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11/45 承認ー5人を50人に

「で? 結局、作った動画は子供に猫に商店街クイズか

 カンちゃん、あざとっ」


大塚にデモ動画を提案して2週間ほど経ったころ、神野は倉田にからかわれながら、大塚が開く市民交流会に向かっていた


その日は朝から小雨が降っていて、駅から商店街へ向かう道は人通りが少ない


「カンちゃん言うな

 しょうがねえだろ、あちらも支援者の意向ってもんがあるし、時間がないから拡散しやすいネタでないと」


「それでおねえちゃんはナシか

 ナツの水着なら、すげー数字取れそうだけど」


「ナツの水着? させるわけねぇだろ

 やりたきゃおまえがやれ」


この1週間ほど前、神野は大塚をPRする数本のショート動画をネットに流すと同時に、抱えているインフルエンサーたちに依頼して拡散させた

政治系のインフルエンサーとは契約がないので、猫動画や動物愛護、子育てなど関係ありそうなジャンルをなんとかやりくりしている


「思ったよりいい動画が撮れたから、そこそこの数字になったぞ」


神野はスマホの画面を倉田に見せた

そこには動画の再生回数データが並んでいる


「やっぱり猫は強いね

 あの人、保護猫見て泣いてたもんな」


「しかも引き取って写真をSNSに上げてた」


そう言って神野は大塚のインスタを倉田に見せた

動画をアップする以前より、かなりフォロワーが増えているしコメントも多い


「さすが政治家さんは目ざとい、ウケるポイントがわかってらっしゃるってことか」


「いや、たぶん素でやってる、そこがウケるんだろうな」


「そうか、かなり有望だな

 じゃ、俺は先に会場に行ってサクラになるよ」


倉田は神野と別れて会場の公民館へ向かった


神野は商店街にある大塚の事務所に向かう


「こんにちは」


営業スマイルを浮かべて事務所の入り口で声を掛けると、エメラルドグリーンのジャンパーを着た大塚が出て来た


「ああ、神野さん

 雨の中ありがとうございます」


「豆トラちゃんは雨を嫌がるでしょうか」


「今日は公民館なんで大丈夫でしょう」


神野はいちばん数字が出た猫動画にあやかって、大塚が保護した猫『豆トラ』を連れてくるように提案していた


「じゃ、そろそろ行きましょう

 雨はやみそうですね」


雨はほとんどやんで傘をさすほどでもなくなっていた


猫をキャリーに入れると、秘書の内田を伴って3人で歩き出す


会場の公民館は事務所から10分ほど歩いた場所だ


キャパは50人ほどだが、いつもの大塚の集会ではせいぜい10人程度しか集まらず、雨の日はそれすら怪しい


「あれ? 今日は1時から取っておいたはずなのに、まだ前の人が使っているのでしょうか」


内田が不思議そうに言った


公民館の周辺は遠目に見てもかなりの人、50人以上が集まっているのがわかる


(へえ、これはこれは)


神野も驚いたが顔に出さないようにしていた


何人かがこちらを振り返り


「お、来たぞ!」

「大塚さーん」

「豆トラちゃん」


などと叫び出した


少なからずスマホのカメラを構えている者もいる

拍手が沸き起こり『たつやコール』が始まった


「え? あの」


神野はにこりと笑って頷き、戸惑う大塚の背中を押した


大塚と猫のキャリーを抱えた内田が人並みの中に入っていくと、拍手はますます大きくなった


(究極の承認欲求が満たされるんだろうな)


神野が思った通り、大塚は高揚する気持ちを抑えられないでいた


(これはどういうことだ?

 あの人は魔術師なのか?)


振り返ると今日も黒いスーツの神野が微笑んでいた



【余計なお世話書き】

タイトルその1回収、ニャンコが出てきました。

猫動画ってほんと見ちゃいますので、案外いいアイテムかなと思います。

もちろんこの影に神野くんの契約インフルエンサーがいるわけで、これって普通に料金いただくとけっこうな値段になりそうです。

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