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16/45 円舞ー素敵なトライアングル

>おーい、ビデオ会議するけど神野も参加する?


>頼む、スケ送ってくれ


>メガネ掛けろし


>あいよ


大塚は神野のイメージ戦略でじわじわと人気を上げてきていたが、選挙戦はまだ表面化していない

小さな地方都市の市長選など、誰もがまた無風の選挙になると思っている段階だ


そんなとき倉田からメッセージが届いた

AIエンジンの開発者たちとの会議をセッティングしてくれたようだ


アテにならない報酬より、この技術屋集団にコネクションができる方が神野にとってはよほどプラスになる


(こんな美味しい情報、簡単に渡しちゃダメってわかってんのかな?)


金持ちの兄さんに「会社が欲しい」と言えば降って湧いてくるような倉田だ

何も考えていない可能性が高い


(こいつのお守り代も請求したい)




ビデオ会議は2日後の午後に始まった


2分割された画面に倉田とリスの着ぐるみを着た青年が映っている


(なんでリス?)


「ども、櫻井です、リスくんでいいっすよ

 あ、これはあったかくて楽だから」


神野たちより若そうなリス青年の後ろには、様々なコスプレをした男女の姿が見える


「お気になさらず」


(気になる! ツッコミどころ満載)


「どおも、神野です」


ツッコミは我慢して神野は笑って会釈した


「わあ、イタズラ社長だ」


「本物だよw」


「あ、倉田さん、サーバの増強ありがとうございます」


「役に立ったかな?」


「はい、リソースにだいぶ余裕が出てスピード上がりました」


「すみません」


「はい、神野さん」


「具体的にはどの程度ですか?」


「フェイクの判定速度で12%向上、5分のスキャンで15秒以内にフェイク抽出します

 これは街頭ニュースの方でアプリは30秒かかるけど」


櫻井(リスくん)はすらすらと答えた


「街頭ニュースって」


「はい、新宿、渋谷、池袋のビッグモニターで1日3回の3分ニュースをやってます」


「そうなんだ、今度見せてもらいます」


「他にはない機能なんで、体感で ‟速っ” て思ってもらえれば "おけ" です

 神野さんのおかげでDLは順調に伸びてます

 さすがっすね『ハナちゃん使ってナンボ』がハマったっす」


「他にも売りたいものがあればどうぞ」


「あーね、火消しソフトとか?」


「火消しですか」


「そう、炎上屋の反対で火消しの『め組』って言うシステム

 攻撃されるとAIが論破してくれるんす

 まだアプリ化してないんで、もっと実験してデータが欲しいっす」


「それは企業ニーズもありそうですね」


「あれもいいんじゃない?」


倉田が言った


「ほら『フェイクを作ろう』」


「フェイクを作る…マッチポンプ?」


神野が首を傾げた


「フェイク画像や動画が簡単に作れるけど、簡単すぎて余計に嘘っぽくなるという」


「そうか誰でも作れるなら誰も信用しなくなる」


「それも神野に拡散してもらおう」


(これは…)


櫻井の開発力、神野の販売力、倉田のサーバ環境のトリプルWin


(出来杉くんじゃね

 これ、倉田が考えた…とは思えねえよなぁ)


好事魔多し

いいことが続くとき神野は警戒する

そしてその勘は大抵当たる



ビデオ会議が終わって倉田は画面を閉じた


机に置いたスマホが鳴った


「ああ、兄さん、神野にリスくんを紹介した」


「素敵なトライアングルの完成だ」


冷たいテノールの声が聞こえてくる


「本当に神野のためになるんだよね」


「もちろん

 彼ならこれくらいのミッションは軽々こなすはずだ」


「神野はあんたの思惑なんかすぐ気づくよ」


「でも、彼は正しい選択をする

 おまえのような甘ちゃんとは違うよ」


通話は切れた

その画面を見つめる倉田の瞳は暗く沈んでいた



【余計なお世話書き】

こういうアプリがあったらいいなという感じですが、しばらくすると本当にできちゃうかもしれませんね。いや、もうあるかも。

もちろんこのアプリは後々、活躍いたします。

それにしてもキャラが渋滞しているような…。

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