第38話:魂へのダイブと『直接交渉』(挿絵あり)
生成AIで画像を作ってみました。
この話数から自動で作っただけなので、本文や他の画像との矛盾はご容赦ください。
「フィン君!」
「工房長!」
俺が戦場に駆けつけると、アルドとセレスティーナが驚きの声を上げた。ハンナは、ベアトリス率いる騎士団の治癒術師に保護され、後方へと運ばれていくところだった。
「心配するな、ここからは俺のディレクションに従え! 最高の見せ場を用意してやる!」
俺、フィン・アッシュフォージは、暴れ狂うタイタンを前に、不敵な笑みを浮かべた。
「アルド! セレスティーナ! ベアトリス団長! 全員で、あのデクノボウの注意を一点に集中させろ! 奴の胸にある動力炉! そこに、ありったけの攻撃を叩き込め! 装甲に、髪の毛一本分の隙間さえ作ってくれれば、それでいい!」
俺の意図を正確に理解できた者はいなかっただろう。だが、彼らは動いた。アルドの剣閃、セレスティーナの魔法弾、そしてベアトリス騎士団の騎士たちが放つ十字の光を纏った矢。その全てが、タイタンの胸部中央にある、動力炉を覆う装甲へと殺到する。
ガガガガガッ!
凄まじい集中砲火に、ついにタイタンの胸部装甲が軋みを上げ、わずかな亀裂を生んだ。
「今だ!」
俺は、その一瞬を見逃さなかった。
アルドが作ったわずかな隙をついて、俺はタイタンの巨躯を駆け上がり、胸の亀裂へと、迷わずその身を滑り込ませた!
「フィン!」
ベアトリスの悲鳴にも似た声が聞こえたが、もう遅い。
俺の体は、タイタンの内部へと吸い込まれていった。
内部は、地獄だった。
赤黒い魔力の奔流が渦巻き、壁からは、無理やり融合させられた魂たちの苦悶の表情が、無数に浮かび上がっている。
「(助けて…)」
「(苦しい…)」
「(殺してくれ…)」
怨嗟の声が、魂に直接響いてくる。
「うるせえ!」
俺は、そんな声に一喝した。
「お前ら、それでも魂か! ステージの上で、いつまでもメソメソ泣き言を言ってんじゃねえ!」
俺は、魔力の嵐の中心にある、巨大な球体――『魂の核』たる動力炉へとたどり着いた。それは、憎悪と絶望で紫黒く染まった、巨大な魂の集合体だった。
「いいか、よく聞け! お前らは、最高のポテンシャルを秘めた『原石』だ! なのに、帝国のヘボなプロデューサーのせいで、こんなゲテモノユニットを組まされ、無理やりデビューさせられた! 悔しくないのか!?」
俺は懐から、ギルド長のバルバロッサに「万一、魂の不協和音が起きた時のために」と特注で作らせていた、魂の振動を増幅させるアダマンタイト製の小さな槌を取り出した。これを『調律槌』と名付けよう。
「今から、お前らの魂を『調律』してやる!」
俺は動力炉に向かい、その槌を振り下ろし始めた。
カーン! カーン!
澄んだ金属音が、憎悪の渦巻く空間に響き渡る。
「ピアノの調律ってのはな、まず一本の弦の音を、音叉を使って完璧な音程に合わせることから始まるんだ。その基準となる音ができれば、あとは他の弦を、その音との『響き』を聴きながら合わせていくだけだ。魂も同じだ! お前らの中に眠っているはずの、純粋な『基準音』を、俺が引きずり出してやる!」
俺が調律槌で叩くたび、俺自身の魂の輝きが、動力炉へと流れ込んでいく。俺の魂が、基準音となる音叉の役割を果たすのだ。
「いいか、思い出せ! お前らが元々持っていた、それぞれの輝きを! 兵士だったお前の誇りを! 農民だったお前の平穏への祈りを! その全ての感情は、憎しみのためじゃなく、輝くためにあるはずだ!」
俺の魂の叫びに呼応するように、紫黒かった動力炉の中に、ぽつ、ぽつ、と小さな光が灯り始めた。それは、魂たちが失いかけていた、本来の輝きだった。
この一連の奇行を、外部から魔力探知していた帝国の魔術師は、本国に恐慌に満ちた報告を送っていた。
「信じられません! 謎の術者が、タイタンの動力炉に直接精神ダイブを! 凄まじい勢いで、動力源の魂が『上書き』されていきます! 我が軍の魂魄制御術式が、逆に利用されている! これは…これは、もはやハッキングなどというレベルではない! 乗っ取りです! それも、機体だけでなく、魂ごと!」
俺は、最後の仕上げに、調律槌を動力炉の中央に突き立てた。
「さあ、歌え! お前らの魂の歌を! 最高のハーモニーを、世界に響かせてやる!」
その瞬間、動力炉は、全ての憎しみを浄化するような、眩いばかりの白い光を放った。
俺の『魂との直接交渉』は、成功したのだ。




