最初の集落で
木製の家がざっと30軒ほど立ち並び、丁寧に4つのエリアに区画された集落へとやってきた少年と少女。
そこは集落と呼ぶには大きく、町と呼ぶには小さい規模の集落だった。
聖人が作った道から分かれて延びた道があり、その道と交差して集落の中心を示すかのような道が引かれていた。どちらの道も、集落の終わりのあたりで草が生えて平原とつながっており、そこまでが集落だと言わんばかりの整備のされ方だった。
道が交わっているところを中心として、上から見て、右上、右下、左上、左下の4つのエリアに区画されいた。聖人の道への道は、下の方へと伸びている。
少年と少女はその下の道からやってきた。
「デカいところだな」
「うん。大きいね」
二人ともその大きさに驚きを隠せなかった。
そのまま誰から見ても余所者な二人は、キョロキョロと建てられている家を見ながらまっすぐ歩いた。
そこで第一集落人発見。
少しぽっちゃりとした中年の女性が二人の正面からやってきた。
「あらま。旅人さん?」
「はい」
「あらあら。小さい旅人さんだこと。こんな辺鄙なところまでよく来たわねぇ。疲れたでしょう。さぁ。うちで休んでおいきなさい」
矢継ぎ早にそう言うと、二人の背中を押して家の中へと案内した。
二人は行為に甘えさせてもらうことにし、案内されるまま家の中へと入った。
少年は初めての集落ということもあって、少し緊張していてあまりしゃべれなかった。
家の真ん中に円型のテーブルが1つあり、そのテーブルに4脚の椅子がある。他には寝床の布団と、キッチンに食器がいくつか置いてある。窓際には、植木鉢に植えられた花が飾ってあった。
二人は椅子に座るように促され、4つある内の2つにそれぞれ腰を下ろした。
「ありがとうございます」
「いいのよー。旅人さんなんて滅多に来ないんだし、きっとみんなも珍しがるわ」
「珍しがる、っすか」
少年は思ったままを口にした。
少年の集落は分かれ道から10分と歩かない距離にあったため、旅人の訪問は珍しくなかった。
だから旅人は珍しくはなかったし、旅人用の宿舎みたいのもあったぐらいだった。
「あなたのところは旅人さんがよく来たの?」
「まぁよくではないですけど、5日に1人くらいは」
「ここなんか前に旅人さんが来たのなんていつかわからないくらい前よ。10日・・・もっと前かしら」
「そんなに、っすか」
「ちょっと休んだら、外を見て回りたいんですけど、勝手に出歩いてても大丈夫ですか?」
「そんなこと言わないで私が案内してあげるわよ。他の人も紹介するわよ」
少女の問いかけに、快く引き受けてくれたおばちゃんに感謝の意を告げて、二人は差し出されたお茶を口にした。
その後、集落の手厚い歓迎を受け、最初に出会ったおばちゃんのところに寝泊まりすることになり、余っていた布団を借りて、少年と少女は並んで横になった。
「良い人達だったね」
「あぁ。もう腹一杯。こんなに食べたの久しぶり」
「いっぱい食べてたもんね。私もお腹いっぱいー」
寝転がりながら自分のお腹をさする二人。
「はぁ。お水とか食べ物ももらったから、これでしばらくは大丈夫だね」
「俺の荷物が重くなった」
「ありがとうございます」
「明日は早いんだろ?」
「うん。夜明けぐらいに出て、日が昇る前には半分ぐらい戻りたいかな。あと歩いてる途中に朝日を見たいなぁ」
「何回でも朝日なんて見れるって。俺ですらもう2回も見たんだから」
「何回見ても綺麗なのにまだわかんないんだもんねぇ」
「どうせ俺にはわからんよ。そんなことより、またあの道を戻るのか・・・しばらく野宿が続くな」
「だね。でも良いところに来れたんだから、それはそれでよかったんじゃない?」
「それもそうだ。旅のいい思い出になるさ。次の集落についたときにでも笑い話にもなるしな」
「せっかく旅してるんだから、楽しまないといけないよね」
「そうと決まれば寝るか」
「屋根があるからって寝過ごさないでよ? ちゃんと起こすからね」
「自力で起きてやるっての」
「じゃあおやすみなさい」
「ん。おやすみ」
少女の寝息がすぐに聞こえ、その寝息を聞きながら少年は眠りについた。
次の日の夜明け前。
少年が少女に起こされたのは言うまでもなかった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いていただけると嬉しいです。
来た道を戻る。
残りの距離がわかるのとわからないのとでは疲れ方に差が出てきますね。
次回もお楽しみに!




