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『鑑定スキルが「古紙回収」だった俺、魔導書の断片を綴じ直して伝説の賢者へ至る』  作者: rk04448
第三章『ゼノス帝国編:終焉の設計図(プロトコル)と再編の賢者』
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第七話 断罪の双璧、そして空虚な転送

王都ルミナスの夜。レトヴィス伯爵邸の庭園は、今や白銀と漆黒が激突する「因縁の断層」と化していた。

 エレナ伯爵夫人の放つ『慈愛の天秤』の光が、弟であるレトヴィス伯爵の足元を縛り、ラインハルト辺境伯の『不動の要塞』が、カイルの放つ「消去の衝撃波」を無力化し続ける。

「……ぐ、あああぁっ! 姉上……貴様、実の弟を、家督を継いだこの私を、裁こうというのか!」

 黒い血管を浮き上がらせ、醜く歪んだ顔で吠える父。対するエレナは、悲しみを押し殺した慈愛の瞳で、弟を見据えていた。

「……ええ。レトヴィスの名は、誇り高き『盾』であるはず。……今の貴方は、ただの壊れた『暴力』です。……ハンス(ラインハルト辺境伯)、今です!」

「承知した。……『不動の重圧プレッシャー』!」

 辺境伯が地を叩くと、伯爵とカイルの周囲の重力が百倍に跳ね上がった。帝国の魔改造を受け、人外の筋力を得た二人でさえ、膝をつき、地面にめり込んでいく。

【エドワードの決断:過去の埋葬】

 その隙を逃さず、エドワードが中央へ躍り出た。

 彼の銀色の剣には、エレナの「浄化」の光が宿っている。

「……父上、兄上。……これが、アルスが信じた『未来』の重さです!」

 エドワードが『剣聖・終焉の一閃ファイナル・スラッシュ』を放とうとした、その瞬間だった。

 空を裂くような不気味な「笑い声」が、頭上の闇から響き渡った。

『――ククク、そこまでだ。……実験体サンプルをこれ以上、ルミナスの塵にさせるわけにはいかないのでな』

 夜空に巨大な幾何学模様の「黒い穴」が開いた。ゼノス帝国の強制転移門である。

 そこから伸びてきた漆黒の鎖が、動けない伯爵とカイルの体を強引に巻き取った。

「なっ……何だこれは!?」

「待て! まだ戦える、私は……聖騎士だああああっ!!」

 カイルの絶叫も虚しく、二人の体は光の粒子へと分解され、次元の穴へと吸い込まれていく。

「……逃がすか!」

 エドワードが跳躍し、鎖を断ち切ろうと剣を振るうが、門から放たれた強烈な「拒絶の波動」に弾き飛ばされた。

【静寂の後に】

 転移門が閉じ、庭園に冷たい夜風だけが戻る。

 エレナは力なく膝をつき、辺境伯がその肩を抱き寄せた。

「……逃げられましたか。……海の向こう、帝国の本国へ……」

 エドワードは鞘に剣を納め、震える拳を見つめた。

 救えなかった。……いや、あそこまで堕ちた二人は、もはやこの国のことわりでは裁けない場所へ行ってしまったのだ。

「……エドワード、顔を上げなさい。……これで、王都の膿は出し切りました」

 エレナが凛とした声を出す。

「……はい。……叔母様。……父上たちは、おそらく帝国の最前線に出されます。……アルスの前に、最悪の『敵』として現れるはずだ」

 エドワードは東の空を見上げた。

 そこでは今、アルスが艦隊を率いて戦っている。

「……ハンス叔父様。……僕を、アルスの元へ行かせてください。……王都の守りは、近衛騎士団に任せられます。……僕は、僕の家族の尻拭いをしなければならない」

「……よかろう。……辺境伯家の高速魔導艇を使え。……エドワード、君の『剣聖』の力、あのアッシュランドの賢者に貸してやってくれ」

 エドワードは頷き、夜明けを待たずに港へと駆け出した。

 一族の決着は、海を越えた「絶望の要塞」の上で、真のクライマックスを迎えることになる。


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