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『鑑定スキルが「古紙回収」だった俺、魔導書の断片を綴じ直して伝説の賢者へ至る』  作者: rk04448
第三章『ゼノス帝国編:終焉の設計図(プロトコル)と再編の賢者』
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虚無の海、賢者の福音

東の地平線が、どす黒い紫色の雲に覆われていた。

 『エターナル・リライト号』の艦橋に立つアルスの視界に、ついにその「絶望」が姿を現した。

 海面を埋め尽くすのは、木造船の常識を打ち破る、鋼鉄の鱗を纏ったゼノス帝国の魔導戦艦。中央には、雲を突き抜け、島一つに匹敵する巨躯を浮遊させる超巨大要塞『終焉の揺りラスト・クレイドル』が鎮座している。

「……あれが、世界を初期化しようとする『バグの源泉』か」

 アルスは『ソル・レイス』の柄を握りしめた。

 要塞の頂点から放たれた黒い波動が、海面を舐めるように広がっていく。その波動が触れた飛沫しぶきは、蒸発するのではなく、最初から水が存在しなかったかのように空間から「消去」されていった。

「閣下! 敵、先遣部隊より一斉射撃が来ます!」

 ロイの鋭い警告。

 帝国の戦艦群から放たれた数千の黒い魔力弾が、放物線を描いてアルスたちの船へと降り注ぐ。それは物理的な破壊ではなく、船という『概念』をバラバラにする死の雨だった。

「サバス、ロイ。……ここからは僕が『理』を書き換える」

 アルスは一歩前に出、空中に巨大な幾何学模様の魔法陣を展開した。

 前世の分子科学知識と、エルフから受け継いだ神代の術式を融合させた、対・帝国用広域防御魔法。

「『概念修復・事象反転ミラー・リライト』!!」

 アルスの指先から放たれた黄金の光が、船を包む半球状の結界となった。

 降り注ぐ黒い魔力弾がその結界に触れた瞬間――。

 「……なっ、魔法が跳ね返っただと!?」

 

 帝国の魔導師たちの驚愕の叫びが響く。

 消去の波動は、アルスの結界に触れた瞬間にその「ベクトル(方向性)」を反転させ、放たれた元である帝国の戦艦群へと、倍の威力で突き刺さった。

 ドォォォォン!!

 自分たちの放った「虚無」に呑み込まれ、次々と消滅していく帝国の艦船。

 アルスの瞳には、冷静な「修復師」としての計算が宿っていた。

「……理屈は分かったよ。君たちの『消去』は、世界の情報を削り取っているだけだ。……なら、僕はその削られた場所に、新しい『ルール』を上書きするまでだ」

 その時、巨大要塞『終焉の揺り籠』から、地響きのような不気味な鐘の音が鳴り響いた。

 要塞の正面が開き、そこから一人の男が、黒い翼を広げて現れた。

『ククク……。面白い。情報の賢者よ、貴様の書き換え、どれほどの厚みがあるか試してやろう』

 それは、世界樹の裏側で戦った首領の本体。

 そしてその背後には、王都から転移させられた、変わり果てた姿の父・レトヴィス伯爵と兄カイルが、帝国の「生体兵器」として浮かんでいた。

「……父上、兄様。……そこまで堕ちたのか」

 アルスの傍らで、ロイが静かに剣を抜く。

 リィナが調律の鈴を鳴らし、ミーナがその「真実」を記録し、ファランが矢を番える。

 海を割るような咆哮と共に、帝国の本軍が動き出す。

 世界の存亡を賭けた、海上の決戦が幕を開けた。

いかがでしょうか。

アルスの「反転魔法」による圧倒的なカウンター、そして要塞から現れた首領と、帝国の操り人形となった父・兄との対峙を描きました。

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