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第509話 内憂外患の末に

 

 ***


 ───パープルは、宰相であるジャンクや侯爵であるシングを呼び出していた。


 あまりこのような発言はしたくないのだが、特に特筆すべき特徴がなかった前話であったがために、少しメタ的な発言となってしまう。それを覚悟して言い表すとするのなら、今から話されるのは前話と同じ時間で別の場所の話だ。


「───失礼します」

 そう言って、部屋に入ってくるのはジャンク宰相であった。


「───と、パープル王。もう来ていらっしゃいましたか。お待たせしてしまい申し訳有りません」

「いやいや、俺も今さっき来たところだよ」

 ジャンク宰相とパープルが恋人のような会話を繰り広げていた。


「それに、まだ予定した時刻の30分ほど前だ。だから、問題ないよ」

「しかし...」

「ジャンク宰相には、色々仕事を任せているし遅れたって不敬だとか咎める気はないし」

「───ありがたきお言葉です」


 そう言って、ジャンク宰相はパープルの前で膝をついた。

「顔を上げてくれ。俺だってやりにくい」

「わかりました」


 そう言うと、ジャンク宰相は立ち上がって席に座った。用意されていた会議用の長机のお誕生日席にパープルは座り、パープルから見て左側の一番パープルに近い席にジャンク宰相が座った。


「パープル王とワタクシとシング侯爵の3人だけならば、こんなに大きな会議室である必要はなかったかもしれませんね」

「そうだね。でも、イスマーと密談した場所だと色々嫌なジンクスが残ってそうだし...」

「───と、なると本日話されるのは戦争の話ですか...」

「まぁ、そうなるね」


「失礼します♪」

 部屋に入ってくるのは、この中では一番身分が低く、この中で一番遅れてやって来たこの中で一番陽気な人物だった。


「ハロー、ハロー、ハロー。シング侯爵、ようこそおいでくださいました。しかし、パープル王に呼ばれて一番遅く来るというのは...」

「ハッハッハッ♪何を言っているんだい♪ジャンク宰相、私はいつ何時でも遅刻したことはありますかな♪」

「───」


「私は、いつ何時でも集合時刻丁度に来れるように行動しているのです。ですので、私は遅刻じゃないんです♪」

「───そうですか」

「シング侯爵が、集合時刻丁度に来るのはわかっていることだろう?なら、問題ないじゃないか」

「そうですが...」


「それより、2人を呼んだ理由(わけ)をそろそろ話したほうがいいんじゃない?会議のメンバーが全員集まったんだしさ」

「それもそうですね♪」

「わかりました。では、よろしくお願いします」


 シング侯爵は、ジャンク宰相の目の前にドッサリと座る。ジャンク宰相は、その事に全く気にしない様子で話に集中しようとパープルの方を真剣な眼差しで見ていた。


「まず、結論から───いや、これは俺の提案かな。そう、提案を話すよ」

 そして、パープルは口を開いた。そして、続けてこう伝えた。


「───少数精鋭で17の世界に攻め込んでみようと思う」

「───少数精鋭で?」

「あぁ、そうだ。具体的には、『チーム一鶴』の皆の他に数人に頼もうと思っているよ」

「『チーム一鶴』の皆さんは全員猛者なので納得できます。他の数人───ってのはどうするんですか?」


「そこが問題なんだ。だから、ここはシング侯爵の『審美眼』で見てもらいたいんだ」

「それで、私を呼んだわけですね♪了解しました♪私に任せてください♪その代わり、戦争に勝った後は───色々わかっていますよね♪」

「あぁ、わかってるよ。色々優遇させてもらうよ」


 シング侯爵は、そう言うと目を瞑った。これが、『審美眼』を使用しているという証拠であった。


 審美眼・・・何かの作戦に必要な人材を見つけてリストアップすることが可能。


「───見つけました♪まず『チーム一鶴』は確定であるとして、残り必要なのは大体4人になるでしょう♪」

 シング侯爵は、『審美眼』で必要な人材を見つけたようだった。4人だから『審美眼』を使用する時間が短かったということもあるのだが。


「それで、それは誰なんだ?」

「わかってますよ♪今から発表します♪」


 ───そして、シング侯爵は4人の人物の名前を羅列する。それは、パープルにとっては聞き覚えのある名前であった。


「ほう、面白いチームになりそうだね。それじゃ、早速『チーム一鶴』の皆にお願いしようと思うよ」

「そうするのが一番でしょう。ワタクシは少数精鋭ならば戦争には反対しませんので」


 ジャンク宰相は、国民からの内乱を恐れていたのだ。前回の内乱は、戦争の立役者であるイスマー侯爵が死亡して内乱を終わらせることができたが、今回はそうはいかない。


 誰もパープル王を守る盾となる人物がいないのだ。もしかしたら、人選をするという名目で呼んだシング侯爵を盾にしようとしている可能性も考えたのだが、国民を第一に考えるパープルはシング侯爵を見捨てるような行動はしないだろう───と、ジャンク宰相はひとりでに結論付けていた。


「それに、現在17の世界ではローラン・ハイランドが死亡してそれを機に国民が内乱を起こしているようですし、それに乗じて少数精鋭を送り込めれれば問題なさそうです」

「私も戦争に反対しません♪戦争ってのは利益ですからね♪」


 ───こうして、第2次16・17の世界大戦が行われる日が近付いてきていた。

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