第507話 内乱
昨日は更新できず申し訳ないです。
明日も更新できないかもしれません。
───16の世界の敗北。
それは、16の世界の国民の心を大きく動かした。それは、いい方ではなく悪い方にだ。
それもそのはず。王が変わった直後に、他の世界に戦争をふっかけ敗北した。
この事実を聞き、誰が怒らないだろうか。怒らない人物なんか、一人もいないだろう。
16の世界の国民は、17の世界に敗北したことを理由に各地で反乱を起こした。
戦で負けたパープルとその兵に、戦で宣戦布告する各地の住民たち。
流石に、16の世界の国民に敗北することはなかったパープルとその兵は、反乱に参加した国民を捕縛して、収監した。
その事実が16の世界に広がり、更に反乱は伝播した。
───そして、各地で起こっていた反乱は大きくなり、国全体を包む内乱にへと変化していたのだ。
「最近、随分と物騒だな...」
そう口を開く俺。同じ部屋にいるのは俺達『チーム一鶴』のショウガ・マユミ・モンガと『陽光の刹那』であるペトン・アイラ・オルバの6人と1匹であった。
17の世界に敗北してから早くも2ヶ月と半分ほど。俺達は、内乱に悩まされていた。
パープルが焦ったように、今俺達もいる王城「ガルム」を駆け回り、兵士と国民が国のあちこちでぶつかり合うそんな状態だった。
パープルの意向により、国民は誰一人として殺さずに捕縛するだけと伝えられていたので死者が出ることはいなかったが、だからといって怪我人が出ないというわけではなかった。
度々怪我人は出てくるし、その度に回復魔法を使える人物も東奔西走させられていた。マユミも、その中の一人だった。
「パープルはできる限り我らには最前線に出ないようにしているが...」
「私達も変に気を使われは困るというもの...」
ショウガとモンガがそう呟いた。
「───というより、どうしてリューガ達は一国の王となんか親密な関わりがあるんだよ」
そんな今更なツッコミを入れるのは、『陽光の刹那』であるオルバであった。
今思えば、俺は結構色々な世界において重要な人物と親密な関係になっているのかもしれない。まるでONEPIE◯Eだ。
「まぁ、最初に出会った時はまだ王じゃなかったけどね」
マユミがそんなことを語る。「ヘラルド革命」を経て、パープルは王になったのだからそれも事実だ。
「どうだっていいけれど、少し驚きね。月光徒の長とも知り合っていて認知されているようだし」
「あ、あぁ...そうだな」
月光徒に至っては、仲良くしようとしてよく出会うわけではない。もはや、その逆でもうこれ以上会いたくないからこそたくさん出会っているのだ。
───と、そんな会話をしている時だった。
「リューガ、いるか!」
部屋に入ってきたのは、16の世界であるパープルであった。彼は、目を見開いてすぐに何かが書かれている手紙を見せてきた。
「これは───」
そこに書いてあったのは、こんな内容だった。
『王へ
僭越ながら、本日は私が手紙を送らせていただきます。
手紙ですので、言葉や態度が不自由の点が多いかもしれませんがご容赦ください。
勿体ぶる内容ではございませんので、単刀直入に述べさせていただきます。
今現在国の各地で行われている内乱の要因は、17の世界チャルメラに敗北したことが原因です。
死が原因で起こった内紛は、誰かの死で償わねばなりません。
故に、戦争の首謀者であり立役者である私がパープル王が殺されるより先に殺され、この内乱を終焉に導こうと思います。
これが、私のナショナリズムです。無礼も多い私でしたが、16の世界ムルガーが何より大好きでした。
国のために死ねるのなら、本望です。
16の世界ムルガーに、希望を。
ローランツ・イスマー』
「なっ、これ!」
手紙を読み解くに、この内容はイスマー侯爵の遺書であった。
「俺は戦争が始まる1ヶ月半ほど前───ルカの葬式の直後にイスマー侯爵と戦争の画策をしていた!それが理由で、イスマー侯爵も自分の行いに疑問があったらしい!このままじゃ、イスマー侯爵が死んでしまい、内乱が終わってしまう!いや、内乱が終わるのはいいことなんだが、それが血が流れることで終わるのは許されない!」
パープルが、吠えるようにそう述べた。俺は、パープルの伝えたいことを一瞬にして理解した。
「イスマー侯爵の元に言ってくれないか!俺は、王という立場上王城ガルムの外には出られないんだ!」
「あぁ、任せろ!イスマー侯爵は殺させはしない!」
俺は、そう言うと同時にその部屋にいた誰も彼もが捉えられないような速度で浮遊してイスマー侯爵の邸宅にへと向かった。16の世界の地図は、これまでの期間でほぼ覚えていた。
詳しい道筋までは覚えていないが、俺は浮遊で飛んでいける。だから、ある程度はカバーできるのだ。
「頼む、間に合ってくれ!」
イスマー侯爵が死なないよう、俺は全速力で浮遊する。が───
「火を点けろぉぉ!」
「殺せ、殺せ!」
「これは聖戦だァァ!」
そんな叫び声と共に、長い棒の先に十字架状に縛り付けられていたのはイスマー侯爵だった。イスマー侯爵は、全裸にひん剥かれておりその体には数本の火のついた矢が刺さっていた。
「───ッ!やめ」
俺が、声を上げようとした時はもう遅かった。イスマー侯爵は、グッタリと項垂れて眉一つ動かすことはなかった。
そのまま、イスマー侯爵の体はメラメラと燃えていき───、
イスマー侯爵は、17の世界との戦争で敗北した兵士達に───タンドンやウディに殉死した。




