7・魔法とは
学校に通い初めて1ヶ月
ついに待ちに待った魔力測定の時がやってきた
「これから教会にて行う魔力測定は神聖な儀式であり、私たちが崇拝する神々への感謝を忘れないようしっかりと神父様のお話をきちんと聞くように。皆さん分かりましたか?」
はーい!と元気よく返事をする違うクラスを含めたボクら同級生の数は30人ほど
周りの子供達も皆同じように期待と不安の入り交じった表情を浮かべながら先生の注意事項をそわそわと聞き終え、魔力測定が行われる教会へと移動し始める
この学校はその教会の隣に隣接して建てられており移動時間はかからない。学校への行き帰りで教会を見ることもあるが鉄格子の門は固く閉じられており、このような儀式が行われる時にしか外部の人間を招き入れることは無いそうだ
足を踏み入れたそこは白亜の城のよう
手入れの行き届いた白い壁に、中央の大きな塔のような建物の左右に一回り小さな同じ塔が左右対称に建築されており、ボクらを含め見たものを荘厳な雰囲気で出迎えた
中央の建物に案内され入ってみれば内部も白色で統一され、天井高く上の方からは色とりどりのステンドグラスを通じた日の光がキラキラと降り注ぐ。これぞ教会な、写真で見た記憶にある礼拝堂の中と造りは一致するが、実物のほうがはるかに神聖な場所なのだとこの身をもって知ることができる
ボクも周りの他の生徒も呆然とその光景に圧倒され周囲をキョロキョロと落ち着けなく見ていたが、そんな様子のボクらに先頭を歩いていた先生からゴホンッと咳払いが聞こえ驚いて全員が前をむく
「みなさん。驚くのも分かりますが、本日の魔力測定を行ってくださる神父様のアムシャ・ドルイト様です。ご挨拶を」
と、説明されたので「よろしくお願いします」と皆そろって挨拶をする
「元気な子供達でなによりです。私が今回の魔力測定を担当しました、アムシャ・ドルイトです。よろしくお願いいたしますね」
一緒に聞いていた先生の隣に立つ若干ふくよかで柔和な笑顔をしていた男性、神父様も挨拶をかえしてくれた
ただこの神父様とやら、なんだかボクと同類の気配がする
もしかしたら気のせいかもしれないが、あの上司様だ
こちら側の仲間となりうる者を察知する機能でもボクに断り無く付けている可能性を否定できないが、今回は現状で確認のしようが無いので何も気付かなかったことにしておこう
「ではみなさん、測定の前に魔力とは何かと説明を行いますのでお好きな席に座ってください」
その言葉を聞いて我先にと前の席に生徒が座っていく。もちろんボクも例外ではなく最前列に座る事ができた
「まず魔力とは約5つの種類があるとされています。そしてこれは私達アンユ教の教えに出てくる神々様と同じ数でもあります」
おっと危ない!思わず反応しかけた
いきなりアンユ教とはまた酷い罠だな。絶対知っていてこの世界に送り込んだろ上司様よ
「火の神タル、地の神リーチュ、水の神ハルワ、風の神アムル、そしてその神々の生みの親たる創造神アンユ。この5人の神々の数だけ魔力は種類があるのです」
壇上から聖書と思わしき教本を読み上げる神父様が、チラリと目線を端にむけ飛ばしたのが見えた
「まず創造神アンユ様が世界を造りだし、その世界を支えるために他の4人の神々を生みだしました。そして5人となった神々は世界の基盤を造り上げ、最後に生命たる生き物や私達人間を生みだしました」
目線を飛ばした端から布のかけられた長方形の箱のようなものを教徒と思わしき複数人の人物に大切そうに抱えながら現れた
教徒達はその箱を語る神父様のすぐ横に設置されていた台座にゆっくりと慎重におろすと、音もなくすぐにいなくなる
「特に神々は人間を生みだす時に、生命において最高峰の優れた知恵ある者をと考え、そのさいに5人の神々の祝福を与えてくださる事を決めました」
朗々と聖書を読み上げていた神父様が隣に置かれた箱の布に手をかけ引き現れたのは、透明な6つの球体が規則的にはめ込まれていた不思議な図形の描かれた板だった
「すなわち魔力とは5人の神々に与えられた祝福の量であり、これは個人によって大きく変わります。それを測ることが出来るのが、この魔力測定機と呼ばれる魔道具なのです」
魔道具とな!?
これはまた何ともファンタジーのお約束だが素敵な響きだ。ぜひ何かしら手に入れて色々と確認してみたい
「神々の祝福、いわゆる魔力と呼ばれるものはみなさんが生まれた時から個人差はあれど全て持っているものです。これは初期値と言われており魔力が大きいほど強い魔法や魔術を使うことが出来ますが、神々に感謝を示し何度も鍛練を重ねることで魔力の量を増やすことも難しいですが不可能ではありません」
そう締めくくった神父様は、魔力測定機の前に移動して手前にはめ込まれた球体にそっと手をおいた
すると手前の球体と描かれた図形が光輝き、図形の線にそって他の5つの球体へと光が移動し赤・青・黄・緑がまんべんなく光を放ち、その中でも一番奥の球体が銀色が一際輝いている
「魔力測定機はこのように手を置くと各魔力が反応するように出来ています。色によって魔力の種類が、光り方で魔力の量が測定できるようになっています」
初めての見るその光景にざわめきが起きる
なるほど、これは衝撃的だ。だから姉様や周りの大人も今日まで聞いても教えてくれなかったのだろう
こんな不思議で幻想的な様子を教えてもらっていたら、ミステリーの犯人を最初に教えられて興ざめしてしまうようなものだ
「では名前を呼んだ人から前に出てきてください。一人づつ測りますから呼ばれた人以外はあまり近づかないように」
ざわざわと収まらない生徒達に先生が釘をさすが、少し静かになったぐらいで興奮はさめる気配がない
測定機の正面から離れた神父様とその後ろに2人の新しい教徒らしき人物がまた現れ、何やら書類と筆記具を持って測定機の近くに立っていた
「アックス・トレパリー、前へ」
「はいっ!!」
先生に一番始めに呼ばれ生徒は緊張からか返事の声が上ずりながらも勢いよく声を出し、測定機の前にびくびくしながらゆっくりと近づいて行く
そんなに怖がることはありませんよと、近くにいる神父様が声をかけて彼を励ましていた
そんな最初の注目の的となる犠牲者いや測定者の彼は、黄色が一番光輝いて他の色も光っているが同じくらいの輝き、ただし全体的の光の明るさは先程の神父様とは比べ物にならないくらい淡い輝きであった
さて、ボクの魔力はどうなるのだろう
できることなら今後のために【悪役】に使えるのであれば嬉しいのだけれども




