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第497話 『言語論的回転』

 

 目の前にいる老いた魔神は、己の能力である『言語論的回転』を使用し、「心頭滅却すれば火もまた涼し」を言葉通り行った。


 言語論的回転・・・相手の発言した言葉を直訳し、それを現実に適用させることが可能。例:ごめんなさいで解決したら警察はいらない→ごめんなさいで許されたら警察が消える。


 能力概要だけを読めば、難しく感じれば酷く難解な能力に捉えられるだろう。だが、この能力を一言で説明するとすれば「直訳したことが起きる」に限る。


 今回行った「心頭滅却すれば火もまた涼し」を例にあげれば、「心頭滅却すれば、火もまた涼しく感じる」ことができる能力だ。


 本来の「心頭滅却すれば火もまた涼し」の意味である「どんな苦難にあっても、それを超越した境地に至れば、苦しいとは感じなくなるものである」という意味は全く関係なくなる。


 心頭滅却する→火も涼しく感じるようになる


 という単純な因果関係で結ぶこととができるということだ。


「ごめんなさいで解決したら警察はいらない」も同じように「→」を使用して説明することができる。


 ごめんなさいで解決する→警察はいらない


 という単純な因果関係になり、警察は「いらなくなる」のだ。要するに、消えると言えるだろう。


 故に、この能力は語彙力があればあるほどにより強い能力になる。それに、『言語論的回転』を行った言葉をさらに『言語論的回転』で変えることができる。


 例えば「事実は小説よりも奇なり」で現実が小説以下であることが証明できれば、現実が「小説」であることになり、それで小説であれば「括弧をつける」ので、「括弧付ける」を『言語論的回転』して「カッコつける」ことだって可能なのだ。


『言語論的回転』は要するに直訳だったり言葉遊びをする能力───という認識で正解だろう。


 ───と、能力の説明が長引いてしまった。この程度で終わりにしておこう。


 マユミとタンドンは、目の前で『鬱々勃々』で現れた巨大な植物と共に燃えているステレオタイプに当てはまるようなに白髪で白ひげの老人を見ている。その老人は、周りに火こそ付いているが全く効果はないようだった。


「ワシに火など通用せんわい」


 そして、燃えた老人はタンドンの方を見る。

「先程から、即死かつ目視できない何かを飛ばしてきているのはそこのエルフの少年さんじゃのう?」

「───ッ!」


 タンドンが『複合動止』で攻撃していたことがどうやらバレていたようだ。まぁ、見るからに避けるような動作をしていたし当然といえば当然なのだろうが。


「そこのエルフの少年、名はなんと言うんじゃ?」

「僕のこと...だろう?僕の名前はタンドンだ」


「ほう、タンドンと言うのか...ワシの名はフルカス。ゴエティア序列50位の魔神じゃ」

 その老人はそう言うと、馬に乗ったままペコリと小さく礼をした。


「お主、かなり能力の使い方に長けているようじゃな...ワシと一戦してくれんかのう?と、言うのも右翼の猛者はワシが任せれておるのじゃ。これもブーロン2世からの命令だしのう...」

「「ブーロン2世?!」」


 ブーロン2世の名前を聞き、マユミとタンドンの2人は思わず声をあげてしまう。この老人───フルカスもブーロン2世の手下であったのだ。もしかしたら『ゴエティア』全体がブーロン2世の手下なのかもしれない。


「それじゃ、ブーロン2世に伝えておいてくれないか。捕虜は殺さないでくれって。そしたら、逃してやるからよ」

「ワシに勝つ気が満々じゃのう。能力で攻撃を一度もできていないというのに...」


 そう言いながら、フルカスは馬から降りる。

「ワシは逃げも隠れもせん。これはワシの能力に誓って言える。その代わりお主も、逃げも隠れもするなよ?」

「もちろんだ。僕も負ける気はしない!」


 タンドンは、そう言うと地面に触れて、そこから剣の形をした土を取り出す。土の剣だ。


「そっちが槍なら、こっちは剣だよ」

「ペンは剣よりも強し...と言うが、槍はどうかな?」

 直後、タンドンとフルカスの両者が動き出す。


 ”キンッ”


 タンドンの持っている土の剣は、タンドンの能力である『霽れ間を結て』で固定されているので、かなり強固だ。それこそ、折れることはない。


「ほう、急遽作った剣なのに、よく受け止めたのう」

「その場その場で作るからこそ、より使い勝手のいい剣ができるんだよ!」

「ほう、行き当たりばったりでもその場しのぎでもないわけか...」


 フルカスは、そう呟いた。そして───


「いやぁ、流石じゃのう。素晴らしいわい。やっぱり、長年使っている槍だからこそ最高の相棒になるんじゃのう」

 急に、フルカスは自らの持つ槍を褒めだした。タンドンの剣と拮抗している槍。


 ───が、その拮抗は突如として崩れることとなる。


「うおっ!」

 何が起こったのか。勿体ぶる必要はないだろう。答えとしては、槍が伸びたのだ。


「なん───」

「褒めて伸ばす。これがワシの育成論じゃ」


 槍が『言語論的回転』で褒めて伸びたのだ。そして、重心が変わりタンドンの剣との拮抗が崩れた。


 ───そして、そのままタンドンの腹に槍がブスリと刺さる。


 タンドンの背中から、槍の先端が見える。奥まで刺さり、タンドンの体を貫通したようだった。

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