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第25話 神様登場

 地区予選を何とか勝ち抜き王都ブリッグへとやってきた俺たちだったが、すぐに本選が始まるというわけでもない。

 そこで、始まるまで2日俺たちはブリッグの街を見て回っていた。

 まぁ、宿にいても同じ宿に泊まっているマリクがうざいからという理由がかなりを占めていたが、王都を楽しみたいというものも多かった。

 ちなみに宿は地区予選を勝ち抜いてきた俺たちにはちゃんと武術大会主催者側、つまりは王国側から宿を提供されていた。

 そして、王都観光を楽しんだ翌日(王都についてから3日目)、ようやく本選開会式が行われた。

 そこでは俺たちは生まれて初めて国王を見ることができた。

 国王は、俺たち平民を見下すことはせず、それぞれの戦績と活躍を心から祈っているようだった。

 まぁ、これについては貴族でもあったアルディとルミナから聞いていたことだったけど、それを知らないほかの参加者たちは感心していた。

 そして、その翌日、ついに本選が始まる。


 という早朝のことだった俺はその時夢の中だった。

 しかし、その夢が突如真っ白な何もない空間に変化し、俺の意識もはっきりとしてきた。

「おい、なんか、これ、覚えがあるんだけど」

 そう、以前先祖のマグルと勇者浩平に勇者の洞で呼ばれたあの空間だ。

 しかも、俺の姿はなぜか前世の姿、つまり僚一の姿だった。

「やぁ、僚一君、おはようかな」

 するとそこには、真っ白な衣を身に着け、頭は禿げ上がり、真っ白なひげを生やし、先が丸みを帯びた木の杖を持った爺さん。地球ではこれぞ神様っていうそのものの姿をして人物だった。

 俺はその爺さんを見た瞬間神様かと思ったほどだ。

「え、えっと、あなたは」

 だからこそ俺は敬語を使った。

「ワシ、ワシは神だよ。君がいた地球のね」

 やはり神様だった。

「えっ、地球のって、神様がいたんですか」

「もちろん、まぁ、みんな忘れてしまっているけどね。けどほら、みんなが神様をイメージするとこの姿を思いつかない」

「えっと、はい、確かに、俺も今あなたを見てそう思いましたし」

「でしょ、この姿だけはみんなの心に刻まれているからだよ」

「はぁ」

「それで、名前はゼラギウスって名前だから覚えておいて」

「は、はい、それで、ゼラギウス様はどうして俺を?」

「うん、まぁ、今日はちょっと用事があってね、ああ、ちょっと待ってもう1人の招待者が来たみたいだから」

 もう1人? どうゆうことだろう。

 俺がそう考えていると不意に俺の隣に光が現れて人物が出現した。

「フィーナ!」

 そう現れたのはフィーナだった。

「あれ、ここは」

 フィーナはあたりを見渡してから俺たちに気が付いた。

「えっ、誰?」

「なんで、フィーナがここに?」

「誰よ、あんた、いきなり人を呼び捨てにして」

 俺はショックを受けた、フィーナにこんな他人を見るような目で見られたことがかなりショックだったのだ。

「いや、俺だよ」

「だから、誰?」

 俺はそこで気が付いた、そう、俺は今前世の姿上森僚一の姿だったのだ。

「ああ、そうか、ゼラギウス様、俺を今の姿にしてください」

「えー、ワシとしてはそっちの方が話しやすいんだけど」

 いきなり何を言い出すんだこの神様は、そんなだから地球のみんなは忘れるんだよ。

 俺が内心そうつぶやいた時のことだった。

「うふふっ、お兄様、ファルターさんを困らせないで上げてください」

 そこで現れたのはいかにも女神さまとあがめたくなるようなとてつもなく美しい女性だった。

 そして、その女性は不意に持っていた杖を高らかに上げると、俺の体が光だし体が変化した。

「あれ、ファルター、もしかしてファルターだったの」

「ああ、あれは前世の姿だよ」

「あははっ、ごめん、知らない人かと思ったから」

「そうかよ」

「ところで、その人たちは? ってあれ、もしかして、あなたは、あなた様は?」

 その時フィーナが女性を見て驚愕した。

 そう、俺も見たことがある、女性は女神みたいな人ではなく明らかに女神様、この世界であがめられている女神、セペリウス様だった。

「初めまして、ファルターさん、フィーナさんわたくしはセペリウスです」

「セペリウス、別に困らせているわけではないぞ」

「わかっていますよ、お兄様」

 そんな神様2柱は楽しそうにしていた。

 って、ちょっと待って、今セペリウス様、ゼラギウス様のことをお兄様って呼んだよな。

「そうです、わたくしとこちらにいる、地球の神ゼラギウスは兄妹なのですよ」

 とても似ていなかった。

 似ているのは名前だけだ。

「はぁ、そうですか、あ、あの、それで、どうして、今俺たちを……」

「ええ、本日はどうしてもファルターさんに謝らなければならないことがあったのです」

「謝る、俺にですか?」

 神様に謝られることなんて俺には全く思いつかなかった。

「うむ、実はな、僚一君の妹のことなんだよ」

「えっ、妹って、エニスに、一体何が」

 俺はエニスに何かあったのかと恐怖した。

「いえ、エニスさんのことではありません」

 するとセペリウス様が否定してきた。

「えっ、それじゃ」

 俺はまだ嫌な予感がした。

「愛美ちゃんのことだよ」

「なっ、愛美、愛美に何があったんですか?」

 俺はかなり動揺した。

 そうか、地球の神であるゼラギウス様がいる時点で気が付くべきだった。

「実は愛美さんは15年前のあの時、そう、ファルターさんが前世で亡くなったあの時ですが」

「僚一君の魂と一緒に姿が消えたんだ」

「えっ、俺と一緒って、それじゃ愛美はどこに」

「それがずっとわかりませんでした。私たちも愛美さんをずっと探していました」

「そんな、それで、見つかったんですか?」

 俺は心底恐怖した。

 愛美が消えるなんてありえない、俺は、愛美は地球で幸せに生きていると信じていたからだ。

 そんな俺を見たフィーナも俺の手を握ってくれている。

「ええ、見つかりました。今から1か月ほど前、ようやくこの世界に出現したので、見つけることができたんです」

「この世界ですか、どこです、愛美は無事なんですか?」

「無事だよ、今も元気にしている」

「そうか、よかった。それで、どこに、すぐに行ける場所ですか?」

「まぁ、落ち着いて、気持ちはわかるけどね」

 セラギウス様はそう言ってセペリウス様を見ていた。

 そういえばこの人も兄だったな。

 俺はそれに気が付いて落ち着こうと深呼吸をした。

「大丈夫ですよ、愛美さんはファルターさんと同じここマナリズ王国に転移し、すぐにわたくしが使いのポルティ・ライムというちょっとそそっかしいのが玉に瑕ですが、かわいい女の子をサポート役として行かせました」

 俺はそれを聞いてほっとした。

「愛美さんはポルティ・ライムと出会ってからすぐに2人の魔法使いの女の子と仲間となって冒険者をしています。そして、現在この街にいるんです」

「えっ、この街にですか」

「そう、そして、予言しよう、今日君たちは確実に再会できるよ」

 俺はそれを聞いて安心した。

「そ、そうか、今日会えるのか」

「よかったわね、ファルター」

「あ、ああ」

「そうですね、しかし、愛美さんの消息をつかめなかったこと、その転移をファルターさんに伝えなかったことを謝りたいと思い、お呼びしたのです」

 そういってセペリウス様が頭を下げてきた。

「い、いえ、そんな、愛美が無事だったんなら大丈夫です。頭を上げてください。神様に頭を下げられたら罰が当たりそうですし」

「うふふっ、大丈夫ですよ。そんなことはしませんから」

 それから少し話をしてから2柱の神様と別れた。


「朝か、しかし、さっきの話本当のことだったのかな」

 目覚めてすぐに思ったのは先ほど見た夢の内容だった。

 すると、隣の部屋からフィーナがやってきたことで本当のことだったと確信できた。

「ファルター、今のって、本当に女神様だったよね」

「ああ、僧みたいだな、地球の神様とこの世界の女神様2柱揃ってたし」

「う、うん、それじゃ、妹さん、マナミさんだっけここにいるんだよね」

「だな、会えるって話だけど、どこで会えるかいつ会えるかまでは言っていなかったからな」

「うん、すぐだといいね」

「ああ」

 そんな会話をして、今日は第1試合だから終わったらあちこち探してみるかと思った。


 いたのだけど、俺は試合をするための武舞台に一歩足を上げたところで足を止める羽目となった。

 その理由は簡単だ、今日の試合相手は黒髪黒目で2つに縛った髪をそれぞれ見覚えのあるクマの髪留めを付けた思いっきり見覚えのある顔、世間的に言えばかなりの美少女たる少女だったからだ。

「まじで!」

 俺は驚愕あまり固まっていた。

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