表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された王太子と公爵令嬢が冒険者になる話  作者: 埴輪庭
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/70

第59話 灰の花弁

 ◆


 穏やかな朝は殺戮に向いている。


 六日目の黎明はあまりにも静かだった。精錬所の煙突が朝の最初の煙を吐き出す頃にはもう坑口の前に人が集まっている。戦鎚を地面に突き立てたバーヴェラを筆頭に冒険者と坑夫が十数名、封鎖壁の手前で武器を構えた彼らの間に言葉はほとんどない。これから行われることの意味は全員が理解していた。ただしその理解の深度は、各人によってまるで異なる。


 坑口の脇に設えた焚口の前にセフィラが膝をついている。灰蝕石の粉末と焦硫粉に蒼鉛粕と砒灰を加えた「第十一番」──五日間と十八通りの試行が凝縮された油紙の包みが整然と並んでいた。セフィラは一つ一つに指先を触れて確かめてから立ち上がる。


 シャールは少し離れた場所で通気口からの気流を読んでいた。彼の役目は坑口から坑道の奥へ向かう風を作ることだ。風の属性魔法──と、周囲には言ってある。


「よろしいですか」


 セフィラが振り返った。シャールが頷く。バーヴェラが封鎖壁の向こうから「いつでもいいよ」と声を張った。


 種火が焚口に落ちる。


 ◆


 焚口から最初の煙が上がった時、セフィラの貌には何の表情も浮かんでいなかった。


 恐怖もなく快楽もなく、ましてや良心の疼きもない。灰蝕石が熱に崩れて酸い臭気が周囲に走り焦硫粉が反応して煙が赤みを帯び蒼鉛粕の気化が重い底流を作って砒灰がそれを覆い煙が濁った紫紺に変わっていく一連の化学変化を、セフィラはただ配合の燃焼を検証する実験者の目で追っている。


 それは花のようだった。焚口の小さな炎を芯にして坑道の暗がりへ向かって咲き広がっていく、致死の花弁。


 シャールが目を閉じる。大気の中には目に見えない塵が無数に漂っている。粉塵、鉱石の微片、煙の粒子──不可視の念動力がそれらを一つ一つ掴み、同じ方向へ押しやった。塵が動けば塵に押された空気が動く。空気が動けば流れが生まれる。坑口の外から坑道の奥へ、自然にはあり得ぬ一方向の気流が走り、紫紺の煙は従順に闇の喉奥へ吸い込まれていく。


 善人は殺すことに怯むだろう。悪人は殺すことを愉しむだろう。だが宮廷で育った人間は、どちらの反応も示さない。


 正しい選択は報われ、誤った選択は身を滅ぼす──宮廷とはそういう場所だ。この原理を十年以上にわたって肌と骨に叩き込まれた者の精神には、ある種独特の乾きが生まれる。泣くなという教えではない。泣きながらでも最適な手を打てという教えである。悲嘆の涙を頬に伝わせたまま犠牲の数を最小にする命令書に署名する──そういうことを呼吸のようにやれる人間を、宮廷は十数年かけて製造する。


 人間は大きく分ければ二種に分かれる。苦痛を前にして足がすくむ者と、苦痛を風景として処理できる者だ。だが宮廷育ちの人間はそのどちらでもない。彼らは苦痛を方程式の変数として処理する。変数に感情を移入する数学者はいない。


 セフィラはまさにそのように仕上げられた精神の持ち主だった。地の底の虫が灰蝕毒に外殻を侵され焦硫粉に甲殻を割られ砒灰に内臓を焼かれて死んでいく──その過程を、彼女は焚口の傍に膝をついて羊皮紙に配合の燃焼データを書き付けながら、何の感慨もなく見つめている。


 迷いがないのは残酷だからではない。訓練の成果だ。犬は「伏せ」と言われれば伏せる。宮廷の子供は「判断せよ」と言われれば判断する。手を止めて泣くという回路が、そもそも配線されていないのである。


 ◆


 焚き込みが始まって半刻も経たぬ頃、地面が揺れた。


 集中してようやく分かる程度の微かな振動だ。だが坑夫たちの顔色がたちまち変わる。岩盤の声を聞き分けることに生涯を費やしてきた連中である。このくらいの揺れにもすぐ気付く。


「効いてやがる」


 年嵩の坑夫がそう呟いた時、誰も返事をしなかった。顔を背ける者もちらほらといた。


 地の底で何かがのたうっている。毒煙に侵された地脈虫の群れが封じられた坑道の中で悶え、その苦悶が振動となって地殻を伝わってくる。


 坑夫たちにとって地脈虫は、ただの害虫ではない。虫は地中の霊脈に沿って巣を作る。その古い巣跡を辿れば良質な鉱脈に行き当たるのだ。虫が長く棲んだ地層では体液が鉱石に浸透して独特の変成を起こし、より純度の高い鉱物が育まれる──坑夫たちの間ではそれを「虫の恵み」と呼んでいた。本来ならば虫は地の深くに棲み、人とは互いに干渉しない。今回の惨事は延伸部の坑道を掘り進めて巣を直撃した、人間の側の過ちだ。坑夫たちがそれを知らぬはずがない。


 だからこそ彼らは、足元から伝わる虫の断末魔に顔を背けるのである。殺さねばならないと分かっている。分かっていてなお、痛む。


 バーヴェラが封鎖壁に掌を押し当てた。


「暴れているね。だが壁は保っている」


 セフィラは焚口の傍で燃焼の推移を記録していた。油紙の包みは設計通りの間隔で追加投入され、灰白色から紫紺へ移ろう致死の帯が途切れることなく坑道の奥へ送り込まれていく。


 やがて通気口の三番から紫紺の煙が噴き出した。続いて五番。


「奥まで通ったね」


 バーヴェラが封鎖壁から離れる。


「三番と五番は延伸部の枝坑の先ですわ。噴出は全域に毒煙が行き渡った証でございます」


 セフィラの声に感慨はない。水が沸けば蒸気が出る。毒が行き渡れば通気口から噴く。それだけのことだ。


 やがて足元の振動が弱まっていく。散発的になり──間遠になり──最後に一度だけ大きく震えて、止んだ。


 坑夫のひとりが十字を切る。座り込んで長い息を吐く者もいた。


 セフィラは羊皮紙に数行を書き加えている。


「燃焼開始から三番噴出まで四分の一刻。五番噴出まで三分の一刻。振動停止まで半刻弱。……もう少し蒼鉛粕を増やしていれば、到達はさらに速かったかもしれませんわね」


 坑夫たちが無言で顔を見合わせた。地脈虫が死んだ安堵と、この若い女への底知れぬ畏怖が一つの顔の上で溶け合っている。


 ◆


 陽が昇りきった頃にバーヴェラが封鎖壁の一部を崩し、確認のため坑道に入った。シャールと坑夫三名が続く。


 坑道の壁と床に地脈虫の死骸が散らばっている。灰蝕毒に斑に侵されて黒ずんだ外殻。繋ぎ目の薄い部分から滲み出す暗色の体液。焦硫粉が侵食を加速した痕は甲殻の表面を走る無数の亀裂として刻まれ、砒灰が体内を焼いた痕跡は裂けた体節の隙間から覗く灰色に変色した筋繊維に残っている。腐敗の甘い臭気と焦げた金属の臭気が溶け合って坑道の空気が重い。死の匂いだ。それも自然死ではない──化学的に設計された死の匂いである。


 坑夫たちは口を覆った。嫌悪だけではない。かつて「虫の恵み」として鉱脈を導いてくれた生き物の成れの果てを前にして、ひとりは壁に手をついてうつむいている。


 だがシャールはそうではなかった。彼の視線は死骸の分布を追い、毒煙の浸透範囲を逆算している。どこまで届いてどこに届いていないか。死骸の密度が高い区画と低い区画、巣の中心と辺縁の位置関係。戦場の後に損害を査定する指揮官と、まったく同じ回路である。


 かつてこの男が座るはずだった椅子は、数千の兵の生死を左右する椅子だった。一つの命令が百の死を生み一つの躊躇が千の命を見殺す。そのような場所に備えて鋳造された精神にとって、死骸は分析の対象であって感情の対象ではない。虫が苦しんだかどうかは方程式に含まれない変数だ。含まれない変数を考慮する理由がない。


 感じるのではない。処理するのだ。


 坑道から出ると、バーヴェラが白い歯を見せていた。


「大したもんだ。嬢ちゃんの毒は本物だったね」


「毒の効果を保証するのは理でございますわ。わたくしはその理を配合に翻訳しただけですの」


 理。


 前の晩にセフィラはその信仰を裏切っている。シャールの指が蒼鉛粕の染みを拭ったあの夜、掌の温かさは摩擦の理で説明できると知りながらその説明を退けた。


 殺戮は理で遂行し、恋慕は理から逸れる──この矛盾を矛盾と認識しつつなお平然と機能できる精神もまた宮廷の産物だろう。矛盾は解消するものではなく抱えて機能するものだと、あの場所はきわめて効率的に教えてくれる。


 坑夫たちが歓声を上げた。抱き合う者がいる。涙を流す者がいる。だが──。


 シャールとセフィラはその歓喜の輪の中に立ちながらも、ついぞ輪の内側には入らなかった。笑顔を見せはする。だがそれは歓喜ではなく、任務の完了を確認した者の安堵だ。


 流浪の二人にとってマルディンは通過点であり、地脈虫の殲滅は帝国への旅路を滑らかにするための一手に過ぎない。


 それを冷酷と呼ぶことは容易い。だが容易い言葉は大抵の場合、本質を射抜かない。彼らは冷酷なのではない。ただ高い椅子の傍で育った者だけが身につける、この世界との隔たり──その透明で堅牢な孤独を、生涯脱ぎ捨てることができないだけだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作の長編と短編を宣伝。長編は大体ブクマ1000~1500くらいのやつ。短編は直近二ヶ月で書いたやつをポイント降順に。

【長編】

アステールの血を引く者は魔術に優れる事甚だしく、特にハイン・セラ・アステールはアステール史上もっとも強大な魔力を誇る麒麟児であった。
"本来の歴史" では彼は傲慢で邪悪な典型的悪役貴族であったのだが、並行世界では一味違う。
いや、二味違う。
一味目は、彼が極度のマザコンだという点だ。
平行世界のハインもまた本来の歴史のハインと同様に邪悪なのだが、母への愛が魔と邪を覆い隠す。
勇者も聖女も元婚約者も、彼にとってはどうでもいいことだ。
ハインはただ母と静かに安らかに暮らしたいだけで、それを邪魔する者全てが彼の敵である。
では二味目はといえば、それは彼が本来の歴史のハインよりも遙かに強大な魔力を有し、遙かに強大な魔術を操るという点だ。
愛する母に格好いい姿を見せたいがために努力を重ねた天才──ハインに不可能はない。
「悪役令息はママがちゅき」

幼い頃、家に居場所を感じられなかった「僕」は、母の再婚相手のサダフミおじさんに厳しく当たられながらも、村はずれのお山で出会った不思議な「お姉さん」と時間を共に過ごしていた。
背が高く、赤い瞳を持つ彼女は何も語らず「ぽぽぽ」という言葉しか発しないが、「僕」にとっては唯一の心の拠り所だった。
しかし村の神主によって「僕が魅入られ始めている」と言われ、「僕」は故郷を離れることになる。
あれから10年。
都会で暮らす高校生となった「僕」は、いまだ"お姉さん"との思い出を捨てきれずにいた。
そんなある夕暮れ、突如あたりが異常に暗く染まり、"異常領域"という怪現象に巻き込まれてしまう。
鳥の羽を持ち、半ば白骨化した赤ん坊を抱えた女の怪物に襲われ、絶体絶命の危機に陥ったとき。
──目の前に現れたのは"お姉さん"だった。
「お姉さんと僕」

ライカード王国魔導部隊所属の魔導散兵である君は迷宮の調査探索中、怪しげなポータルを起動させてしまう。
気付いた時には一切見覚えのない風景が広がっていた。
迷宮であることは間違いないが、壁の質感、床の質感、空気の味なにもかもが違う。
未知の迷宮に飛ばされてしまったということなのだろうか。
君はいぶかしみながらも探索をすすめていく。
やがて出口が見えた。
踏み固められた街道、そよぐ木々、風。
なにより道の先にある都市はライカードのものではなかった。
そこは迷宮都市アヴァロン。
君はそこで冒険者として過ごすこととなる。
祖国ライカードへの帰還を夢見ながら
「ダンジョン仕草」

宇宙開拓時代の西暦3889年、ろくでなしの青年…君はとある大勝負に敗北する。
要するに賭けで負けたのだ。
しかし君には金もなければ家もない。
哀れ君は人身売買のブローカー経由で人体実験に参加し、サイバネ手術を受けることに。
体は機械化され、神経は拡張されるも、存在の違和感ともいうべき感覚に苦しむ事になる。
「人間に戻りたい!」
君はそう願い、再度の手術を受けるべく金を稼ぐことにした。
君が目をつけたのは「惑星開拓事業団」だ。
危険な惑星調査の仕事は金になる。
命の危険もあるが、なに、機械の体がなんとかしてくれるさと君は軽く考える。
「★★ろくでなしSpace Journey★★(連載版)」

【短編】

剣士カイトは勇者アルヴィンから追放を告げられた。
そして──!!!!!!
「意識高い系勇者パーティから追放された俺の末路」

「愛している」——その言葉と共に、母の刃が私を貫いた。
過保護な母に命を奪われた絵里が転生したのは、乙女ゲームのような異世界。
伯爵家の令嬢エリスとして第二の人生を歩み始めた彼女を待っていたのは、お約束の婚約破棄だった。
「愛の温度」

ヘルナロウ王国では今、婚約破棄が流行していた。
頭の悪い婚約破棄は最悪である。
当事者たちだけではなく、周囲の者たちや国そのものにも被害を与えるのだ。
ヘルナロウ王国もまた、アホな婚約破棄のせいで被害を被っていた──国家予算の一割を吹き飛ばすほどの大被害である。
「この女は我が妹をいじめた」
「前世が聖女の令嬢に心を奪われた」
貴族の子息たちは次々と愚かな理由で婚約者を糾弾し、その度に決闘、自害、領地間の経済断絶といった惨事が続発する。
頭を抱えるのは宰相グラモン侯爵。
就任一年で彼の白髪は三倍に増えた。
国王も手をこまねくばかりだったが、王妃ヘルザベスがある提案を持ちかける。
──「令嬢たちに、正しい謀略を教えましょう」
講師は「影の女公爵」と恐れられる王妃の姉クロエを筆頭に、王国屈指の策謀家たちである。
「婚約破棄亡国論」

死者三十人超──熊が人を喰い荒らすA県で、知事・熊殺三太夫は「これは戦争だ」と宣言した。
だが都会からは「熊を殺すな」の大合唱。
現場を知らぬ理想主義者たちに知事はとある決断を迫る。
「熊が来る!」

世話焼き雑用メンバーを追放するいつもの話。
「いつもの追放もの」

太平洋戦争架空戦記。
「白い悪魔」

夕暮れの駅のホーム、今にも線路へ吸い込まれそうな女性に男は全力で体当たりを食らわせた。
男の名前は藤巻俊一。
いわゆる、「ぶつかりおじさん」である。
「感電」

極端なフェミニズムが蔓延するアルカディア王国、その王太子であるシャルルはいわゆるスパダリである。
しかしそんな彼でも、さすがに国のあり方についていけないとへこたれてしまった!
その結果──
「フェミ★婚」

大学一年生の健太は突然の家庭崩壊に直面する。
父の浮気相手は部下の男性だった。
だが帰省して開かれた家族会議は、誰も予想しない告白合戦へと変貌していく。
十年以上妻に拒まれ続けた父の苦悩。
抑えきれない性欲に心療内科へ通った過去。
一方の母もまた、幼少期から実父に性的虐待を受けてきたトラウマを抱えていた。
そして健太自身も「実は僕、バイなんだ」と打ち明ける。
壊れた家族。歪んだ愛。
誰もが秘密を隠し、誰もが傷を負っていた。
普通を望みながら普通になれなかった三人が辿り着いた答えは。
「完全破壊家族」

ドラゴン相手に示談交渉、悪党には損害賠償。
法の力で世界を論破する、リーガル・バトルファンタジー。
「悪徳弁護士、異世界へ行く」

曇らせ大好きな青年が魂転移してしまったらしい……
「曇らせる男」

勇者が魔王を倒そうとしなかったらどうなる?
「勇者に放置された魔王の末路」

「愛しい陛下。貴方はただ、その玉座で綺麗に微笑んでいてくださいな」
隣国帝国の八万の大軍が迫る国家存亡の危機。
震えながらも民のため城に残ることを選んだ美貌の国王テリオンに対し、王妃サリィナは優雅に扇子を開いた。
かつて「人形のように退屈」とテリオンに婚約破棄された彼女は、実家公爵家による苛烈な『再教育』を経て、毒を以て毒を制す冷徹な謀略家へと変貌を遂げていた。
「黒薔薇の嗜み」

冒険者パーティ『碧空の翼』の荷物持ちバジルは醜く無能な中年男だ。
そんなある日、彼は仲間に囮として森に捨てられた。
絶望の淵で彼が手にしたのは、若き美女へと変貌する奇跡の力であった。
復讐を誓ったバジルは美貌の魔術師「ジル」となり、かつて自分を見下した男たちの前に現れる。
何も知らない男たちは、かつて蔑んだ男とも知らず、彼女の愛を求めて争い、堕ちていく。
「無能な中年男、男をたぶらかす魔女となり、自分を捨てたパーティメンバーに地獄を見せる」

帝都ティランの会員制サロン「銀枝亭」に集った五人の貴族たち。
話題は庶民の間で流行する「婚約破棄譚」への痛烈な批判だった。
設定の杜撰さ、人物造形の稚拙さ、読者の被害者意識……舌鋒鋭い文芸誌編集主幹カタリナを中心に、知識人たちは存分に嘲笑を重ねていく。
だが談話の果てに浮かび上がったのは──
「阿呆鳥の連環」

呪いの動画を見てしまった。
私は一週間後に死ぬらしい。
でも大丈夫(?)。
地球が三日後に滅びるそうだから、怖くない。
「メテオリック・エクソシズム」

妻を癌で亡くして以来、男は自分が生きているのか死んでいるのかすら判然としないような日々を送っていた。
だが故人をAIで再現するサービスを知り、膨大な写真やメール、声の記録を入力して亡き妻を蘇らせる。
画面越しに再開した会話は空虚だった日常を少しずつ温かく満たしていく、が。
「電影」

ある日を境に、日本中で不可解な事故死が激増した。
一人でいると死亡率が跳ね上がる異常事態。
国民すべての運が急激に悪化したのだ。
かつて「他人と関わるな」が常識だった社会は一変し、人々は見知らぬ者同士で命を預け合うようになった。
「運の尽き」

あるところに女の子がいました。
女の子はもう死にます。
「光り、きらきら」

「私たち四人は対等なの」──女の提案で始まったのは、三人の男が一人の女を共有する異常な日々だった。
弁護士の真司は漁師の啓二、バーテンダーの了と共に、愛する妻・莉子と暮らしている。
かつては嫉妬に狂い、互いに殺意すら抱いた男たち。
しかし奔放な妻に振り回され、同じ苦しみを共有するうちに、敵同士だったはずの三人の間には奇妙な連帯感が芽生え始める。
「オープンマリッジ」
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ