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25/45 訃報ー弔いと開始の鐘が鳴る

9月の定例議会は少しばかり荒れた


案の定、大塚の写真は問題とされ、あわや第三者委員会だの百条委員会だのという話にまでなりそうになった


しかし大塚は、あらかじめ神野から送られてきた大量のフェイク画像を示し


「いまどき、こんなものは子供でも作れます

 光源が後方にありますから、人物はシルエットにならなければおかしい

 しかも二人の光の当たり方が逆になってます

 明らかなフェイク!

 名誉毀損案件です

 しかし大事なことは、子供たちにこういったものの危険を知らせ、AIの正しい使い方を広めることこそ急務ではないでしょうか」


とぶち上げた


「そもそも、ネット上の単なる噂話程度のことを、神聖なる議会に持ち込むなど…」


神野の入れ知恵とはいえ、ネット問題に詳しい大塚を論破できる者はおらず、結局この問題は不問とされて彼の完全勝利となった


このフェイク画像の一件はすでに拡散されていたようで、いつもより多く集まった市民の傍聴者から拍手と野次が飛び交って、さらにSNSにあげられて拡散していくこととなる


なかでもハイライトは男女問わず全議員の顔で作ったフェイク画像を、派手にばらまいたシーンだ

かなりの見せ場となったこのシーンは、再生回数をずいぶん稼いでくれた


一方で神野は敢えてネット上の火消しはしなかった

後援会にはきちんと説明させ、フェイクの証拠を見せて回らせたけれど、ネットでは『出来の悪いフェイク』と言うだけで強く反論はさせていない


相手にすれば喜ばせるのは目に見えている

むしろ「私も偽物(フェイク)が出るなんて有名になったもんだ」と余裕を見せる方が鎮火は早いだろう


どちらかというとナツのファンをなだめる方がめんどくさそうだ


議会後半、神野は大塚にビデオ通話を入れた


「大塚さん、その後いかがですか?」


「大丈夫です、後援会の方はフェイクだと信じてくれました」


「あれ? 内田さん、どうしました」


後ろに映っている内田が、おでこに大きな絆創膏をしているのが目に入った


「これは前の演説会で空き缶を投げられちゃって、有名税ですかね?」


そう言って内田は笑った


「野次なら言い負かせるんですけど、暴力は困りものです

 やり返すわけにはいきませんし」


大塚は穏やかそうに見えるが、気が短いところがあるので少々心配ではある


「ひどいようなら対策をしないといけませんね

 本番ではもっとひどくなると思います

 大塚さんは手を出しちゃダメですよ」


「出しませんよw

 今日から市長が休みで副市長が代理なんで、また喧嘩しそうですけどね」


「市長が休み?」


「体調不良だそうで、夏バテですかね」


その言葉を聞いて神野は画面から目をそらし考え始めた


大塚はコーヒーを飲みながら待っていたが、飲み終わっても神野は動かない


「あの、神野さん?」


「大塚さん」


やっと神野が話し始めた


「出馬の根回しはすんでますか?」


「はい、主だった支援者には了解取りました」


「ボランティアは?」


「いつも商店街の方にお願いしています」


「ポスターはできてるけどクルマはまだですよね」


「さすがにクルマの予約は…でも統一地方選じゃないですから間際でも大丈夫でしょう

 なんです?」


「このまま市長が戻らなかったら」


「あっ!」


そこで大塚も気が付いた


「もしかすると選挙が早まるかもしれません」



そして次の日


またも早朝に神野の電話が鳴った

大塚からだ


「訃報です!

 おじいちゃん、死んじゃいました」


(くそっ! やられた)


神野はバケツの水を浴びせられた気分で目が覚めた


【余計なお世話書き】

一地方都市の議員さんでは週刊誌ネタにはならず、ネットで騒がれるのがせいぜいかなと。

これからはネットの噂も馬鹿にはできなくなるのでしょうけど。

「おじいちゃん、死んじゃいました」って親戚じゃないんだからw

さすがにお正月まで引っ張れないので、早々に選挙戦突入いたします。

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