表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/56

試験のあと


 山の空に、花火のような光と音が炸裂し。


 試験の終了が告げられる。



 筆記、実技、サバイバル実地。

 全ての試験を終えた、シエナ、ハルハ、エルテルッテの3人は、

 他の冒険者に混じり、山を降りて帰路に就いた。

 


 

 修道院跡の工事現場にも、全面に『工事作業員以外立ち入り禁止』の幕が掛けられ、もう暫くかかるという事で。

 ハルハとマナは、都内の邸宅で。

 シエナとエルテルッテは、プリムティスの自宅で、養生を兼ねて暫く待機することになった。


 とはいっても、ほぼ毎日ハルハとマナはプリムティスの家に入り浸っていたが。



 そして。

 皆が集まるリビングで――。


「――リプル? ……さぁ。パーティーが解散になった後は、それぞれ選出された国の都市に戻っていった筈だけど。……それからリプルについてはあまり聞かないわね」

 

 エルテルッテの質問に、プリムティスはそう答えた。


 プリムティスは、リプルと別れてから一度も会っていない。

 なにせ、プリムティスが居る『アディオール中央大陸』とは、大陸が違うのだ。

 『ソルガント北部大陸・ノクスレギア帝国・帝都グリムロック』――。

 それが、リプルを魔王討伐の勇者として選出した故郷に当たる。

 プリムティスの考えでは、そこに戻っているはずだった。

 しかしパーティーが解散してから数年が経過している。

 どこかに行っている可能性はゼロじゃない。

 しかし、リプルは大人しい性格だった。活発に行動するタイプじゃない。

 

 なので、プリムティスは加えて答える。

「あの娘の性格なら、まだグリムロックに居るんじゃない?」

 

「そうですか」


 残念そうな表情に、プリムティスは問う。

「リプルに何かあった?」


「いえ……」

 海底神殿で囁かれていた噂程度の事。

 不確かなことは言えない。

 わざわざ、一線を退きつつある元勇者の心を煩わせる事も無い。

 そう考えて、エルテルッテは何も言わなかった。


 その話を聞いて。

 プリムティスの隣で、静かにあまーいココアを飲んでいたマナが口を挟む。


「リプルって……確かテンペスタの(ふt)、……うっ」

 私服姿のドワーフが、テーブルの下ですかさず横っ腹に肘打ちを叩き込み。

 マナは咽た。

 なにをするんだ、と咳き込んで抗議すらいえないマナに。

 プリムティスは耳打ちする。


「アンタ、バカなの!? アンタが何者かバレかねないでしょうが!」


  

 それを見ていたハルハとシエナは怪訝な顔になる。


「どうしました? マナさま? 大丈夫ですか?」

 ハルハが、駆け寄ろうとするのをマナは制し。


「大丈夫よ……」


 プリムティスは言う。


「ま、あの娘も蒼玉等級(サファイア)の勇者よ。そう簡単にどうこうなりはしない筈よ」


「そう、ですよね」


 エルテルッテは浮かない顔のままだったが。

 その話はそれっきりになった。




 そうして、暫くあと。

 戦士ギルドからは、屈強な筋肉(マッチョ)が。

 魔術師ギルドからは、鳥の使い魔が。


 それぞれ。

 シエナとハルハに。

 『Gランクの戦士資格証章』と、『Gランク魔術師資格証章』を持って来た。


 無論、居候中のエルテルッテの分の戦士資格証章もある。


「良かったわね。――服の襟にでも常に付けておきなさい。アンタたちの努力と実力を証明してくれる、大事な証なんだから」


「はい!」


 三者三様の返事。



 そしてさらに後日。


 冒険者ギルドで、資格証を提示し。


 晴れて三人は、鉄等級の冒険者となった。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「やっぱり行くの?」


「はい。――噂が確かなのか、確かめてきます。私は、そのために冒険者になりましたから」


 冒険者ギルドの前。

 そこで、エルテルッテは皆に別れを告げた。


 北部大陸の、グリムロックに行くと言って。


 そしてマナも、店番に置いたままのミラが気にかかるから魔の森へ帰ると言って。

 街中にお土産のお菓子を買いに別れ。



 ギルドの前には、シエナ、ハルハ、プリムティスだけが残された。


「行っちゃったわね」


 そんな独白の全身革装備姿(プリムティス)

 その背中に。



「――ちょっと良いかね?」


 声が掛けられ、プリムティスが振り返ると。

 ギルド長が立っていた。


「……この前、とびきりの問題児を紹介してくれと言って居ただろ? 良いのが見つかったんだがね?」


 そのギルド長の顔は、意地悪なにやけ顔で。

 プリムティスは、なんだか面倒くさい気分になるのだった。


 

  


ここまで読んでいただきありがとうございます。

章としては一段落になります。

次章も投稿を続けますので、応援などよろしくお願いします。


また、エルテルッテの今後の話は、スピンオフのような感じで、カクヨムのみに掲載していきます。

気になりましたら、カクヨムにお越しください。


ありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ