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第三話 離れられない
彼の優しさは、時々ひどく残酷だった。
不安にさせるくせに、
突き放すくせに、
最後には必ず、
優しく抱き寄せる。
「ごめん」
その一言で、全部が許されてしまう。
分かっている。
これは、きっと普通じゃない。
愛されているはずなのに、
どうしてこんなに苦しいのか。
答えは、ずっと前から出ているのに——
私は、見ないふりをしている。
彼の言葉を信じて、
彼の温もりに縋って、
また同じ夜を繰り返す。
離れた方がいい。
そう思うたびに、
彼の顔が浮かんで、
声が蘇って、
体が、動かなくなる。
「好きだよ」
たったそれだけで、
壊れかけた心は、
また彼に繋ぎ止められる。
私はきっと、
愛しているんじゃない。
——依存している。




