↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪いのは誰?  作者: 茶樺ん
第二章 ミリとレント
931/947

ホテル等の説明会

 コーカデス領の港町のホテルやレストランの責任者はラーラだ。情報を公開するに当たり、本来ならラーラの意見も汲む必要がある。しかしコーカデス領のラーラと連絡を取り合っていたら、決定までにかなりの日数を必要とする事になる。

 ミリはコーカデス商会の商会長として、ラーラへ報告はするけれど相談はなしに、情報の公開を行う事を決めた。

 それは少しでも早く、貴族家からの予約要求を処理したいと考えたからだ。価格を抑えたコースなどは後から公表するとだけでも伝えられれば、予約を見送る家も出て来るだろう。

 それに直ぐに公表の場を設ければ、その説明に当たるのが責任者のラーラからではない事の言い訳にもなる。ラーラに王都に戻って来させて、そしてもしラーラも妊娠している事が知られたりすれば、ホテルへの滞在を求める声は更に高まり強まり増えるだろう。


 コーカデス領の港町に付いての説明を行う事をソロン王太子に回答すると直ぐに、王宮から各貴族家に説明会の開催が通知された。

 場所は貴族議会の議場を使う。


 そして王宮から各家への通知が届く前に、学院の始業時間前にはレントから生徒達に、説明会の開催が伝えられた。

 その事ではまた学院内が騒がしくなったけれど、無理な予約を頼む事も断る事もしなくて済む事になって、生徒達もレントも表情は明るくなった。


 ミリは王都にいるコーカデス商会の従業員だけではなく、ソウサ商会にも協力を依頼して、説明会の準備を進めた。



 説明会には当主や跡継ぎや代理人が出席し、全ての貴族家が参加する事になった。

 コードナ侯爵家からはバルの父ガダ・コードナ侯爵が、コーハナル侯爵家からはパノの弟スディオ・コーハナルが出席する。コーカデス子爵家はレントだ。


 議場の各席にはミリが用意した資料が予め配られていた。

 議場に入った参加者達はその資料を見て内容を確認している。その為、説明会開会前の議場は、いつもの貴族議会の開始前よりは静かだった。


 貴族議会の際は傍聴席に座るソロン王太子だが、この説明会では議長席に座る。それはこの説明会が王家主催であり、会の責任者がソロン王太子である事を示していた。

 予定時刻になると共に、ソロン王太子が声を上げる。


「ただいまより、コーカデス子爵領の港町に作られたホテル及びレストラン等に関しての、説明会を開始する」


 ソロン王太子はそこで一拍置いた。もし説明会の邪魔を考えている人間がいれば、ここで何らかの行動を起こすかも知れないと考えていたからだ。

 しかし何も起こらない事を確認し、ソロン王太子は言葉を続けた。


「本来であれば、ホテル等の公開はまだ先の予定であった。しかし王家の不手際が原因で、公開前に情報が広まってしまった。それも誤った情報を含んでだ。その為にコーカデス子爵領の港町を開発したコーカデス商会に、王家から無理を頼んで、本日の説明会を開いて貰える事となったのだ。誤った情報が出てから僅か数日で、この会を開いて貰っている。まだ準備が整っていないと言うのに無理にお願いをしてだ。皆の手許に配られている資料にも不足があると聞いている。それもこれも、不手際を起こした王家と、無責任に噂を広げた一部の貴族家が、責任を負うべき事だ。それを理解した上で、説明を聞いて貰いたい」


 ガダは満足そうに、スディオは小さく、ソロン王太子の言葉に肯く。二人とも、ソロン王太子がミリを守る積もりでいる事を理解した。

 ただスディオは、この場に王妃とタラン・コウグ次期公爵の姿がない事を不満に思っている。コウグ公爵家は代理人を寄越していた。二人がいればスディオはこの場で、一言二言言ってやる積もりでいたからだ。


 レントは説明するミリの隣に立つ積もりだった。しかしミリに反対され、ガダにも止められて、議場のコーカデス子爵家の席に着いている。

 ミリに、矢面に立つ必要はない、と言われた事には不満があったけれど、ガダに、貴族の一人としての立場でミリに味方するべきだ、と言われて、レントは引き下がった。


 ソロン王太子は各家の出席者を見回してから、視線をミリに向けて微笑んで、表情を戻してまた出席者達に顔を向ける。


「それでは、コーカデス商会の商会長である、コードナ侯爵家令嬢、ミリ・コードナ殿に説明を願おう」


 ソロン王太子はもう一度ミリに微笑みを向けた。


「ミリ殿。よろしく頼む」

「承りました」


 ミリはソロン王太子に向けて下げた頭を上げると、姿勢を正して壇上に進む。

 持っていた資料を演台に広げると、ミリは正面を向いた。


「コードナ侯爵ガダの三男バルの長女、ミリ・コードナです。本日はコーカデス商会の商会長として、コーカデス子爵領の港町に建てましたホテルとレストランの営業内容に付いて、説明をさせて頂きます。よろしくお願い致します」


 そう言ってミリは頭を下げる。そして顔を上げると参加者達を見回し、レントと目が合うと小さく肯いた。ガダとスディオにも小さく肯く。


「まず、コーカデス商会が建てましたホテルやレストラン等には、妊娠を約束するサービスも料理も一切御座いません」


 ミリの言葉に響めく参加者達を見回して、ミリは各家の反応を確認していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。