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第3期 第3話 「ようこそ、私たちの家へ」

挿絵(By みてみん)


日曜日、午前九時。


ユウキはスマートフォンを握りしめたまま、部屋の中を落ち着かず歩き回っていた。


「まだかな……。」


今日は、不動産会社から入居審査の結果が届く日。


時計が九時を回った、その瞬間。


ピコン。


メールが届く。


件名。


『入居審査結果のお知らせ』


「来た……!」


深呼吸をしてメールを開く。


そこには――


『ご契約手続きのご案内』


その文字があった。


「……!」


「通った!」


思わず声が出る。


すぐにマミへ電話をかけた。


「もしもし!」


「マミ!」


「うん!」


「通った!」


数秒の沈黙。


「……本当に?」


「本当!」


「やったぁ!」


電話の向こうでマミの嬉しそうな声が響く。


「決まったんだね!」


「俺たちの部屋。」


「うん。」


「私たちの家!」


二人は笑い合った。


翌週。


契約を終えた二人は、家具専門店へ向かっていた。


「今日は買うものいっぱいだね。」


「リスト作ってきたよ。」


マミがスマホを見せる。


・ソファ


・ダイニングテーブル


・ベッド


・カーテン


・食器


・電子レンジ


・炊飯器


・観葉植物


「最後だけなんか違う。」


ユウキが笑う。


「癒やしは大事。」


「そういうもの?」


「そういうもの。」


まずはソファ売り場。


「これ座ってみよう。」


二人並んで腰掛ける。


「柔らかい。」


「気持ちいい。」


マミは嬉しそうに座り心地を確かめる。


「ここで映画観たい。」


「ポップコーン食べながら?」


「うん!」


「賛成。」


未来の休日を想像して、自然と笑顔になる。


次はベッド。


「ダブル?」


「クイーン?」


二人とも少し照れる。


店員が微笑みながら説明する。


「お二人でしたら、クイーンサイズの方がゆったりお休みいただけますよ。」


「そ、そうですか。」


ユウキが照れながら答える。


マミも耳まで赤くなっていた。


「じゃあ。」


「クイーンで。」


小さな声でそう言う。


昼食はショッピングモールのフードコート。


「疲れたね。」


「でも楽しい。」


マミはジュースを飲みながら笑う。


「ユウキ。」


「ん?」


「こういう時間。」


「好き。」


「俺も。」


「買い物なのに。」


「デートみたい。」


「いや。」


ユウキは笑う。


「これはもう。」


「新婚さんみたい。」


「……!」


マミは真っ赤になった。


「もう!」


「そういうこと急に言わない!」


「ごめん。」


「でも。」


「ちょっと想像した。」


「私も。」


二人は照れながら笑い合う。


午後。


最後に家電量販店へ。


炊飯器の前で立ち止まる。


「どれがいいかな。」


「料理担当に任せます。」


「担当?」


「マミ七割。」


「ユウキ三割。」


「三割もやるの?」


「努力します。」


「期待してる。」


その笑顔を見て、ユウキも笑った。


夕方。


新居へ立ち寄る。


まだ何もないリビング。


段ボールすら置かれていない。


二人は床に並んで座った。


「広いね。」


「うん。」


静かな部屋。


窓から夕日が差し込んでいる。


「ねぇ。」


マミが小さく言う。


「ここで。」


「一緒に暮らすんだね。」


「そうだね。」


「朝も。」


「夜も。」


「毎日。」


ユウキは静かに頷く。


「帰ってきたら。」


「『おかえり』って言って。」


「『ただいま』って返す。」


「ずっと憧れてた。」


「俺も。」


マミはそっとユウキの肩にもたれかかった。


「高校一年生の私たち。」


「今の私たち見たら。」


「泣いちゃうかな。」


「いや。」


「照れすぎて逃げる。」


「それもありそう。」


二人は声を出して笑った。


帰る前。


玄関で振り返る。


「また来よう。」


「今度は。」


「引っ越しの日。」


「うん。」


鍵を閉める。


まだ何もない部屋。


でも。


そこには二人の未来が詰まっていた。


その夜。


マミは新居の写真を見ながら眠りにつく。


ユウキも同じ写真を眺めていた。


「あと少し。」


「もうすぐ。」


「一緒に暮らせる。」


そんな期待に胸を膨らませながら。


しかし翌日。


二人は「一緒に暮らす」ということの難しさを、初めて知る出来事に直面する。


家事。


生活リズム。


価値観。


幸せな同棲生活の前に、思いもよらないすれ違いが待っていた。


――第4話「家事分担、大論争!?」へ続く。

『初恋は、十年越しに花開く。』を読んでくださり、本当にありがとうございます。


ユウキとマミの物語を「面白かった」「続きも読んでみたい」と少しでも感じていただけましたら、評価をつけていただけると、とても励みになります。


そして、


「二人の再会が好きだった」

「このシーンが心に残った」

「マミがかわいかった!」

「ユウキ、もっと勇気出せ!」


そんな一言だけでも、感想をいただけたら嬉しいです。


もちろん、レビューも大歓迎です。


皆さまからいただく評価・感想・レビューの一つひとつが、これから物語を書き続けていく大きな力になります。


そして何より――


この作品をきっかけに、


「誰かを好きになるって、やっぱりいいな」


そう思っていただけたなら、作者としてこれ以上嬉しいことはありません。


まだ評価されていない方は、ぜひ応援していただけると嬉しいです。

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