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第121話 ラブレター・フロム・ミヤビ

 更新待っていてくれた皆様、

 お待たせしまくりまして申し訳ないです。

 第11章、連載再開です!!

「そっかぁ。まあ……しょーがないよな」


 俺からの報告を受け取るなり、越後長尾の次期当主で前世での弟・義仁(よしひと)あらため長尾景信(ながおかげのぶ)は気まずさを隠すように笑い飛ばす。


 天正3年(1575年)6月。俺達は越後直江津(えちごなおえつ)で米子からの船を降り、甲斐へと戻る前に春日山城に居る長尾景信の元へと向かった。今回、毛利訪問で向こうでの滞在期間はたった5日間だったとはいえ、行きと帰りの船を合わせると約2カ月以上の不在だ。その間に何か東側(こちら)で動きが無かったかを把握しておくためでもある。


「兄貴の嫁さんが予想した通り、輝彦(アイツ)は兄貴に置いてかれたの逆恨みしてんだよ。自分もずっと我慢してたのに! って。今でこそ俺とは普通に接してくれてっけどさぁ、アイツ中学のあいだずっと、家族の誰ともほとんど口きかなかったんだぜ」

「そう、だったのか……」


 その頃が俺も自分の事で精一杯だったから全然気付いてなかった。悪い事したな、弟には……


「そりゃそうさ。俺だってあんな家に居たくなかったからな。平気だったのはあの人と血が繋がってる拓兄ぃぐらいじゃねえの?」

 

「……ふぇっ!? それって、どういう?」

「うっそ、まさか兄貴、知らなかったのか!? 

 

 ……一応、ここは育ての父親って呼んどいてやるか……あの男な、拓兄ぃが生まれる前に母ちゃんの不倫相手だったんだよ。それを俺らの親父には悟らせずに生まれたのが拓兄ぃ。つまり、あの男と血が繋がってんのは拓兄ぃだけってこと」


 

 うっそおおおおおおおん!!!?



 今まで何にも知らなかったわ、そんな話!!



 どおりで俺があの『育ての父親』になーんか微妙な嫌悪感があったのに、一番上の拓兄ぃは平気だったわけだ。


 義仁と輝彦がその事実を知ったのがいつかは分からないが、その事実を知りながらも年齢的・経済的な理由で家を出る事が出来ないままで過ごさなかったとしたら、そりゃあ先に出て行った俺の事を恨んでも仕方ないよな。


 もしそうだとしたら、目の前に居るもう一人の弟(義仁)からも恨まれているかもしれない。


「お前は……俺の事を恨んだりしてないのか?」

「うん、俺? まあ俺はこうやってのらりくらりと上手くやってくスキルがあるからさぁ、全然平気だったけど。


 あぁでも、もし今更んなって反省とか後悔してるとしたらその分、戦国(こっち)で俺のために働いてくれよな♪」



 うん、やっぱりコイツはコイツだったな。恨まれてなくて良かった……ような良くなかったような。あとでどんな無茶を要求されんだろ。



「ところで、俺が毛利へ行ってる間に何か動きはあったのか?」


 気を取り直して帰国前に春日山(ここ)に寄った本題を尋ねてみる。すると彼はまっすぐに座り直し、真剣な表情で話し出した。


「ああ。多分帰ったら兄貴のところにも届いてると思うけどな、京都に居る足利義昭(バカ殿)からうちの長尾輝虎(かーちゃん)トコに書状が届いた。いよいよ織田と手を切って戦うから、織田に敵対する大名は自分に味方して京の都に駆け付けろ、って」


 

 そう、弟によると史実上ではもう数年前に起こってるハズの出来事らしいのだけど、初めは利害関係が一致して京の都を中心とする畿内に攻め上った織田信長と足利義昭だが、当初の目的を達成し権力を持った所でお互いの主張が対立。


 そして足利義昭は織田信長を【逆臣】として討つべく各地の足利家の威光が及ぶ大名たちに働きかけ、一大包囲網を築いて信長と戦う事を決める。


 

 歴史上では【信長包囲網】と呼ばれる出来事だ。


 

 ただそれは中心人物であった武田信玄の死によって包囲網が瓦解、その後反撃に出た織田・徳川によって長篠の戦が起こって武田家の滅亡に繋がったそうなのだが、既に信玄は亡くなってるし領地を引き継いだ俺には足利義昭に従う義務も何もない。そもそも顔を合わせた事すらないし。


 むしろその状況で『自分の臣下として信長と戦え』と言ってきてるのだとしたら、どんだけ面の皮が厚いのかと思う。いっぺん顔を拝んでみたいわ。そのためだけに京に攻め上る気はサラサラ無いんだけど。どうせ白塗りで麻呂とかミヤビとか言ってる蹴鞠好きが出てくるんだろ。


 

「俺も兄貴と同意見(おなじ)であんなバカ殿の為に要らん戦なんてしなくて良いと思うんだけどなぁ。でもかーちゃんはこの機に京へ向けて攻め上がるべきだって乗り気で、それに北条家と義輝将軍もやる気満々らしい。兄貴が戻り次第、評定を開くってさ」


 戦の理由はどうあれ、ここ数年の間ずっと織田軍と越前を巡って争っている長尾輝虎が乗り気なのは分かる。だが、兵を出しても得るものがあるとは思えない北条家と、自分こそが正統な足利将軍家だと言い合っている義輝将軍が乗り気なのはどういう理由かは分からない。その理由を聞いてみる事も含めて、評定に参加してみないと分からない事だらけだな。



「とりあえず兄貴たちの乗った船が直江津湊に着いた段階で、ウチの連中がもう将軍のトコまで伝令に向かってるからな。一旦帰って支度を整えるなら早く戻った方が良いと思うぜ」


 いや弟よ、キミ段取り良過ぎでしょ。せっかく帰ってきたんだからちょっとぐらいゆっくりさせてくれよぅ>< 相変わらず兄遣いの荒い弟だわ。


 そんなワケで俺は西から戻るなり、次の戦いに向けての評定に参加する事となった。

読んでいただいてありがとうございます。

先に期待、と思っていただけましたら是非

コメント・いいね等いただけるとハゲみ……

いや創作モチベ上がりますのでよろしくお願いいたします。

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