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魔の森


 ある日。



 「ちょっと、3日ほど出かけてくるわ。アンタ達は、基礎練習をしっかり続けておいて」


 そういって、プリムティスは出かけて行った。


 なので、魔術禁止を言い渡されたシエナは、基礎トレーニングと、剣術の自主練に励み。

 ハルハは、自前の魔導書を手に、接近された時に対応できそうな新しい術式を探し始めていた。






 一方。


 とある森の中。


「『清廉白漣撃(ヘヴンリィストライク)』!!」


 跳躍、そして頭上から叩きつける光の一撃。

 大型の魔獣。それも不死化したレブナントの体躯に命中したそれは、付与された効果でアンデッドを浄化する。


 打撃の威力。

 そして、既に屍だと理解していない不条理に。

 正しき摂理を叩きつける暴力によって、昇天させる。

 

 盾と戦槌を手に、大物を一匹仕留めたドワーフは、毒づく。


「相変わらず、こんな趣味の悪い場所に『魔道具店』を構えるなんて、どういう考えしてんのよ、アイツ!」


 文句を言いながら、プリムティスは深い森を歩いていた。

 無論、幾度も魔物を蹴散らしながらだ。


 この森は普通ではない。


 木の葉の色も、花の色も、緑ではなく紫に近い魔の森。

 ここは、大気に含まれる魔素(マナ)の量が段違いに濃い一帯で。

 慣れない者ならば、『魔素(マナ)酔い』にかかって昏睡状態になりかねない危険な場所だ。


 そこを、フル装備のプリムティスが行く。


 なにせ、魔素(マナ)が濃いということは、遭遇する魔物も、トップレベルに強力なわけで。

 例えプリムティスであろうとも。

 5.6匹程度ならともかく、大軍で来られたら、逃げるしかないような場所だ。


 

 そんな森の奥地に、違和感のあるモノリスが突っ立っている。


「やっとついたわ」

 疲労を感じながら、モノリスにつらつらと刻まれた古代精霊文字を解読し。

 プリムティスはモノリスに向かって呟く。


 意訳するとこうだ。

「どうしても入りたいです!」

  


 なんだこの文言は、と文句を言いたくても。

 モノリスを設置した者の趣味なのだから仕方ない。


 しょうがないから通してあげる

 そんな意味の古代精霊語が、微かに響き。


 その瞬間、プリムティスの身体は、とある場所に転送された。


 ――色とりどりの花が咲く楽園のような景観。

 差し込む日差し。

 透明な水のせせらぐ、穏やかな泉。

 泉の湧き出す中央には、精巧な女神の石像が立っている。

 さらにその奥には。


 すでに屋敷かと思うほどの巨大な切り株。

 そのゴン太の根っこの隙間に、設えられた手作りの扉。


 幻想的で、おとぎの国や、絵本の世界にあるような場所。


 プリムティスが用がある場所に他ならない。


 花畑の中央に設けられた道を進むべく、一歩を踏み出す。


 そんなドワーフの目の前に、

 泉の中に立っていた筈の女神像が飛び出し、そして降ってくる。 

 

 どぉん、と盛大な音を奏で。

 驚きすらなく平然としているドワーフに対し。

 女神像の目が怪しく輝いた。

 

 プリムティスは知っている。

 この女神像は、この場所の門番だと。


「……私よ、トライア。アンタの御主人様に用があってきたんだけど。通っていいかしら?」


「~~~~~、~~~」


 謎の言語で応答される。

 これは、魔法生物の言葉だ。


 プリムティス・アルフヴェインか。

 通って良い。 


 そういう意味の言葉である。


「~~~~!」

 ありがとう。


 そう返し。


 プリムティスは、巨大な切り株の扉を開けて、中へ入っていった。

 



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