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わたしの隣に立つ彼

 6月が終わろうとするころ、俺がやっとレベル41におなりみんなとペナルティ無しでパーティーが組めるようになったとき、サクラはもう48、イモとトモはまだ50だった。

佐倉さんは病院の部屋から一歩も外へ出れない。

だからずっとゲームにログインしている。

俺は彼女と毎日ゲームで会っているが現実の彼女と長く会ってない。

「外からのアレルゲン物質は少しでも減らしたいからね」

「ゲームにはログインできるから、いつもどおりに接してやって欲しい」

主治医の先生と彼女のお父さんにそう言われて、ゲームの中では今まで通りにしている。


 一方リアルの俺、巴さんの生徒会の仕事は新役員に引き継がれたというのになぜか忙しいらしくて、毎日俺と陽菜と二人で登下校している。

昼の弁当は陽菜たちにつくっておもらってるし、いつも腕を組んだりぺたっとくっついている俺たちが、まだキスもしたことが無いとは回りの誰も、思ってはいないだろう。

まぁ俺がチキンなだけではないのだが、いや、やっぱり俺がチキンなのか。


 そしてあるときから、俺たちの登下校にもう一人が加わるようになった。

真田大輔、体がでかくて一つ上の学年だと思っていたら、一つ下だった。

行事の代替休日に陽菜と立ち寄った銀行で、五人組の刃物を持った強盗とに出会い、俺が二人、真田が三人叩きのめした。

俺の方が少ないがこれは陽菜をかばっていたからだ。

事実、俺が通っている古武道の道場に真田も通い始めたがまだ一度も俺は負けたことが無い。

他では負けたことがないとか言っていたが、俺が最強なだけだ。

以外に近くに住んでいたこいつは、なぜかずうずうしくも俺と陽菜の間に割り込んで通学するようになっていた。

まぁ話し上手で面白いやつなんだがね。 



 鍛冶のほうのレベルはサッパリ上がらないが、細工のレベルは上がりあの指輪が作れるようになった。

今出来上がったばかりの二つの指輪を眺めていると、いきなり後ろから声がかかった。

「先輩、俺とマホちゃん用の指輪が出来たんですか、俺が用意しなきゃっと思って購入資金を溜めてたんですが、そっちはダブルベッドの購入資金に」

パーン。

PKモードでふり返りざまに放った棒の一撃が決まる。

ダメージは全く入らないのだが派手に吹っ飛ぶユキムラ、もちろん真田だ。

レベルはトモたちと同じ50の野武士。

防御力は騎士や戦士に劣るがスピードははるかに上を行く。

俺たちのクランは、募集して人数を増やす予定が無かったのだが、いつのまにかこいつがトモに頼み込んで入り込んでいる。

そして俺がブルーゼファーのクランマスターを譲り受けたので、俺の屋敷がクランハウスをかねる事になり、こいつが自由に出没するようになってしまった。

それに伴って、俺=マホもこいつにはばれてしまったが、俺が嫌がるのを承知でこいつはたまにこんな冗談を言ってくる。

一度死ぬくらいじゃ直りそうも無いな、三回くらいぶち殺してやろうか。

後二つ指輪を取り出して見せ付ける。

「このゲームは結婚に人数制限がないからね、これは、俺とトモとイモとサクラの分。式には招待してやるから来てくれよな」

「リアル美人ばかりとはなんという資源の無駄遣い、俺も入れてください」

「…」

「お願いです、殴ってもいいから無視しないで」


 俺のレベルが上がり、また性格に若干問題はあるが優秀な固定タンカーが加入して、俺たちの行動範囲は広がった、が…。


 上級者のフィールドにはPKに制限の無いコンバットゾーンがいくつかある。

その一つに俺たちは来ていた。

「お~いまだ~?」

「まだみたいだね」

でかいボスに6人パーティが取り付いている。

ブルートルネード、トモさんが作ったクランだった。

ボスのHPは3割くらい。

農園クエストに必要なアイテムがそのボスから取れる。

そしてボス、カイザードラゴンのHPが0になり消え去る。

「おつかれ~、クエストです次代わってください」

「あ、トモさんおひさ」

「ロロさん久しぶり、うちのマホのクエストで、ここのドラゴンから髭をドロップしないといけないの。次ぎ代わって」

「だめだ、ここのボスにクエストなどない。嘘をつくようなやつに代わってやる必要は無い」

フルプレートメイルに身を固めた重戦士が出てきた。

武神忠勝、色はばらばらだが3割くらいをミシック装備で固めている。

俺はクエストウインドウをみんなに見えるように表示した。

「これです」

「確かに有るわね、忠勝さん、カイザーは続けて出ないから代わってあげてもいいんじゃない?ちょっと休憩入れたいし」

「そうだな、一回だけだぞ」

俺はもともと神とか王とか自分の名前に入れるやつは嫌いなんだが、何様なんだこいつ。


 なんだかんだしているうちにミニドラゴンがポップする。

2段ぐらいカイザーから落ちる小さいドラゴンは、俺たちクランの総メンバー5人と4匹でフルボッコにされて消えていく。

問題なく髭がでたのはいいのだが、システムチャットが高らかに宣言する。

『マホがミニドラゴンから【竜の宝玉】を取得しました』

ミシックのネックレスが出た。

ガッ

俺が飛び退いた後に振り下ろされる剣、それを止める剣。

「何をするんだ」

「今出たのをよこせ」

ユキムラと武神忠勝は場所を入れ替え、一歩踏み出そうとする俺をユキムラの手が制する。

「一対一でけりをつけよう」

「いいだろう」

それで向こうのメンバーの動きも止まった。







 






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