第九話 白銀の援軍と、断ち切られた虚空
荒れ狂う海域、ゼノス帝国の主力艦隊が放つ「消去の波動」が、幾重にも重なり合い、アルスたちの『エターナル・リライト号』を包囲していた。
サバスが内部から敵艦を沈黙させ、ロイが甲板で飛来する魔導弾を切り伏せているが、敵の物量は圧倒的だ。巨大浮遊要塞『終焉の揺り籠』の主砲が、不気味な黒い光を蓄え、アルスの正面へと照準を合わせた。
「……概念の臨界点まで、あと三十秒。ロイ、衝撃に備えて!」
「御意に! ……ですが、閣下、あれを受ければ船ごと『存在』が消えますぞ!」
アルスが『概念修復』を最大出力で展開しようとした、その時――。
北の水平線から、一条の鋭い銀光が海面を割って突き進んできた。
「――そこまでだ、ゼノスの亡霊ども! 我が弟の行く手を、これ以上阻ませはしない!」
波飛沫を上げ、空を跳ぶように現れたのは、辺境伯家特製の高速魔導艇。
その船首に立つのは、王都での戦いを終え、一族の誇りを取り戻した『剣聖』エドワードだった。
【兄弟の共鳴:断空の一閃】
「エドワード兄さん……! 間に合ったんだね!」
「ああ、アルス! 叔父様と叔母様から、最高の『脚』を借りてきたよ。……さあ、あんな不細工な砲口、僕たちで塞いでやろう!」
エドワードが魔導艇から跳躍した。
重力を無視したその軌道は、まさに天を駆ける一閃。
彼は空中で愛剣を抜き放ち、アルスの放つ黄金の魔力と、自身の銀色の剣気を完全に同期させた。
「ロイ、合わせろ! 『絶界・双龍旋』!!」
ロイが甲板から跳ね上がり、エドワードと空中で交差する。
アルスが修復した二人の「血脈の共鳴」が、目に見える巨大な光の渦となって、帝国の主砲から放たれた黒い波動を真っ向から受け止めた。
ガキィィィィィィィィィィン!!
空間がひび割れるような衝撃。
消去の波動は、二人の剣聖の合撃によって「切断」され、海へと霧散していった。
「……バカな!? 我が帝国の『終焉の光』を、ただの剣で斬ったというのか!?」
要塞の指令室で、首領が驚愕に目を見開く。
【最強の布陣:反撃の号令】
エドワードが『エターナル・リライト号』の甲板に着地し、アルスの隣に立った。
ロイ、サバス(影から帰還)、リィナ、ミーナ、ファラン、ハティ。
そして、ついに合流した最強の「兄」。
「……役者は揃ったね」
アルスはソル・レイスを天に掲げた。
彼の瞳には、要塞の奥底に潜む「世界のシステムエラー」の核心部がはっきりと見えていた。
「エドワード兄さん、ロイ。……あの要塞の『核』を叩く。……サバス、内部の案内を。……リィナ、僕たちの『存在』が消えないよう、魂の調律を頼むよ」
「「「御意に!!」」」
一丸となった一行を乗せ、船は加速する。
帝国の傲慢な支配に終止符を打つための、真の突入作戦が始まった。
いかがでしょうか。
エドワードの劇的な参戦により、アルス陣営の戦力が最大化される熱いシーンにしました。




