける。

奴らの爪が彼の頬に迫った。

キィッンと甲高い金属音が響く。奴らの爪とアダムさんの爪がぶつかり合った。

化け物は続いて連撃をかます。彼は達人じみた動きでそれを捌いていた。爪がぶつかるたび、甲高い金属音が響く。それは素早く繰り広げられ、私ではどちらが攻めているのかさえ分からない。


私は完全に蚊帳の外だ。

何をするべきか分からず、彼の攻防をぼんやりと眺めることしかできない。

そんな時、化け物の片方に一瞬睨まれた気がした。


「シャッ...!」


化け物がもう一方に向けて鳴いた。

了解したと言わんばかりにもう一方は壁を蹴る。

奴は曇り空に浮かんだ。


「...え?」


気付けば、私の目前に爪が迫っていた。


「ひッ!?」

「っ!待てッ!」


アダムさんの爪がそれを食い止める。しかし、すぐにぐちゃっと嫌な音が響く。


「アダムさん!!」


彼の背中には化け物の爪が刺さっていた。血が彼の体から滴る。

悪態をついて彼は身体をねじった。2匹の化け物の体に彼の爪が刺さり、それらは投げ飛ばされる。


「クソッ...」


彼の背中は深く抉られていた。


「すみません...傷が...」

「大丈夫だ。この程度なんでもない...」


彼は無表情でそう言う。そんなはずはない。彼の肩は荒く上下しているし、傷はかなり深く見える。人であれば致命傷だろう。


「クソッ、決め手に欠けるな..」


揺れる背中の向こうで彼が呟く。


(私にもできることは...?)


彼を怪我させた罪悪感を拭うため、何かできないかと考える。

ー私が今、やれることは。

握り締めていたカメラに目が留まる。


「アダムさん。蹴りに自信はありますか?」

SCP-1290 メタタイトル「未完成テレポーター」

safe

テレポートできる機械。でもぶっ壊れててテレポートしたものが(方角の)東に向かって毎秒930mで飛んでいく。

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