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27/45 揚羽ー蝶を追う少年

早期の市長選が決定的となった

そうなると市長陣営は石川と副市長どちらが出るか

それが問題になる


「互助関係にする2馬力ってことはないですか?」


大塚が訊いた


「2馬力というのは支持層が違わないと効果が薄いですよね

 あからさまなのは違反になりますから、ないと思いますけど」


「ああ、そうか

 そうなると『弔い合戦』とか言い出しだりして」


「ただの病死なのに『合戦』って言われても」


「若い人たちには響かないでしょうねえ」


大塚と神野は苦笑しながらモニター越しに頷き合った


「順当なら石川氏を立てて、副市長を応援に回すでしょう

 大塚さんはどう思います?」


「副市長が納得しますかね」


「一期だけ副市長を続けて来期は市長へという約束とか」


「石川氏が一期で終わりますか?」


「あの人、市長というか政治家をやりたいって感じに見えないんですよ

 ただ『市長』という肩書が欲しいんじゃないですか?

 それで何か商売上有利になることがあるとか」


「ハンターライセンス的な?w」


「そんないいもんじゃないでしょw」


冗談混じりに言ったが、それはそれで厄介とも言えた

印象票は石川が、既得権益票は副市長がという役割分担はわかりやすくて市民ウケしそうだ


「副市長は県へのパイプがありますから、その固定票を活かしつつ、弔い票を上乗せという感じですか」


「前回より当選ラインが上がると思って、こっちは『そんなの関係ない』っていう若い票をかき集めましょう」




早朝の電話に始まり、この日は慌ただしく過ぎた


大塚は支援者の間を駆け回り、出馬表明の段取りをつけるため1日中事務所を留守にすることになった


夜8時を回ってからやっと戻ると、赤崎がひとり給湯室でコーヒーを淹れていた


「おかえりなさい」


「やあ、遅くまでごくろうさん、内田さんは直帰してもらったからもう上がってよ」


「コーヒー飲んだら帰ります

 市長選がらみの反応が多くて、メールやメッセージの返事に手間取っちゃって

 いまの時期は言葉を選ばないといけませんしね」


「神野さんがキミを褒めていたよ

 フォローアップ力がすごいって」


大塚は給湯室に入ると赤崎の後ろに立ち細い腰に手を回す


「だめですよ、スキャンダルになったばかりじゃないですか」


大塚は何も言わずに手に力を込めた

その手が胸に上がってくるのを感じて、赤崎は彼の手を抑えた


「どうしたんです?」


「神野さんがキミを彼の会社に欲しいって」


「そんなのリップサービスですよ、私は何も聞いてません」


「わかってるんだけど、もしキミがいなくなったらと思うと」


「困った人ですね、さあ離してください」


赤崎は笑いながら振り向きキスをしたが、大塚は彼女を離そうとしない


「最近、会ってくれないね」


「忙しいから仕方ないです」


「さなえ」


切なげにつぶやかれて根負けした


「わかりました、いつものホテルをとりますから、先に行っててください」


赤崎は彼の耳元で囁いた


「そんなにコソコソしなくたって、俺は」


「いまは大事な時期です

 どんな小さなほころびも許されないでしょ」


そう言うとやっと大塚は彼女を離した


(私のような女と付き合うってどういうことか、わかってないんだろうな)


銀座から六本木に流れた女が何を背負っているのか、大塚には想像もつかない

早苗には大塚が、ただただ美しい蝶を追いかける子供のように見えていた



【余計なお世話書き】

2馬力というか当選目的でない立候補は違反になったんでしたか、この場合は市長派の選挙協力かな。

早苗ちゃんは大塚さんのことどう思ってんですかね、本編とは関係ないんで詳しくは描いてませんが。

付いてきてくれたから、てっきり結婚まで行けると思ったらそうでもない、と。

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