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第511話 少数精鋭

 

 16の世界の時空の結界をアイキーを使用して通った。そして、俺達『チーム一鶴』は3回目の17の世界にやって来たのだ。


 ちなみに、アハトは武装したままだと怪しさ満点だから『切り札の制裁(ジャッジメントカード)』の時の腹出しコーデに戻ってもらった。


「これまで、何度もやってくる世界も珍しいよな...」

 17の世界の、16の世界に対する防衛体勢はほとんど解かれていた。国の間は、本来探訪者が移動するためにやってきた者を全員ボコボコにする───なんてことはしないのだ。


「顔が知れられてない『陽光の刹那』の3人を中心に上手く行動していく算段だ」

「わかったよ」

「それと、リューガとカルガンは空を飛んで最初の国に入る手続きは解除してください」

 そう指示をするのは、敬語であったクロエであった。


「あぁ、わかったが...カルガンは空を飛べるのか?」

「飛べるのかどうかって聴かれたら否だぜ。重力のかかる方向を変えて、空中を移動してるだけだぜ」

「そうなのか...」


 金髪───ではなく黄色髪の彼の天井にでもなんでも張り付ける能力は『虚重力』というらしい。無重力とは、また違うらしい。


 虚重力・・・自分のみ重力の方向を変えることが可能。


「───んじゃ、リューガ。行くぞ!」

 そして、カルガンは上空に浮いて───いや、浮き方としてはまるで上の方に落下していくように四肢を地面の方に向けながら天に登っていった。


 俺も、彼のスピードについていけるように浮遊を開始した。彼の能力は、自分だけの重力の方向を操るので他人を浮かせることはできないらしい。


 そして、空中に静止する───ということも難しいらしい。


 色々、難解な能力だ。でも、まぁ高校の物理の時間は重力は下向きの矢印1つだけだったから、2本に増やす───とかの荒業はできないのだろう。


 空中に斜面なんてものはないから、力の分解なるものもできないだろうし。

「───さて、俺達は人目につかないとかで着地すんぞ!」

「あ、あぁ!」


 そう言うと、カルガンは17の世界のスポーン地点に近い人目につかなさそうな茂みに着地した。空に何かが浮いていては目立つのだが、そのところは気にしないのだろう。


 ───そして、十数分ほど待っているとショウガ達が正確な手続きの果てにしっかり17の世界に入ってきた。


「入れたのか?」

「あぁ、ペトン・アイラ・オルバの3人は顔が知れ渡っていなかったし。セイジも一言も喋らなかったから止められなかったぞ」

「それに、アタシの『謝罪』もあったからね!」

「ぼくが止められる理由になるとは、心外でちゅ。泣きまちゅよ?」

「───」


「ひどいでちゅ、ママ。よちよちしてくだちゃい」

「はいはい...」

 もうすぐ三十路を超えるであろうセイジの頭を撫でる現在16歳のマユミ。少し、犯罪感が否めない。


「はいはい、ふざけてないで行きますよ」

 そう言って、手を叩くクロエ。チームのまとめ役が増えて少し安心できる。俺一人じゃ、まとめられるかわからない性格をしているしな。


 ───いや、セイジはマユミさえいれば統率が取れるだろうか。


 そして、俺達は堂々と住宅街や商店街を通って17の世界の王城に向かった。ここで、コソコソ裏道を通ったりするほうが怪しいのだ。11人───いや、正確には10人と1匹なのだが、これだけの大勢が裏道を通ろうが商店街を通ろうが目立つのは当たり前だ。


 ならば、堂々と住宅街を通ってやろうじゃないか。それに、そっちの方が近道だしね。

 生憎、17の世界は現在各地で反乱が起きているようで兵士達が止めに来たり───だとかはなかった。


 ───そして、俺達はあっという間に17の世界の王城の前までやって来たのだ。


「うへぇ...庭が広いな...」

 ショウガがそんな感想を呟く。


「お、おい!お前らは何者だ!」

「そこのヒヨコ、もしやブーロン2世に楯突いた『チーム一鶴』のリューガか?」

「もしや、アナタは『切り札の制裁(ジャッジメントカード)』のアハトか?」

「もしや、反乱に乗じて再度勝負を挑むつもりだな!」

 俺達の目の前に現れたのは4人の兵士であった。


「はぁ、面倒だぜ」

「しょうがない、倒しますか」

「そうでちゅね」

「邪魔者を殺す。これが俺のモットーってやつなんだ」


 そして───


「『羅針盤・マシンガン』!」


 ”ドドドドドドド”


「消えてください」


 ”ジャキンッ”


「ファイヤーでちゅ」


 ”ボウッ”


「潰れろや!」


 ”ドスンッ”


 オルバは能力である『羅針盤・マシンガン』で、クロエは持ち前の武器である巨大なハサミで、セイジは洗練された火魔法で、かるガンは自分の武器である巨大なハンマーで、それぞれ兵士を倒した。


「私が出る幕でもなかったか...」

「正直、俺一人で全員倒せてたかもな」

「そんなの当たり前じゃないですか」

「ぼく達は強いでちゅ。ママ、なでなでしてくだちゃい」

「こんな雑魚はどうでもいい。おら、先に進むのを優先にすんぞ!」


 4人がそれぞれ好き勝手なことを言いつつ、先に進んでいく。巨大な門を正面突破し、17の世界の王城の中に侵入する。そして、広い庭を通り過ぎ、王城の玄関から正面突破しようとすると───


「おいおい、随分と野蛮な奴がやってきたじゃねぇか」

 俺達の後ろから聞こえたのは、俺にとって聞き覚えのある声。だが、この声の持ち主は死んだはず───。



 そう、思い俺は後ろを振り返った。

 そこにいたのは、背が低く禿頭のゴエティア序列46位の、俺が殺したはずの男───ビフロンスであった。


「お前らの行動は、もうポーラン・ハイランド王にはお見通しだぜ!」

 どうやら、俺達の侵入がバレたようだ。いや、門番を殺してバレないと思っていたわけではなかった。


 魔神であるビフロンスは、俺達の侵入の報告を聞いて、飛んでやってきたようだった。生きている理由は一切わからないが、ビフロンスの相手をしなければならないだろう。

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