32/45 公示ースタートの号砲
選挙公示当日
出陣式は地元の商店街
議員時代から世話になった人たちの前で発する
これは変わらない
その後の第一声
これまでは駅前広場で十分だったのだが、いまや人気候補となった大塚の街頭演説には狭すぎる
大塚は子供の頃に遊んだ公園を選ぶことにした
物見遊山の気分で冷やかしに来た神野と倉田、真希は待ち合わせて公園に向かい、ナツと山口は商店街で街ブラ中継の後、合流することになっていた
会場には時間前にも関わらず多くの人が集まっている
演説用の車両はすでに公園前にスタンバっていてスタッフが準備に忙しそうだ
「あらあ、大人しい人ばっかりじゃない
もっと野次とか喧嘩とかあるかと思ったのに」
真希が聴衆を見渡して言った
「カンベンしてよw」
これまで散々尻ぬぐいをしてきた神野はうんざりした顔で笑う
「でもさ、ひと波乱あった方が話題になったりして
アメリカの大統領みたいに襲われると支持率上がっちゃうとか」
倉田は呑気なものだ
「クラちゃん、ほら、噂の彼女が来たわよ」
真希が指差す方から大塚たちがスタッフと共に歩いて来るのが見えた
沿道から支持者が手を振っている
エメラルドグリーンのジャンパーの一団が神野たちに会釈しながら過ぎてゆき、ざわめきはどんどん高まって人もさらに増えて来た
「おい神野、なんか言っただろ」
倉田が小さな声で言ってきた
「なんのことだ?」
「早苗ちゃんのことだよ
なんで真希まで知ってんだよ」
「さあね」
「しゃ、ちょ、おー」
道の向こう側からナツが手を振りながら叫んでいるのが見えた
散歩中に出会ったのか幼稚園児に囲まれてこちらに歩いてくる
「きれいなオネエサンは好きですかー?」
「はーい」
山口は若いママたちと楽しそうに話しながら園児の世話をやいている
動画配信というのは幼児の間にも認知されているらしく、好感度アップにはまたとない画だ
神野がにやけた顔でナツを見るので、倉田と真希は笑いが止まらない
公園の方からどよめきが聞こえて来た
そろそろ始まるのかと皆が振り向いた
【余計なお世話書き】
出陣式とか第一声というのは支持者にとってはとても大事なものらしく、ここは間違えない方がよろしいかと。
神野くんたちは呑気にしてますが、電話対応くらいはするのかな。
この日までにすべての準備を整えるのがベストなわけですが。




