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第2話

エル街・王國軍駐屯地(夕方)


夕陽が差し込む、黄昏時の駐屯地。

焦った様子のルーク隊長が、戻ってきたミオのもとへ小走りで駆け寄る。


ルーク「ミオ! 一体何があったんだ!? 無事か!?」


ミオ「……隊長、申し訳ありません。先ほど魔導士の襲撃に遭いました。相手の勢いに押され、仕留めきることができませんでした。」


ルーク「……魔導士の襲撃か....。」


ルークは顎に手を当て、深く沈思する。


ミオ「私を襲ったあの魔導士……手配写真の『マレン』本人かもしれません。」


ルーク「慎重になれよ、ミオ。早急に結論を出すな。この街は広い。捜索にはかなり時間がかかるだろう……焦るな。じっくり行こう。」


ルーク「そうだな。今夜は夜間の情報収集に切り替えよう。」


ミオ「はい。わかりました」


エル街・大通り(夜)


街灯がぽつりと灯る暗い街並み。ルークと別れたミオが一人で歩いていると、すれ違いざまに男の住民が激しく肩をぶつけてくる。


住民「……王國軍の犬め。」


男は吐き捨てるように言い残し、足早に闇へと消えていく。

通りかかった王國兵がミオに声をかける。


王國兵「大丈夫か?」


ミオ(ぶつけられた肩をさすりながら)「平気です。……どこに行っても、王國軍はこれほど嫌われているのですか?」


王國兵「いや……場所によるさ。だがここは、魔導士潜伏の報が入ってからずっと封鎖されているからな。住民の不満も限界なんだろう。」


雑踏を進むミオ。

ふと人混みの隙間から、昼間の少女と、フードを深く被った母親が手を引き合い、急ぎ足で移動している姿が目に入る。


ミオの瞳が鋭く細まり、迷わず走り出す。


王國兵「えっ……!? おい、どこへ行くんだ!?」


〇 行き止まりの路地裏


母親と少女を追い詰め、立ち塞がるミオ。


少女(怯えながらも、母親の前に立ちふさがって)「お願い……お母さんを傷つけないで!」


ミオはその場にゆっくりとしゃがみ込み、少女と目を合わせる。


ミオ「あの魔導士がどこにいるのか、誰なのか……教えてくれれば、あなたたちに手出しはしない。」


母親「……もし私たちが街の外へ逃げられるよう手配してくれるなら、隠れ家を教えます。」


ミオが顔を上げると、フードの隙間から覗く母親の「青い瞳」と視線が交差する。

一瞬、違和感を覚えた、この瞳……どこかで見たことがあるような……だが、ミオは深く考えることなく、その違和感を頭の片隅へ追いやった。


ミオ「先に隠れ家を教えてもらう。本物だと確認できれば、私の全力を尽くして外へ逃がそう。だが……騙せば倍にして返す。」


母親は意を決したように頷き、少し大きな声で言い放つ。


母親「……わかりました。お教えしましょう!」


母親は地図を取り出し、街の郊外にある小さな小川と滝の脇に置かれた一軒家を指し示す。



滝の脇・小さな隠れ家(室内)


木造の一軒家。室内は荒らされ、急いで証拠隠滅を図ったかのように書類が散乱している。

ミオが寝室に入り、ベッドの下を探ると、一冊の分厚い本が見つかる。


表紙をめくると、そこには『勇者召喚の刻・全協力者名簿』と記され、多くの人物名と能力が網羅されていた。


ミオ「これは……!?」


氷之霜アイス・フロスト!!」


突如、激しい冷気が吹き荒れ、床から氷が一気にせり上がり、ミオの両脚を凍りつかせる


ミオ「くっ……! 魔法……!?」


ドアから黒いフードを纏った人物——マレンが静かに入ってくる。


マレン「その本は……あなたのような者が触れていいものではないわ。」


ミオ(冷笑)「フン……魔導士め。お前が『マレン』だな? 伝説の魔導士ウィリアムの娘。」


マレンは一瞬動きを止め、低く首を振って微笑む。


マレン「……生かして帰すわけにはいかなくなったようね。」


ミオは迅速に特製鋼剣を抜き放ち、両脚の氷を一閃して切り払うと、マレンへと突進する!


マレン「風嵐ウインド・ストーム!」


狂暴な風刃が襲い来る。ミミオは迫り来る風刃を斬り払おうと剣を振るう。しかし、刃は何も捉えない


ミオ(驚愕)「な……斬れない……!?」


直後、凄まじい風圧が壁を突き破り、ミオの身体は屋外へと激しく吹き飛ばされる!

ミオは瞬時に思考を巡らせる——この機密名簿を入手した以上、封鎖が続いている、今は撤退するしかない


左へ突破を図るが、突如生えた巨大な氷刺に阻まれる。ミオはそれを斬り払い、背後の瀑布を見上げる。

躊躇することなく、ミオは勢いよく滝の中へと躍り出た!


滝の裏側・洞窟


水しぶきを上げながら這い上がるミオ。大きな岩の影に身を隠し、激しく息を乱す。


ミオ「ハぁ……ハぁ……っ。」


次の瞬間、巨大な滝が真っ二つに引き裂かれ、マレンが優雅に歩み込んでくる。


マレン「どこへ隠れたの……!?」


焦燥に駆られるミオは周りを見回し、固く剣を握りしめる。


轟音とともに氷刺が炸裂し、ミオの前にあった岩が無残に砕け散る。


マレン「見つけたわ。」


マレン「炎嵐ファイア・ストーム


絶大なる炎の濁流がミオを呑み込む!

ミオは必死に鋼剣を振るうが、流動する魔法の炎を剣の紋様では吸収しきれない!


ミオ「ぐああぁぁぁぁっ……!!」


激痛に身を灼かれ、悲鳴を上げるミオ。

焼けるような激痛の中、ミオは右手に奇妙な熱が集まっていくのを感じた

ミオは残された力のすべてを右手に集中させる!


すると信じがたい光景が訪れる——

激しい炎が、ミオの右手に吸い込まれるように一瞬で消滅・無効化されたのだ!


マレン(瞳孔を揺らし)「な……なんですって……!?」


驚愕で硬直するマレン。

燃え残る服のまま立ち上がったミオは、冷徹な殺気を放って突進する!


マレン「炎嵐! 氷之刺アイス・ニードル!」


マレンが狂乱して放つ火之風暴は右手がすべて吸い尽くし、左手が迫る氷之刺は鋼剣が一瞬で粉砕する!

一気に間合いを詰めたミオは、冷たい刃先をマレンの首筋へ寸分狂わず突きつける。


首元に触れる鉄の冷気と、最強の魔法が無効化された絶望。

マレンは大勢が決したことを悟り、両手をゆっくりと挙げて降伏する。


マレン「……魔法を吸収する王國軍、ね……。」


ミオは一切の言葉を発さず、マレンを冷酷に縛り上げる。


エル街・王國軍駐屯地


縛り上げたマレンを引き連れ、駐屯地へと戻ってきたミオ。

ルーク隊長が目を丸くして駆け寄ってくる。


ルーク「ミオ……!? これは一体……!?」


ミオ「魔導士です。」


拘束されたマレンは口元を歪め、ミオを見つめながらルーク隊長へと告げる。


マレン「ふふ……魔導士を捕まえるっていうなら……そこにいる彼女も、一緒に捕まえたらどう?」


ミオ「…………。」


沈黙を守るミオ。

ルーク隊長は鋭い視線でミオを一瞥する。


ルーク「……ミオ、後で私の執務室へ報告に来い。この者は一度地下牢へ収監する。」


偏僻な小道


路地裏で待機していた母娘のもとへ向かうミオ。

近くの監視兵にミオが声をかけ、注意を逸らしている隙に、母娘は暗がりをつたって街の外へと逃げていく。


母娘が無事に脱出したのを確認し、ミオは踵を返す。


自分の右手を見つめるミオ。


ミオ(心声)「さっきの力は……私自身の能力なのか……?」


再び右手に意識を集中させてみるが、手応えはなく、何も起こらない。


ルーク隊長の執務室(深夜)


部屋の中に重苦しい空気が立ち込める。

デスクの前に立つミオを、ルーク隊長がこれまでにないほど厳格な表情で見つめている。


ルーク「……さあ、話してもらおうか。さっき一体何があったのか、一から十まで全て私に報告しろ。」

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