6・新たな人生
ボクの名前はマイケル・アーコマン。愛称はマック
幼少期に病弱だったため甘やかされて育てられたせいか少しばかり人見知りで大人しい性格。だが家族のためと元気になった今では一生懸命に手伝いを行い率先して勉学にも励む努力家であり、それなりに愛らしい見た目をもつ無事に今年で6才となる子供
旧王都市ヴィルナに代々続く商会を営む父とそれを支えながらも働く美人と評判の母、すでに成人し父と共に商会で働く兄と母に似て可愛らしい看板娘と呼ばれる姉を含めた5人家族。優しくも働き者の従業員や使用人達に囲まれながらそれなりに裕福で幸せに暮らしている
と言うのがボクことマック
またの名をマカ・ナハウの今回の現状である
では、ボクのことをもう少し詳しく語ろうか
幼い頃は今では考えられないほどに病弱だったらしい。なぜらしい、と憶測かと言うとボクがまだ病弱だった4才の時に流行り病で生死をさ迷いながらも一命をとりとめてからは嘘のように元気になり、その生死をさ迷った後からマカ・ナハウとしての自我が目覚めた
なので病弱だったとゆう記憶はおぼろげで知ってはいるが、目覚めてからはこれといった病気にもならず元気に過ごしているので周りに心配されるほどボクには実感がないのだ
ーーこれは推測なのだが。その病気に心身共々に衰弱しきっていた本当のマックの魂を、埋め込まれていた私の魂が吸収することで今のボクとして生きながらえたのではないかと思っている
最初の人生の時にある友人が楽しそうに語ってくれた異世界転移とか転生と呼ばれるものではないかと考え、これは【正義】側の特権ではなかったのかと思いもしたが病み上がりに考え込んだものだから知恵熱を出してしまい、またベッドと仲良くすることになったのは余談である
ちなみにこの話は家族や他の周りから耳にタコが出来るのではないかと言うほど聞かされており、それもあってかボクでも分かるぐらいに周囲に甘やかされ今でも過保護気味に育てられている
病気を克服し元気になったボクはせっかくならばと外に出たがったが、つい最近までベッドと共に大半を過ごしていた病弱君。もちろんその願いが許されるはずも無く、一年くらいは使用人か姉様が何をするにしても付きっきりで一緒に行動しなければならなかった
残念ながらそんな些細なことで諦められる元の可愛い性格ではなくなったので、元気になったことをアピールしながら可能な限りの情報を集めることを目的に率先して仕事の手伝いを行い、簡単な絵本から姉様に読み書きやこの国の歴史を教えてもらった
そこで知ったこの世界はどうやら西洋風の文化でボクが初めてふれる魔法というものを利用した独特の文明と歴史を持ち、またダンジョンと呼ばれる特異な場所や魔物狩りを稼業として働く冒険者なるものが存在するという何ともお約束のファンタジーな世界であった
ちなみにこれらの情報は姉様や教育係としてつけられた使用人に子供らしく「おねがい?」や「ダメなの……?」と首を傾げながら上目遣いで愛らしい子供を演じて要求すればアッサリと教えてくれた
余りのチョロさに大丈夫なのかと別の意味で心配したボクは、決して間違ってはいないと思いたい
それから今年の誕生日がきて6才を迎えることになったボクは、もう大丈夫だろうと裕福層が通う学校へと入学することになったのだった
送り迎え付きであるが初めての一人での外出
よく知る家族や仕事の知り合い以外の人達との対面
何より学校とゆうボクと同世代の子供と複数人出会えるという体験は、父からこの話を聞いた時は思わずやったー!と叫んでしまうほどの喜びであった
学校へ行く事が決まってから入学当日までの1週間は、これから始まるであろう学園生活へのドキドキ感とワクワク感で胸を膨らませたボクは、家族からはもちろん周りからも祝福され幸せに浮かれまくっていた
入学当日も音程の外れた鼻歌を歌うほどで、送り迎えの使用人が微笑ましく見ていたがそんな事すら気にならないぐらいであった
周りからのみ甘やかされて育てられていたボクに、世界はそんなに甘くないぞと、世間の厳しさと社会の不条理を今後の学校生活で知ることになったのだが
「今日から通うことになったマイケル・アーコマン、6才です。マックって家族から呼ばれています」
よろしくお願いします。と軽くお辞儀をすれば教室内からはまばらな拍手がおくられた
途中入学することになったボクを、好奇心の眼差しから見る子やどうでも良さげな顔をして見る子、こちらをしかめっ面して見る子など様々だ
「ではマイケル。君の席は窓際のナタリーの隣だ」
先生から指差された席は教室の一番左端
隣のナタリーと呼ばれた少女がこちらに向けて手を挙げてくれている。壇上からその席に行き、右隣となる彼女に笑って挨拶をした
「はじめまして、マイケル・アーコマンだよ。マックって呼んでくれたら嬉しいな」
「はじめまして。私はナタリー・ベルベッサよ、よろしくねマック。私のことはナタリーって呼んでくれる?」
「うん、分かったよ。これからよろしくね、ナタリー」
大きな瞳の瑠璃色の目を細め、赤銅色の長い髪をなびかせながらナタリーも笑って挨拶を返してくれた
こうして面と向かって顔を見ると、美人と評判の姉様よりもかなり可愛らしい顔立ちだと少しばかり見とれてしまった
授業を始めます。と先生の声が届いてなければナタリーの顔に見とれていたままだった、慌てて買ったばかりの鞄から真新しい筆記具と紙束を取り出して前を向いた
転入生とゆうのはどの世界においても珍しいらしい
授業終わりの帰り際に他の生徒に囲まれ質問攻めに合うという定番イベントもこなし、なかなか初日から良い学生生活をスタート出来たのではないかと思う
授業内容に関しては名無し人生時代の知識が役立ち過ぎて、読み書きや簡単な計算などの知識を学ぶことは少なそうだが……
「マック様、どうでした学校は?」
「とっても楽しかった!姉様から聞いてたけど想像以上だったよ!!」
「それはそれは。楽しそうでなによりです」
出迎えに来てくれた使用人に聞かれ満足げに答えれば、彼もつられて嬉しそうに話を聞いてくれる
「でね、来月末に教会行って魔力測定をするんだよ。姉様も詳しくは教えてくれなかったけど、どんな感じなのかなぁ」
そう、魔力だ
この世界にはボクの知らない魔力を操っておこす、魔法や魔術と呼ばれる未知の力が存在するのだ




