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15/45 切抜ー美しすぎる事務員

取り出した四角い黒縁メガネを掛けると神野の人相が一変した


控えめに言っても目つきが悪く、下手をするとカタギに見えない神野だが、この某少年探偵のような黒縁メガネを掛けると一気に柔和になって『面白キャラ』になる


「あれ? 神野さんって」


赤崎がメガネを掛けた神野の顔をまじまじと見た


「もしかして『世界一イタズラされる社長』じゃないですか?」


「ああ、うちのチャンネル見ていただいてましたか

 あの動画は福利厚生とリクルーティングの一環でして、1日1回スタッフが誰でも私にイタズラできるんです

 自由にアイデアを出せて試せる会社ですよとお知らせしています」


「それがブランディング?」


大塚は不思議そうな顔をした


「ブランディングの目的は独自の差別化

 私のキャラクターがひと目で弊社の雰囲気を体現するように、大塚さんの『主張』を『象徴』するアイコンが『豆トラちゃん』ってわけです」


「猫が?」


「動物好きでしかも保護動物=弱者の味方

 悪くないキャラだと思います」


「はあ、そんなもんですか」


神野はわかりやすく説明しているつもりだが、大塚にはピンとこないようだ


「では、もうひとつ」


大塚がオーバーフローしそうなので、神野は理屈をこねるのはやめた


「15秒

 今度から動画を撮るときに意識してください」


「たった15秒の動画って」


「動画の尺ではなく、視聴者が集中して見るのは15秒ということですよ

 倍速で再生するので実質30秒、長くても1分以内が目安です」


「えっ、そうなんですか?」


大塚はかなりショックを受けた

彼の動画はほとんどが10分を超えている


「巷では政治家の切り抜き動画というのが流行っています

 有名な政治家の印象的なシーンを短く切り取って、勝手に再生して小遣い稼ぎするんです」


「私のを切り取ってくれる人はいませんよね」


「いまのところは自前でやるしかないです

 私のところに送ってくだされば作りますが、慣れてくれば自分でできるようになるでしょう

 できますよ、あなたは演説のプロなんですから」


打ち合わせは終了し、内田がちょうど駅へ行く用事があるというので神野と連れだって事務所を出て行った



「神野さんの話だけどさ」


神野が内田と出て行くと大塚は、パソコンに向かっている赤崎に話しかけた


親しさ、というより馴れ馴れしさが滲んで二人の関係を語っている


「俺にはいまひとつなんだけど、わかった?」


「はい、かなりわかりやすく話してくださいましたよ」


対して赤崎の受け答えは固さを感じる


「やっぱりそうかぁ

 すまないが、またキミにお願いすることが増えそうだ

 SNSのコメントとか俺はどうも苦手で」


「大丈夫です

 今日のお話をまとめてますから後でメールで送りますね」


大塚はパソコンの画面を覗きながら、赤崎の肩に手を置くと髪に顔をうずめた


「ダメです、誰かに見られたらセクハラだって騒がれますよ」


「俺は真剣に考えているんだが」


赤崎は笑っただけで答えなかった



神野は駅への道すがら世間話をしつつ内田に探りを入れていた


「内田さんは長いんですか?」


「私は秘書専門でやってまして、大塚先生は最初の当選からです」


「じゃあ、もう12年以上

 ご家族は?」


「子供は独立して妻と二人でして」


「そうですか

 赤崎さんも長いんですか?」


「あの方は先生が…」


そこで内田が声をひそめた


「見染めちゃったんですよ、六本木で」


「へえ」


「口説き落として、こんな小さな事務所に来てくれたはいいんですけど、それ以上はねぇ

 早く正式に結婚なさった方が外聞もいいと思うんですが

 いくら地味な格好してても、メガネ外すと色っぽいから噂になりそうで…」


「美人過ぎる事務員ですかw」


駅に着くと神野は会釈して内田と別れた


(いろいろしゃべってくれたな

 このメガネはこういうのにも役立つみたいだ)


四角い黒縁メガネを外すと、目つき鋭い『近付くなオーラ』全開の神野に戻った


【余計なお世話書き】

世界一イタズラされる社長のサイトは実在の某サイトを参考にさせていただいております。

美人過ぎる事務員がメガネくらいで隠せるのかというのは疑問ですが、わりと朴念仁の神野くんは言われるまで気付かなかったようです。

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