生誕祭
殿下と共に降りると数人の方が迎えに来ていた。どうやらラミールの王太子らしく殿下と挨拶を交わしている。
マルセルさんも多分宰相さんと明日の打ち合わせをしているみたい。
王都には来ても王城は見たことがなかったのでキョロキョロしないように見てみるどうやらこのお城は後ろが山があり斜面を上手く利用して建てられてるみたいでこちらの裏側から見るのと街の正門側から見るのではお城の階層も違く見えるに違いない。
「茗早く来い。行くぞ!」
「私はここで護衛の方と一緒で大丈夫です」
「…来い」
そんな迫力ある笑顔で凄まなくても…
「はい」
「ヴィルヘルム殿下こちらは?」
「私の友人なんだが今回は護衛として連れて来てる」
「茗こちらはラミール国の王太子であるリュシアン殿下だ。」
「初めまして、井上 茗と申します。」
「なるほど、殿下の今のお気に入りだね」
「リュシアン殿?」
リュシアン殿下はちょっと苦笑いしながら自分も昔殿下のお気に入りになり振り回されて色んな所に行った事があると教えてくれた。誠実そうなリュシアン殿下にちょっとホッとする
「良かったら城に滞在中は妹の話相手になってくれると助かるよ。」
「…かしこまりました。」
これ以上王族の方との接点欲しくないんですけど…、はぁフェリーネに会いたい…
お城に入ってからは、明日の打ち合わせや確認が続き慌ただしく時間が過ぎて夜になり私も部屋を案内されてようやく1人になる…
「疲れた…」
「茗大丈夫か?」
藍が影から出て来て足元に横たわって座る。癒しを求めてモフモフを堪能する
「藍の毛並みは気持ち良いね〜。癒される〜」
「今日くらいは好きなだけ触ってもいいぞ」
お許しが出たので首元の毛に抱きつき顔を押し付けて藍の匂いや毛並みを堪能する。藍は全長が2.5m弱くらいで身長160そこそこの私が抱きついても全身でモフモフにダイブ出来る。
コンコン! 部屋にノックが響く。
誰だろうと立とうとしたけど、先にドアが開く?
「初めまして、王女のレティシアです。お兄様からお話を聞いて来てしまいっ…」
王女様は優雅に挨拶をしながら話し、ようやく私と目が合うと止まった…まだ私は藍に抱きついてモフってた体制のまま…
「すみません…こんな格好で…」
「いいえ、私も気持ちが高ぶってしまって確認せずに入ってしまって申し訳ございません。」
「お気になさらなくて大丈夫ですよ。王女様、茗といいます、こちらは私の従魔の藍です。動物は平気ですか?無理なら別の場所へ…」
「いいえ!!どうかそのままで!…出来たら触ってみたいです…」
被せ気味に言ったかと思ったら最後の方は声が小さくなっていっちゃった (笑) 動物好きなのかな?
「良かったです。ではどうぞ撫でてあげて下さいませ、藍も喜びます」
王女様は顔を輝かせて近くに来ておそるおそる藍の背中を撫でる…
「まぁ!とても柔らかくて気持ちのいい毛並みなのね」
『藍ごめんね触らせちゃって』
『別に触らせるくらいなんでもない』
「私お兄様から同じくらいの歳の女の子と聞いて嬉しくなって来てしまったの。色んな方が見えてるけど気軽にお話できる方がいなくて…」
「王女様はおいくつですか? 私はもうすぐ17歳です。」
「私の事は王女ではなく、茗様どうぞレティシアと歳は16歳です。」
「レティシア様、では私も茗でいいです。私はただの冒険者なので」
「まぁ!茗は冒険者なの?すごいわ!!こんなカッコいい従魔もいるならさぞお強いんでしょう?」
「冒険者のランクはBになります。でも冒険者がメインではないのでそんなに強くないですよ!」
「では何をメインにされてるのですか?」
「ハンドメイドでアクセサリーを作ってます。豪華な物ではなく。本当に普段使いというかおもちゃみたいなものです。こんな感じのものですね…」
マジックバックからアクセサリーを何点か出してみせる
「可愛いわ!お花が閉じ込めてあってキラキラしてて私はとても好きですわ!」
レティシア様はシェルやドライフラワーを閉じ込めたネックレスやストラップが気に入ったようで日に透かして見てる、その姿がとても可愛くて守ってあげたくなるタイプだった。前世も今生もガールズトークはあまりした事がないので何気ない会話が凄く楽しく感じる。
「今日の記念に何か好きなものをプレゼント致しますよ」
「本当?…でもいいのかしら?お仕事にしているんでしょう?」
「大丈夫です。もともと高価なものは使ってないし、材料はほぼ自分で集めてるので気にしないでください。もしかしたら王女様ご愛用品として人気になっちゃうかもしれないですからね〜」
「私でもお役に立てるなら喜んで!私お友達や何かの機会には絶対宣伝するわ!」
「フフ…ありがとうございます。ではお友達にもプレゼントできるようにストラップを多めにプレゼント致しますね。ハンドメイドなので全く同じには作れないのでお揃いの様でちょっと違うんですょ!」
レティシア様にあげるのは2センチくらいの丸いパーツに小花やシェルを埋め込んであるものでストラップになっているところはそれぞれカラフルな糸で編んであるものにしたこれなら何かと重ねづけしても大丈夫だと思うしね。
「嬉しいけど本当に良いのかしら…私、大切にするわね」
「今日の記念ですから、私も喜んで貰えたなら嬉しいです」
2人でガールズトークを楽しんでいると、侍女が迎えに来てお開きになっちゃった。レティシア様も凄く残念そうだけどまた明日もお話しましょうと言ったら華のような笑顔で帰ってった。 ヤバイめっちゃ可愛いんだけど…
* * * * *
次の日、ラミール城は全てのスタッフが忙しく動いていた
私もグリフォンの車を出して、その後は一応殿下の護衛なので後ろをついていた。大広間の一角ではラミール王へのお祝いの賛辞や贈呈品の進呈をする長い列が有り、貴族や各国の要人が並んでいる。王座には王と王妃、王太子がいてレティシア様や弟王子はまだいなかった。
生誕祭は進み王がドラグニアのグリフォンでパレードする事を告げると、マルセルさんがグリフォンを新しい空の移動手段として説明してた。来ていた皆さんは興味深く聞いていてバルコニーにグリフォンを横付けしたら会場も熱気に包まれていた。ラミール王と王妃が2人乗りの車に乗り込みバルコニーから城前の広場、大通りなどをグリフォンでパレードに出ると民衆の凄い声援が聞こえた。
騎士も護衛としてグリフォンの周りをペガサスで固めていて、祭りを楽しみに来た人々は熱狂していた。
パレードは王都の街並みを3周くらいしてまたバルコニーに降り立った。
「皆さん好印象みたいですね!」
「これも茗ちゃんがアドバイスしてくれたおかげだょ?」
「私はあったら素敵だな〜って思った事を言っただけなので、実際に形にしてしまうマルセルさん達の方が凄いです!」
「これから観光ツアーとかも出来るように頑張らないとだね。とりあえずは認知度を上げてからだね。」
「茗そろそろ着替えに行ってこい。部屋に侍女も待機している。」
「…はーい。」
これからパーティは夜まで続き場所も舞踏会のホールに移動する。それに伴って皆さん正装になる何故か私も…。
部屋に戻り侍女さんに手伝ってもらってドレスを着る華美になりすぎないもので動きやすいものにしてもらうために私はプリンセスラインを断固拒否してエンパイアのドレスにしてもらった。パニエもつけてるけどパニエは前世風に少しボリュームが出るように軽い布を合わせたものを作ってもらった。こちらのパニエはしっかりドレスが広がるように金属か魔物の骨でしっかりと形取っていて正直重いし動き辛い。お姫様じゃないんだからそれはお断りしたよ。
でも作ってもらったドレスは気に入っている。ドレスを仕立てる針子さんにはシンプル過ぎると言われたので裾からグラデーションのようにトリスの鱗を細かくしたものをつけてもらったので動くたびにキラキラしてるから十分華やかだと思う。それにこれならトリスのアクセをつけたままでも違和感ないからね。
「お待たせしました」
準備が出来てヴィルヘルム殿下とマルセルさんの元へ行く
「ああ来たか。…っ!」
「?どうかしましたか?」
「良く似合っている。…キラキラと輝いていて綺麗だな」
「ふぁ? … あ、ありがとうございます?トリスの鱗を使わせてもらったんですけど、シンプル過ぎましたか?」
「いや、あまり見ない形のドレスだが華やかで良いと思うぞ」
「豪華なドレスは絶対にドレス負けすると思ったので、それに動きずらいし。」
「ん?もしかしてそのアクセは≪ストレージ≫か?」
「はいそうです。私は一応殿下の護衛ですから!」
「…そうか。じゃあ会場に行くか」
「畏まりました。」
殿下とマルセルさんと一緒に会場へ入ると人が大勢いて皆さん正装なのでとっても華やかだった。
そのままラミール王達王族がいる場所に行って殿下が挨拶を交わしているので後方に控えている。
「茗ごきげんよう!素敵なドレスね」
「レティシア様こそドレスが似合っていらして本当に可愛らしいです!」
まさにお姫様って感じの可愛いプリンセスラインのドレスだった。サーモンピンクでお花が付いていて凄く可愛い。
「なんだそなた達はいつからそんな仲良くなってのだ?」
「リュシアン殿下!昨日お話させて頂きました」
「そうなのお兄様!私プレゼントも頂いたりして仲良くなったの。」
「そうか、良かったな。茗殿たまに妹に会いに来てやってくれ」
私は一応答えずに笑顔でごまかした。王族に会いには来れないでしょう…
他の方々が挨拶に来てたので私達は移動してバルコニーに出た。
「あれ?茗ちゃん?」
「え?あ!ローニィさん?皆さんどうしてここに?」
赤い獅子のメンバーの皆さんがいた。
「茗殿か?へー綺麗じゃねーかってか何でここに?」
「ありがとうございますカーティスさん。 今日はドラグニアの殿下の護衛依頼でこちらにお邪魔してます。皆さんは?」
「Aランク以上の冒険者は招待されてるのさ、王様は結構気さくでパーティにも招待してくれるんだ。パーティがきっかけで家族と知り合って冒険者引退後にお屋敷の護衛になる奴もいたりするんだ。」
「そうなんですね!じゃあ皆さんもそうなんですか?」
「いや俺たちはまだ引退する気は無いから今回は普通にパーティのご馳走狙いだ!」
「ご馳走(笑) でも正装してるとやっぱり雰囲気変わりますね!皆さん素敵です。」
「服は大体レンタルだな。しかもお城が準備してくれる。」
「参加しやすいようにしてくれてるらしい。」
「お高い洋服は冒険者にはいらないわよね〜」
ラミール王は太っ腹な人みたいだ…。その後ほかに来てる冒険者さんを紹介してもらったりしたのでちょっと知り合いが増えた。ギルドマスターもいたけど、ギルドとしてではなく貴族として出ていたのはびっくりした(笑)
パーティは和やかな雰囲気で進み夜が更けていった。
「大変です!」
1人の兵士が慌てて入ってきた。
「巨大な魔物が現れて暴れています!ラームの街方向に向かっているのでこのままでは甚大な被害が予想されます!」




