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夢追い人

どこまでも広がっている平原の真ん中を、まっ二つに割るかのようにまっすぐに伸びる道。

そんな道の上を少年と少女が歩いていた。

少年はジーパンに白いTシャツを着て、その上に黒いカーディガンを羽織って、その袖を肘の高さまでまくっている。

少女はカーゴパンツに黒い長袖を着て、その袖を肘までまくっている。

遠くから見ると同じような恰好なのだが、近くで見ると素材の差が目に見える。

そんな二人は他愛もない話をしながら歩いていく。


「思うんだけどさ、このまま歩いていくとするじゃん? そうしたらさ、どこに行けるんだろうな」

「どういうこと?」

「『山』って言っても伝説上のものだろ? だとしたら、実際にあるのは『山』じゃないかもしれない」

「んん?」


よくわかってない少女に少年はわかりやすく説明しようと試みた。


「だーかーらー。この道の先にあるのは『山』じゃないかもしれないってこと。もしかしたらでーっかい花畑かもしれないし、でーっかい家が一軒だけ立っているかもしれない。もしくはどこかで道が途切れてるかもしれないってこと」

「んー。でもとりあえずは信じるしかないじゃない?」

「信じる?」

「そ。『山』を目指して旅をしている以上、『山』っていう存在を信じていないと目標が無くなっちゃうもん。その途中でそれよりも大切な目標が出来たんならそれはそれでいいと思うよ? でも旅人は夢追い人っていうじゃん。ロマンチストってやつだよ」

「ロマンチストねぇ」


少年は、少女の言うことはもっともだと思ったし、否定しようという気もない。ただ少年にはこうやって歩いていくことに対する冒険心みたいなものはあるが、それの10分の1ぐらいの大きさで不安もあるのだ。

少女について行く形で始まってしまったこの旅。

考えたのも1晩だけ。結局は勢いで少女と旅をしているせいか、少年は『山』という存在をあまり信じていなかった。言い方によっては、あの集落から『逃げてきた』のかもしれない。

でもこんな少女と旅をしてきて思ったこともある。

世界の広さや別の集落の人たちの暮らし方。労働以外での疲れ方なんかも知った。

そして少年は少女の言葉に答える。


「俺もロマンチストなのかなぁ?」

「もちろん。だって私たち旅人でしょ?」


少年は間髪入れずに答えた少女に小さく笑い、笑顔で答えた。


「俺は『山』じゃなくてもいいや。とりあえずこの道を歩いていく。そしてこの道の先に何があるかのこの目で見たい。それが俺の目標だ」

「絶対『山』だって! ってゆーか『山』じゃないと私が困るんですけどー」

「そんなもんは知らん。俺は自分の目標を果たすだけだ」

「もう飴あげないんだからねー」


目標こそ違えど、同じ道を二人は今日も歩いていく。


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