第501話 『生物変化』vs『陽炎蜉蝣』
俺と対面しているのは、小柄な禿頭であるビフロンス。俺の十数メートル左では、ウディとシャルルが殴り合っていた。
「俺達も、しっかり勝負しようぜ?」
「当たり前だ。俺の背を馬鹿にした奴は何人たりとも許さねぇ!」
ビフロンスは、どうやらやる気満々のようだった。
───と、相手はゴエティア序列46位の魔神なのだ。それより序列が上の魔神を殺害したことができたからって、安心することはできない。
理由としては、魔神は能力を3つも持っているのだ。能力には有利不利得手不得手があるからだ。俺の持つ能力は『憑依』と『生物変化』と『破壊』と『寿命吸収』と『消去』の5つだ。
相手は魔神であることがわかっているから、同じ種族にしか使えない『寿命吸収』は効果がない。
実質4つだが、どれが有効かわからない。もしかしたら、どれも効果がないのかもしれない。
「俺の能力だ!くらいやがれ!『陽炎蜉蝣』!!」
直後、ビフロンスの後方に現れたのは数体の溶けた人のような生物であった。
と言うのも、その数体の溶けた人のような人物は、何色もの蛍光色で彩られていたのだ。その溶けた人達───『陽炎蜉蝣』達は1歩ずつゆっくりとこちらに向かってきていた。
「気味が悪い...」
『陽炎蜉蝣』が、どのような能力を持つのかは俺にはわからない。もしかしたら、形状によってその能力が変わるのかもしれない。例えば、鳥の姿になれば空を飛べたり───だ。
「───じゃあ、こうする!『生物変化』!」
俺は、『生物変化』を使用する。相手は、能力で生み出されたが、生物であることには変わりない。
ビフロンスの能力が極められていれば、『生物変化』を弾かれるかもしれないが、そんなことはなかった。
『生物変化』は、成功する。『陽炎蜉蝣』は、全て人間の赤ちゃんのような大きさになり、戦場を這いつくばった。
「───あ?形を自在に変えられない?」
ビフロンスも、『陽炎蜉蝣』の違和感に気が付いたようだった。
あくまでも自分の能力だ。微細な変化には敏感なのだろう。
陽炎蜉蝣・・・姿を自在に変えることができる生物を生み出すことが可能。
「お前...何をした?」
「ただ、動きを止めただけだ」
俺の『生物変化』で、『陽炎蜉蝣』を実質の無効化に成功した。『生物変化』さえ使用できれば、いつでも『陽炎蜉蝣』を無力化することが可能だ。
「ったく、面倒な能力だぜ...だが、お前ごときに負けねぇ」
ビフロンスは、再度『陽炎蜉蝣』を使用する。俺も負けじと、『生物変化』を使用した。
「俺は『陽炎蜉蝣』でいくらでも変幻自在な生物を生み出せる。だが、お前は何人にまで『生物変化』を使用できるかな?」
ビフロンスは、俺の『生物変化』に限度があると踏んだようだ。だが、『生物変化』に限度があるかどうかは、俺自身知らなかった。
「その挑戦、受けて立つ」
ビフロンスが『陽炎蜉蝣』で得体のしれない溶けた人のような生物を大量に生み出す。俺も、生み出された『陽炎蜉蝣』全てに『生物変化』を使用して、『破壊』を使って対処する。
『破壊』してしまえば、『陽炎蜉蝣』に『生物変化』を使用する必要がなくなる。
『陽炎蜉蝣』は他の生物とは違い、流体のように形を変えるので一つ一つに意識を巡らせる必要があった。ここが、相手の肉体ではなく能力に使用していることを実感させる。
きっと、月光徒でもう一人のオレが指揮を取っている「7人の同志」の中にいる『液状化』の能力を持つリットも『生物変化』は意識しないといけないのだろう。だが、『生物変化』を使用すればリットの『液状化』を無効化できるのかもしれない───と、仮説を立てることができた。
「クソ、キリがねぇ...」
戦闘を始めて、早くも3分ほど。俺は、ずっと『陽炎蜉蝣』に『生物変化』を使用して『破壊』をするという作業を行っていた。
「───ったく、面倒だ。『陽炎蜉蝣』なんか皆消えちまえ」
俺は『消去』を使用する。この1ヶ月半、『破壊』の修行と並行して進めていた『消去』の修行。
生物で試すのは始めてであったが、修行では自分が望むような結果を手に入れることができていた。
「───んぁ?」
ビフロンスが『陽炎蜉蝣』を使った直後に、『陽炎蜉蝣』はドロドロと溶けて消えていく。どうやら、『消去』は成功しているようだった。
「おいおい、おかしいだろ。形が保てねぇ!」
「形なんか、保たせねぇよ!」
俺は、ビフロンスに迫っていく。残りの能力3つが隠されているので、それに注意しつつも俺は接近する。
「クソッ!近付いてくるんじゃねぇ!」
「嫌だね、『生物変───」
俺が、ビフロンスに向けて『生物変化』を使用しようとした刹那。
俺の体が、ひどく重くなったように感じた。そして───
「───かは」
口の中にドロドロとした言葉に言い表せないような変な味がする液体が入ってきた。この粘性の濃い液体が俺の体中にかかっているのだ。
「『破壊』ッ!」
俺は、ビフロンスを『生物変化』で逃げられないようにしてから『破壊』をするのではなく、すぐに『破壊』をすることに決定した。
俺は、口の中に液体が入りつつも『破壊』を使用する。それは、見事にビフロンスに直撃する。が───
「燃えやがれや、『病は気から、文明は火から』」
”ボウッ”
直後、俺の体が盛んに燃え始めた。どうやら、俺にかかった液体は蝋燭のロウだったようだ。
病は気から、文明は火から・・・任意の場所に炎を灯すことが可能。
蝋燭・・・相手の体に蝋を塗りたくることが可能。
ビフロンスの能力をいつものような順番(2個目に生物が来る並べ方)に並べるとこんな感じ
病は気から、文明は火から・・・任意の場所に炎を灯すことが可能。
陽炎蜉蝣・・・姿を自在に変えることができる生物を生み出すことが可能。
蝋燭・・・相手の体に蝋を塗りたくることが可能。
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