雨降る道
まっすぐに伸びる道を少年と少女が歩いていた。
しかしあいにくの雨。二人は水を弾く素材でできた長いコートを着て、それについているフードをかぶって歩き続けている。
ポツポツと雨がコートに当たっているが、あまり気にせずに話しながら二人は歩き続けている。
「雨ってなんかいいよね」
「あーわかるわ。俺も好きだもん」
「だしょ?」
「だしょってなんだよ」
「噛んだの。気にしないでください」
「はいはい」
「でもこういう刺激がたまにあるといいよねー」
「それもそうだな。毎日景色があんまり変わんないもんな。たまに木が生えてたり花が咲いてたりするけど、たくさん見てきたし」
「それはそれで好きだけどね」
少女が雨越しに少年を見る。少年は少女の視線に気がついていたが、ぬかるんだ道で転ばないように気を付けていたので、あえてそちらを見なかった。
「道ぐちゃぐちゃだな」
「わたしなんか足もべちゃべちゃだよ」
「雨やんだら靴ごと洗わないと。いい感じの水場があるといいんだけどなぁ」
「この雨の後だから水たまりならたくさん見つかりそうだけど」
「じゃあその水たまりで洗っていいぞ。俺は水場探すから」
「ひどい! 私も探すもん!」
「ちょ、やめっ」
少女は少年の腕をポコスカと叩いた。
少年はバランスを崩して転ばないようにするために、少女の方を見ずに反対側の手で猛攻を防いだ。
一通り防ぎきると、少女の気も鎮まったのか、また並んで歩き出す。
「はしゃいで雨でからだ冷やして風邪でも引いたら大変なんだから、あんまりはしゃぐなよ」
「はーい」
「わかればいいんだ」
「それにしても雨はいい。うん。いいね」
うんうんと頷きながら笑顔を作る少女。
そんな少女を見ながら少年は、今日の夜も野宿だったら寝る場所はどうしようかと考えていた。
雨の良さを感じる少女と、寝床の心配をする少年は、今日もまっすぐな道を歩いていた。




