基本的な事
しかしながら。
威力が高いとしても、結局ハルハは典型的な魔法使いだった。
つまり、良くある魔法使いの欠点がそのままダメな部分になる。
それがどういう事かというと――。
プリムティスは、続けて魔術で攻撃を続けるようにハルハに告げた。
しかし、ハルハが魔力を練り始めた瞬間から、5秒もあれば、プリムティスはハルハに肉薄することは容易かった。
ハルハは、凄い集中力で魔力を練るため、魔法を準備し始めたら一歩も動くことができないのだ。
それだけの余裕が、まだ見出せていない。
そして、無論肉薄されてしまえば終わりだ。
「きゃははは、や、やめ、やめてくだ、さい、プリムさ、まぁ!!」
プリムティスはハルハを殴りはしなかった。
かわりに、脇や太ももをくすぐり回すだけだ。
だがそれでもう、魔法の行使は不可能になってしまう。
後に、ハルハは不貞腐れた。
「だって! 後衛なんですよ? 普通の事じゃないですか! それを守るのが前衛の仕事では?」
まぁそうだ。
そうだけれども。
「……そこをなんとか改善していくのが、強い魔術師への一歩だとおもうわよ」
とはいえ。
「まぁ、私には魔術的な事は何も言ってあげられないんだけどね。まぁでもこれならGランクの魔術技能の『実技』と『筆記』テストは通るんじゃない? 間違いなく、ね――」
プリムティスの言葉に、ハルハは現金にも気を良くする。
「ええ、でしょうね。Gランクくらい、余裕ですよ?」
しかし、問題はサバイバル実地試験だ。
ランク試験は、筆記、実技、実地の総合判断で合否を決定する。
その中で、決められた区域で決められた日数を生き延びることを目標にするサバイバル実習がある。これは、木等級までの見習いには無い試験項目になる。
プリムティスが気がかりなのは、その溢れすぎる自信の部分。
そして、ハルハ自身の言葉に、既になんとかするための答えが滲んでいることに気づいていない点だ。
「まぁ、この街の技能試験は、二週間ごとにあるから急ぐことでもないけど……」
何も自信があるのは悪いばかりでもない。
もう少し様子を見るとしよう。
一応二人の課題点は解決できるように動くべきだ。
シエナは、前衛としての戦い方と、白兵戦の技術力。
ハルハは、肉薄されない手段を得る事。
今のところはこんなところだろう。
あとは――……。
「ねえ、二人とも。暫くは、必要な教材の作成とか、買い出しとか、営業に付き合ってもらうわよ。それと、基礎的な訓練もね」
ハルハが挙手する。
「はい。基礎的な訓練、とは?」
「勿論、筋トレとか、ランニングとか、クライミングとかよ? たとえ後衛と言えども、冒険者は体力勝負なんだから、当然でしょ?」
それに、シエナは快諾し、ハルハは嫌そうなのをひた隠しながら承諾した。
そして、地味なトレーニングを続けながら、数日が過ぎていった――。




