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屋根のあるところ

少年の集落を出てから、次の集落までは遠かった。

1日目は交代しながら火の番をしながら野宿で夜を明かし、その次の日もひたすら歩いていたが、その日も野宿をし、少年の集落を出てから3日目にさしかかっていた。


「なぁ」

「ん?」

「分かれ道を過ぎてどのくらい経った?」

「んー・・・たくさん?」

「・・・はぁ」


こんなに歩くと思っていなかったのか、少し疲れた様子を見せる少年。

少女の方はケロッとした様子でテクテクと歩いている。

2日目に分かれ道を見つけてから、日が沈んでまた昇って頭の真上にまで来ている。

少年はジーパンは変わっていないが、上は緑の長袖を着ている。

少女もカーゴパンツは変わっていないが、上は黒い長袖を着ている。


「疲れた? 休もうか?」

「いや、いい。今日こそ屋根のあるところで寝るんだ」

「それはいい心がけだね」

「野宿だとお前みたいにスっと寝てパッと起きれないんだよ」

「そうなの?」

「睡眠の訓練でもしてたのか?」

「昔から寝起きはいいって言われてたけど、寝るときは気がついたら寝てるからなんとも言えないなー」


アハハと笑う少女に少年は小さくため息をついた。


「その無尽蔵な体力はどこから来てるんだ」

「どこだろうね。昔から運動とか得意だったしそのせいかも」

「俺だって運動は得意だ。でもこんななんにもないところを何日も何日も歩くなんて常人のすることじゃないだろ」


少年は思っていることを少女にぶつけた。

確かに周りは平原が作る緑ばかり。ここに草が生えていなければ、進んでいるのか止まっているのか、はたまた戻っているのかもわからないぐらいの緑だ。

こんなところを一人で歩いていたならば、気がおかしくなってしまうかもしれない。

しかし少年は、自分に会うまでは、少女が一人で歩いていたということを思い出し、言ってから『しまった』と思った。少女への悪口を言ってしまったと思ったのだ。

すぐに足を止めて口を押さえるが、口から出た言葉は戻ってくることはなかった。

少女は同じく足を止め、少年をまっすぐに見据えたが、何事もなかったかのように再び歩きだした。

少年は何か言われると思って身構えていたが、歩きだした少女を見て慌てて追いかけた。


「何も言わないのかよ」

「何か言って欲しかったの?」

「いや、別に・・・」


拍子抜けしてしまう少年とは裏腹に、少女はクスクスと笑った。


「そんなことより、ほら。見えてきたよ」


少女が指さした先には、家がぽつりぽつりと見え始めていた。

集落の端のほうなのだろうが、家があるということは集落があるということであった。


「おっ! おぉ! すげぇ! やっとみつかった!」

「良かったね。これで屋根のあるところで寝れるね」

「おう! 早くいこうぜ!」

「うんっ」


集落が見えてテンションが上がる二人。

少年に続いて少女が走り出した途端、少年は『あっ』とすぐに足を止めた。それにならって少女も止まった。


「どしたの?」

「あー・・・さっきは悪かったな」

「・・・気にしてないって」

「それならいいんだ。行くか!」

「おうよ!」


そして短い仲直りをして、再び走って集落へと向かう二人だった。

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