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悪いのは誰?  作者: 茶樺ん
第二章 ミリとレント
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説明会での質問

 コーカデス領の港町のホテル等には妊娠を約束するサービスも料理もないとのミリの宣言に、何人かの参加者は話が違うとざわつく。

 その内のコウグ公爵家配下の参加者達は、コウグ公爵家の代理人を振り向いた。それに気付いたコウグ公爵家の代理人は小さく咳払いをしたけれど、それきり視線を無視して反応を返さない。

 他の貴族家の参加者がミリに向けて手を挙げた。


「ミリ・コードナ様。今質問をしてもよろしいのでしょうか?」

「はい、構いません。どうぞ」


 ミリがそちらに体を向けて、手で指し示して促すと、発言者は立ち上がる。


「ホテルを利用された方が御懐妊なさったと聞いております。それは本当なのでしょうか?」

「その様な噂が流れているとは聞いておりますが、御利用頂いた方の家から、その様な事実が公表されたとは聞いておりません」

「公表されていない、と言う事ですか?」

「その様ですね」

「え~とつまり、公表されてはいないけれど事実だと?」

「いいえ。もし出産に繋がるのであれば、一年以内に公表があるかも知れませんけれど、妊娠なさっていなければ何の発表もないでしょう。ただし、例え今妊娠されていたとしても、それはコーカデス領での滞在との関係を示すものではありません」

「それは、ですが、お二人とも妊娠なさったのに」

「まず、先程も申し上げました通り」


 質問者の発言を遮る様に、ミリは言葉を被せた。


「コーカデス商会が建てましたホテルやレストラン等には、妊娠を約束するサービスも料理も一切御座いません」

「それは表向きですよね?」

「いいえ。表も裏もなく、妊娠を約束する事は御座いません。もし確実に妊娠する事が出来る方法が存在するのなら、それを提供する事で利益を上げる事が出来るでしょうから、隠す理由などはないと考えます」

「方法を秘匿する事で、高く売り付ける事ができるのでは?」

「その場合も、手段を持っている事は公表する筈です。そうでなければ利用者が現れません」

「それなので、王家とコーハナル侯爵家からは」

「王太子御夫妻と」


 ミリはまた質問者の発言を遮る。


「コーハナル侯爵家のスディオ様とチリン様の御夫妻には、ホテル等を御利用頂いておりましたが、コーハナル御夫妻にはホテルやレストランの運営やサービス等に付いてのアドバイスを頂く為に、こちらから御利用をお願い致しました。そして王太子御夫妻には、王族の方へ提供する内容に問題がないか確認して頂く様に、やはりわたくし共からお願いさせて頂いたのです。その後にホテルを御利用頂いている方達からも、妊娠の公表は御座いません。これらに付いては調べて頂ければ、直ぐに御納得頂けると思います」

「ミリ殿。よろしいか?」


 ソロン王太子が手を挙げた。ミリはソロン王太子に体を向ける。


「はい、王太子殿下」

「ありがとう」


 ソロン王太子はミリに会釈をすると、議長席から立ち上がり参加者達を見回した。


「この場はコーカデス商会がコーカデス領に建てたホテルやレストランに付いて、王家から急遽ミリ・コードナ殿に依頼して、説明を行って貰っている。その主旨が理解できない者には、この場の主催者として退場を命じる」


 ソロン王太子はもう一度参加者達を見回し、最後に発言者に顔を向ける。


「主旨と違う質問をする事は、この場の参加者の時間を奪っている事を弁える様に。良いな」


 発言者は何度も肯くと、席に腰を下ろした。

 その様子を見てソロン王太子は小さく肯き、ミリに顔を向ける。


「ミリ殿。済まなかった。続けてくれ」

「はい、王太子殿下」


 そう言ってミリはソロン王太子を見詰めて一拍置いてから、ソロン王太子に頭を下げた。

 そして顔を上げると正面に向き直り、参加者達に説明の続きを話し始める。


「お配りしました資料に御座います通り、交流のある国の様式を取り入れたホテルとレストランを建てております。建物の様式だけではなく提供するサービスや料理なども、それぞれの国の専門家にアドバイスを頂いて再現しております。それですので中には、それぞれの国での妊娠し易いもの、妊娠中に良いもの、出産後に良いものなどがある事もあるのは事実です」

「ミリ・コードナ殿。質問しても良いだろうか?」


 先程とは別の参加者が手を挙げた。


「はい。どうぞ」


 ミリに手で示されて、参加者は立ち上がる。


「それはそれぞれの国でどの様な扱いなのだろうか?中には必ず妊娠すると言われている様なものもあるのだろうか?」

「そう信じられているものも御座いますが、調べましたところ、必ず妊娠すると言えるものはない事が分かっております」

「それは、必ずではないとしても、妊娠の可能性は上がるのだろうか?」

「いいえ。可能性や確率などは、比較をしないと求められません。御夫婦一組一組が皆違いますから、もしかしたら本当に効果がある方法を提供出来ていたとしても、それはわたくし共にも分からないのです」

「・・・なるほど。妊娠を約束出来ないと言うのは、そう言う意味か」

「はい」

「では逆に、利用者が妊娠したとして、その因果関係を否定するものでもないのだな?」

「はい。肯定は出来ませんが、否定も出来ないと理解しております」

「そうか。ありがとう」


 発言者が会釈をして座るのに合わせ、ミリも会釈を返した。

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