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果て無き少女等に大いなる洗礼を  作者: 名仮
第一章 人界編
5/13

第5話 遅めのチュートリアル(設定説明)

説明回なので特に見せ場もなければ長ったらしいです。流し見でいいと思います。


綾愛「知らない天…もうこれはいいや」


この展開何度やるのだろうか。

いやまぁ毎回倒れてる私が悪いんだけど。


リア「やっぱり綾愛はお寝坊ですね。

おはようございます」


綾愛「…おはよう。…体の調子は?」


リア「もう大丈夫です。

いつも通りかわいいリアちゃんですよ。

綾愛さん…も大丈夫そうですね」


軽い倦怠感はあるが、逆に心地よいくらいの体調。


綾愛「…ここは?」


当然のように知らない部屋で目覚めた。


木造の壁に床。

テーブルにソファにベット、本棚。

…中にはいっているのは漫画だろうか。


至ってシンプルで簡素。

だが生活感のある住心地の良さそうな部屋だった。



私はソファの上で眠っていたらしい。


リア「えっと…それはですね…」


???「それは僕が説明しましょうか」


開けっぱなしだった扉の奥から、

待ってましたと言わんばかりに青年が現れた。


見た目は普通。

あまりにも特徴がなく、わざとやっているのかを疑うほどに無個性…いや、

一つあるとすれば右耳にピアスがバチバチにあいていることだろう。


…それだけであんまり無個性って感じしなく成ったな


綾愛「…あっ、どうも…」


リアの前で変なことはしたくないのだが、

これは陰キャの性質なのだ。

隠すことのできない生態であり、本性なのだ。


心の中では開き直っている彼女だが、

現実では伏し目がちになり挙動不審になる。



天野「どうも。僕の名前は天野です。

ここは僕の拠点…というか仮住まい的な所ですので、

ご安心ください」


ニッコリと人畜無害に笑う天野さん。

うわぁ人当たり良さそう。

絶対いい人じゃん。


綾愛「ありがとうございます…

私の名前は、天織です。よろしくお願いします…」


なんとかどもらずに言えた…はず。


天野「ありがとうございます。

それでは早速なんですが事の経緯を説明しますね」


ここから長くなった為、簡潔に説明すると。



天野さんは見た目に反して京都を本部に置く特殊部隊所属らしく、

あの2人は丁度仕事で追っていた有名な犯罪者らしい


それを探していた所私たちと遭遇し、

精神操作…心の方を撃退した後、

気絶したまま立っていた私と満身創痍のリアをここまで運んでくれたらしい。



天野「いや〜リアさんはともかく、天織さんを運ぶのには苦労しましたよ。

気絶してるっていうのに全身に黒い生力走らせて殺気出しっぱでしたからね。

しかも一度リアさんを回復させてからもう一度来たら髪色変わって倒れてるし」


ん?

いまわからないところが複数あったな。

髪色?

生力?


前後の状況からおそらく私の能力で身の方を倒したのだろうが…

いかんせん記憶が曖昧だ。


綾愛「えっと リアに聞きたいんだけど、結果として私がハゲの方を倒したんだよね」


リア「はい。そうですけど…もしかして覚えてないんですか?」


綾愛「まあ ちょっと記憶が混乱してるだけだと思うから大丈夫。それと髪色が変わってたってなに?」


リア「私も詳しくはわからないので見たまま言うと、

あの二人の能力併用を受けた後にあやめさんが能力を使用。

それと同時に髪色がピンク色に変化して、稲妻みたいな黒い生力を纏い、

気付いたときにはあのハゲを天井ごとぶち抜いてた てとこですかね」


全く持って信じられないようなことだが、それが事実なのだろうな。

それに…おそらくそれが"奴"の言っていた私の能力ということか。


意識を失った時に干渉してきた"奴"について私は説明することにした。




リア「…なるほど……やっぱりそこ絡みでしたか…

というかあやめ本当に自分の力知らなかったんですね。私なんてあやめを受け止めたときには「ああこの人だ」ってなったくらいなのに」


話が見えてこない。

どういうことだ?


綾愛「ごめん、全然わからないから一からお願いしてもいいですか?リア先生」


リア「仕方ないですね…

まずあやめはおそらく能力の規模が膨大すぎるあまり常に溢れ出てるんです。

それはもう見る人によれば一発でわかるくらいに。

普通はこんなに主張することなんてない…

どころか不可能なので、私は最初よほど腕の立つ実力者何だと思いましたよ」


なるほど。

全然別世界の話しすぎて頭に入ってこないがなんとなくは理解できた…と思う。


リア「そして…うーん…説明が難しいですね…

もうどうせ後で知ると思うので一から全部説明しちゃいましょうか」


どうやらここまでの説明は全体の一部だったらしい。

ついていけるのか?


天野「ちょっと待ってくださいリアさん。

いくら規格外の能力を持っているとはいえ、

ただの人間にこの話をしてもいいんですか?

ただでさえ禁忌とされているのに…

しかもあなたの立場ならなおさら…」


リア「まあもういいですよ。

どのみちあやめは知ることになります。

おそらく…いや、確実にあやめは適合者です。

証拠にあやめの能力は私と同じ「例外」です。

つまりは私の関係者。そうでしょう?」


天野「そうですか…ではせめてその説明は僕の口から、僕の意思でさせてください。いいですね」


リア「何から何まで…お気遣いありがとうございます」


なんか天野さんは結構訳知りなのか?


いろいろあってここからは天野さんに変わるらしいが…

初対面の相手と会話するのきついんですけど…

贅沢を言うならリアがよかったな 


天野「それでは説明させていただきます。

まずこの世界には神や魔王、悪魔に天使や亜人など、空想上とされている生き物が実在します。

そもそも火のないところに煙は立たない。

これらの名前が広く知れ渡っている時点でいてもさほどおかしなことではありません。」


なるほど。もうほぼ異世界ファンタジーと現実って同じようなものだったのか。

世の弱者たちが転生や異世界召喚を望もうが、今いるところがそれと変わらないものだったなんて…

夢がなくなるな。


まあそもそも能力者が実際にいる時点でそんなものなんだろう。


天野「それと同時にこの世界には色々な特殊能力が存在します。

大まかに説明していきますね。」



天野「まずは基礎中の基礎。

"生力"です。呼び方は世界ごとに統一されておらず

"波動"や"魔力"なんて呼ばれることもありますが人界では生力で通ってますね。

これはあらゆる生物が無意識のうちに保有している命の源的なもので、

身体強化や能力の使用などあらゆるものに応用できます。」


なるほど。つまりぶっちゃけてしまえば…


綾愛「つまり漫画で言えば"オーラ"とか"チャクラ"

とか"呪力"とかってことですよね」


天野「そういうことです。理解が早くて助かります」



やっぱりそういうのあるんだ!

設定が王道で助かる


天野「ですがこの生力を知覚している人はごく僅かです。その理由は"一般人は生力を知覚するタイミングがない"からです。

そもそも能力を持つ者と持たないものでは基礎的な生力の量に天と地ほどの差があり、

知覚できるだけの量がないのはもちろん、

能力というわかりやすい生力の使用用途がある能力者と非能力者とでは、

その差は言うまでもないということですね」



たしかにリアや身の動きは明らかに人間技ではなかった。

あれは能力者故に知覚していた生力を使用していたという事なのだろう。


あれだけの力を持っている人物がいながらテレビやネット等で話題になっていないのは、

能力者の数がそもそも少ない上に、

リアが言っていた能力者は表舞台に立たないということが理由ということか。


結構わかってきたな。


天野「そして次に紹介するのは"能力"です。

既にある程度ご存知ではあると思いますし、

何となく分かると思いますが説明させていただきます。」


こほん


と一つ咳払いを入れ、天野さんは続ける。


天野「能力は主に生力を消費する事で使用できます。

能力者というだけで一般人のそれを遥かに凌駕する力を得ますが、そんな能力にも7段階に階級が存在します。」


そういうのもあるのか。

たしかにナルトにも色々あったからその形式なのだろう。それにしても7とは結構あるんだな。


天野「まず下級。

人界に存在する能力者のうち9割がここに属します。

基本的に簡単な事しか出来ず、普通に道具などで代用出来るレベルですね」


天野「次に中級。

このレベルは人界での上澄みレベルです。

ここから科学や物理法則を無視した効果を持つものが出てきます。先日の二人組はこのレベルですね」


あれで中級クラスなのか。

既に人間の域を超えていたように見えたのだが…

あれでしたから2番目…


天野「次に上級。

このレベルが人界…しいては人類の限界点となっており、歴史上で見ても極少数しか存在しておりません。

さらにこれより下の能力とは別格の力を有し、

能力者を除いた地球程度なら1人で征服出来てしまうレベルです。

そして他の世界に存在する神は全員これ以上の能力を一つ、もしくは複数所持しています」



真ん中で既に惑星クラス…

結構インフレ激しいなもしかして。


てかやっぱり人間と神では文字通り次元が違うな。

そもそももしかして神って世界単位でいっぱいいるのか?どうなってんだこの世界。



天野「次に王級。

ここからは全世界レベルでみても上澄みで、

基本的に名のある神クラスが所持しています。

その実力は上級クラス100人と同格、もしくはそれ以上となっています。

こうなってくると一般の能力者だけでは地球どころか人界総出で戦っても勝ち目はありません。

敵対した時点で詰みです」



あ、一気にインフレした。

惑星クラス100人と同格って…

1個人が持っていい力なのか?いやまぁこれ以上がまだあるんですけど。


天野「次に帝級です。

ここが一般的…というより存在が明確にされている中の最強クラスです。

このレベルは各世界の軍内最高戦力クラスで、

人界程度なら戦闘の余波で消し飛びますね」



あれ?私の想像では規模としては星単位が最大だと思ってたんだけど…

この感じだと7つの玉探しレベルになるのかこれ?


天野「そしてここが実質的な能力の最高到達地点。

界級です。"界"の部分にはその者の種族名の一文字目が入るようになっており、そのへんはまた別途で説明しますね。

このレベルは存在自体が伝説級であり、

噂では各世界の王や代表などがこのレベルと言われていますね。

実力はもはや未知数。人類の尺度では測れないレベルですね。」


まぁなんかもういいか。

べつにそんな上を見る必要はないし関わることもないんだから。

知識として知っておく分には損はしない程度に覚えておこう。


天野「そして最後が"固有能力"です。

このレベルはこれまでとは全く異なり、

存在自体が明確にされていない上に全世界の歴史上でも極少数しか発見されていません。

これまでの能力との一番大きな違いは、

名前の通りその能力所有者の完全な固有の能力である点です。

一応理論上では帝級や界級は歴史上同じ能力を持つ者が複数観測されていますが、

固有能力は完全に独自の能力となっています。

ですがだからといって界級よりも強いというわけではない…とされています」



情報量が多くはあったが、

まあ理解しやすい範疇ではあったか。

…あれ?そういえば…


綾愛「そういえばリアと…一応私も能力者らしいんですけど、階級はどこなんですかね?」


それを聞いた天野さんはピクリ、

と反応した後こちらに向き直す。


天野「そこはまぁ…あとでリアさんの口から直接おねがいします。色々僕も分からないところがありますので。」


リアの方を見ると、

どこから出してきたのかソファに横になり、

棒アイスを食べくつろいでいた。


リア「了解でーす。とりあえずは待っときますね〜」


こいつまじかよ


綾愛「ちょっとリア!流石に失礼過ぎるでしょ!」


天野「いやいや良いんですよ。

逆にリアさんの立場としてはこんな所にいさせてしまっているほうが無礼なレベルなので」


綾愛「え?もしかしてリアってなんかあるんですか?」


天野「そのへんの話も色々合わせながらしていきますか…それじゃあ次は世界の形式についてです」



まぁそれはそれとしてリアには一発チョップを入れ、

せめて座らせる。


そんな様子に天野さんはヒヤヒヤしていたようだが、

流石にここは人として譲れないものがあった。

礼儀に関しては陰キャ陽キャは関係ない。うん。



天野「えぇ~…改めまして…

現代科学で判明している宇宙という規模は、

実はこの世界の極小的な範囲でしかなく、

大まかに世界は4つの界… 

"人界" "聖界" "魔界" "異界"に分けられています。」



天野「まず1つ目は"聖界"です。

この界は所謂神や天使など、

主に聖属性を持つ上位種が住まう世界です。

数多の国と帝国が存在し、

秩序と法律の下統制された最も美しく穢れのない世界です。そして軍事力という点に関してもすべての世界の中で最も高いとされており、

過去行われた世界大戦においても勝利をおさめています」


神と天使が住む世界…

ていうかそもそもそんなにいっぱい神様っているのか?

まあ日本だけでも八百万の神なんて言うくらいだしいるんだな。


天野「2つ目は"魔界"です。

この界は魔族や悪魔など、

主に魔属性を持つ上位種が住まう世界です。

この世界には国どころか街や村すら稀であり、

秩序なき混沌の世界となっています。

そしてこの世界には"魔神"という特殊な種族が存在しており、

統制しているわけではないのですが実質的な王として君臨しています」


一間をおいて追加の情報を語る。


天野「ちなみに過去行われた大戦…

"終末大戦"によって元々険悪だった聖族と魔族の関係は更に悪化し、現在では差別的な関係が常識となっているので、そのへんは気をつけてください」



なるほど…基本的なRPGだと魔族が諸悪の根源のようなものが多いが、

この世界ではべつにそういうわけではないのか。


天野「そして3つ目が"異界"です。

この界は完全に異質な世界となっており、

この世界固有の種族だけが住んでいます。

そしてこの世界には固有の種族のみが耐性を持つ特殊なオーラが満ちている為、耐性を持たないものでは10秒と持たずに身体が溶け出しますので、覚えておいてくださいね。」


天野「そして最後に4つ目が今私たちがいる"人界"です。

この界は他世界と比べて最も多くの種族を抱え、

それと同じく最も生物の数が多く、

最も広い界となっています。

ですが全世界において技術や文明、実力など、あらゆる点において最もレベルの低い世界でもあります」


所詮人間ということか…

井の中の蛙がなんとやらというか…


天野「そして、リアさんはこの中の異界に深く関係しています。…ここの話はリアさんが直接します?」



リア「…ん?、あぁ了解です。

ここまでありがとうございます天野さん」



いきなり話を振られ、

一瞬虚を突かれた表情をしたが何もなかったかのようにこちらに意識を向け直したリア。


大丈夫かこいつ。


リア「…えぇと、異界の話でしたね。

まず私が種族として人間じゃないのはもう察しがついてますよね」


綾愛「まあ流れ的にはやっぱりそうなんだろうね」


そもそもここまでの説明はリアの話をする為の説明でもあるんだ、

その内容がいろんな種族や別世界の話ときたなら必然的にリアもそっち関連なのだろう。


リア「ということで、私の正体はなんと…

異界の固有種族…そして異界を統べる王家の血を引く次女にして、

"固有能力"を持つ全世界最高レベルの美少女才能マンなんです!」


立ち上がり、

誇らしげにこちらを見下ろしながら仁王立ちでそう語るリア。


その表情からは褒めの言葉を要求しているのが分かりやすい。


綾愛「おぉ〜てことは結構すごい人?

…ってことだよね?」


リア「なんですかその歯切れの悪い反応!?

さっきの説明聞いてましたよね!?

固有能力は歴史的に見ても極少数しか観測されていないんですよ!?」


綾愛「とは言われても正直まだ全然実感湧いてなくて…とりあえず凄いことは分かるんだけど…」


リア「むぅ〜…これだから地球人は…

天野さん!分かりやすく説明してください」


説明を投げやるリア。


天野「人界基準で言うなら…

アインシュタインとかレオナルド・ダ・ヴィンチ

レベルの才能って事ですね」


いやまぁ分かりやすくはなったけど…

それでもやっぱり非現実的過ぎて実感が持てない…


綾愛「まぁとりあえずめちゃくちゃ凄いって事は分かったよ」


天野「そんな感じで良いと思います」


まだ納得していないリアが端の方で唸っているが見ないふりをしておこう。


リア「…まぁ良いですよそれで…

話を戻します。

そもそも私がこの世界に来た理由…

それは、私と同じ"対象者"を探しに来たんです。」



一応さっきも出てたな"対象者"


リア「私の固有能力は【例外】というものなんですが、正直なことを言うと能力者である私ですらその詳細が分からない…いや知ることが出来ないんです。

本来なら能力の詳細などは脳に直接インプットされているんですけど、

【例外】にはそれがなく…

唯一分かることは二人一組の能力である事。

それだけです」


綾愛「二人一組…」


リア「はい。そして私の姉は未来観測系の能力を持っているんですが、 その姉が言ったんです。 『例外の片割れは人界、京都に現れる』って」


そう言いながら、

リアはこちらを真っ直ぐ見つめる。

その瞳は冗談を言っているようには見えなかった。


リア「だから私は京都に来ました。 そして…綾愛に会った」


綾愛「……」


リア「正直、最初に抱き止めた時点で分かってました。 『ああ、この人だ』って」


綾愛「なんかそう言われると恥ずかしいんだけど…」


リア「なぜですか? 運命の出会いですよ?」


綾愛「言い方ぁ!」


思わず声が裏返る。

そんな私を見て、 リアがクスクスと笑う。


……くそ。 かわいいなこいつ。


天野「まぁ実際、 リアさんの言っている事はほぼ確定でしょうね」


綾愛「天野さんまで…」


天野「そもそも【例外】という能力自体が存在規模として異常なんですよ。 しかも片割れ同士でしか成立しない能力… そんなものが偶然二人揃うなんてありえません」



天野さんはそこで一度区切る。


天野「それに、 天織さんの戦闘…

一応私も見ていましたがどう見ても普通じゃない。

能力制御も出来ていない、 戦闘経験も皆無…

にも関わらず中級クラスの能力者を一撃で制圧。

常識外れもいいところです」



綾愛「分からない…なんか急に怖くなってきた…」


端から見れば冴えない女子高生がチート能力に目覚めて無双!

的な感じかもしれない…

というか私もそう思うだろうけど、

現実問題いきなりこんな事が起きてしまったら正直何もかも分からなすぎて怖いが勝つ。



リア「安心してください! 私も分かってません!」


綾愛「安心できる要素どこ!?」


口を開いたと思ったらこれだ。

あまりにも短絡的すぎないか?


リア「でも少なくとも、 今の綾愛はかなり危険な状態です」


先程までの軽い調子とは違う声音。


リア「今の綾愛は、 能力の出力だけが暴走している状態なんです。

人界基準で言うなら… 核融合炉を赤ちゃんが操作してるようなものですね」


綾愛「急に例えが怖いんだけど」


リア「しかも綾愛、起きてからずっと能力以外も無意識で常時漏れてますからね」


綾愛「なにが!?」


リア「生力が」


綾愛「なんで!?全然わかんないんだけど!?」


天野「事情を知ってる僕も今の状態の綾愛さんは怖いですし危ないです」


綾愛「天野さん!?」


天野「いえ責めているわけではなく…

単純に現状、天織さん本人ですら自分の力を制御出来ていない。

これは一般社会は勿論…

能力者社会でもかなり危険視される状態です」


空気が少しだけ重くなる。

だが、 そんな空気を壊すようにリアが口を開いた。


リア「なので! 綾愛には私と一緒に異界へ来てもらいます!」


綾愛「…………え?」


あまりにも突然だった。


リア「異界ならお姉ちゃんもお父さんもいて能力について調べられます。

それに私自身も能力をほとんど使いこなせてないので、 二人で覚醒イベント起こしちゃいましょう!」


綾愛「いやいやいや待って待って待って」


流石に情報量が多すぎる。


綾愛「異世界だよね? それ。 めっちゃ気軽に言ってくれちゃってるけど」


リア「私は実家に帰省ですけど、綾愛は……はい!」


綾愛「いや『はい!』じゃなくて!」


私は頭を抱える。

異世界。 能力。 神。 魔王。 惑星を容易に壊す個人。


さっきからずっとファンタジー作品みたいな話ばかりだが、 今度はとうとう異世界渡航である。


綾愛「……いや無理でしょ普通に」


リア「え?」


綾愛「いやだって! 私普通にバイトあるし! 家族いるし! 急に異世界行きますとか無理なんだけど!?」


リア「あっ」


そこで初めて気付いたような顔をするリア。

こいつがどういうやつかだんだん掴めてきたな。


リア「……人界ってめんどくさいですね」


綾愛「異世界様から見たらそうでしょうね」


天野「まぁ、ここに関しては天織さんに同意します」


助かった。 流石に天野さんはまともだった。


天野「正直、 今のお二人がいきなり異界へ向かうのは危険すぎます」


リア「むぅ…」


天野「リアさんは能力制御が不完全。 天織さんは出力制御が出来ない。

現状では戦力というより爆弾ですよ」


綾愛「言い方」


天野「事実ですからね」


否定できないのが悲しい。


天野「ですので、 提案があります」

そう言って、 天野さんはテーブルに1個の端末を置いた。

そこに表示されていたのは、 幾つもの資料と写真。

中に何名かの顔写真もある。


天野「僕の所属している組織、

『暗栄の守護者』の依頼を受けてみませんか?」


綾愛「暗栄の守護者…」


リア「おぉ〜」


厨ニチックだな…いやまぁ異世界では常識なのかも。


天野「一応、 人界では最大級の裏組織ですね。

創設者は“五皇帝”の一人です」


綾愛「ごこうてい?」


天野「現在確認されている存在の中で、

最強格とされる五名の総称です。

全世界最強の能力者達… と言った方が分かりやすいですかね。

そのなかでも4位の地位を冠するお方…

【アマノジャク】"渚琥珀"様が組織の創設者です。

覚えておくと何処かで役に立つかもしれませんよ」


さらっととんでもないワードが増えた。

もう驚き疲れてきたな。


天野「暗栄の守護者は、 能力犯罪や異世界由来の問題を秘密裏に処理しています。 そして、 能力者の育成機関としての役割も持っています」


リア「つまり実戦形式の修行ですね!」


天野「そういうことです」


綾愛「……でも私、 戦える気しないんだけど」


天野「安心してください。 最初は軽度任務からです」


綾愛「その軽度任務って人死んだりしませんよね?」


天野「時と場合によります」


綾愛「怖っ」


リア「でも報酬かなり良いですよ?」


綾愛「……ちなみに?」


天野「一件でそのへんの仕事の年収くらいは…」


綾愛「やります」


即答だった。


リア「早い」


天野「即決でしたね」


綾愛「だってお金大事だし…」


切実である。

というか、 能力だ異世界だと言われても、

結局現実問題として生活費は必要なのだ。


天野「それでは契約成立ということで」


綾愛「いや待ってくださいまだ心の準備が」


リア「では早速行きましょう!」


綾愛「話聞いてた!?」


勢いよく立ち上がるリア。


リア「まずは依頼ですね!」


綾愛「その前に家! 家族! 説明!」


リア「あっ」


また忘れてたなこいつ。


天野「……先にそちらですね」


流石に苦笑している。


綾愛「突然何日も帰らなかったら普通に警察沙汰になるんですけど…」


リア「なるほど… 人界難しいですね…」


綾愛「最低限の社会性よそれは」


リアはむぅと頬を膨らませる。

だが次の瞬間、 何かを思い付いたように顔を上げた。


リア「じゃあ私も行きます!」


綾愛「へ?」


リア「ご家族への説明! こういうのは誠意が大事ですからね!」


綾愛「いやいやいや! 絶対話ややこしくなるって!」


リア「大丈夫です! 私コミュニケーション得意なので!」


綾愛「その自信どっから来るの!?」


天野「……天織さん、 頑張ってください」


綾愛「他人事みたいに言わないでくださいよ!?」


だが、 天野さんは少しだけ真面目な表情になる。


天野「ただ…… 本当に気をつけてください」


綾愛「?」


天野「これから先、 天織さん達は確実に普通の世界には戻れません。【例外】はそれほどまでに特別な能力です」


その言葉だけは、 妙に重く胸へ沈んだ。


リア「……でも大丈夫ですよ」


気付けば、 リアがすぐ隣に立っていた。


リア「私がいますから」


綾愛「……」


その笑顔は、 どこまでも無邪気で。

だけど不思議と、 少しだけ安心出来てしまうものだった。

……まあ。

ここまで来たら、 もう進むしかないのだろう。


私は隣の少女へと視線を向けた後、

決意を固めた。




もっとうまくかけないものか…

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