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先駆者の導き  作者: 腹ぺっこ
第四章 混迷の坩堝
97/217

4_06_夢想の都 本日のワンワン

こんにちは。


ーーーーー


ラ「ワンワンて」

ソ「深夜の三時に考えたサブタイトルらしいです」

ハ「そこは寝ようよ」

マ「ねえ、ワンワンってルイスの事?」

モ「犬として扱われる日常を描いた、って感じかも」

ル「はあ!? そんな内容で1話使うのか!?」


ーーーーー


使いません。





ドリポートの闘技場は主要エリアの第一と第二防壁間に聳え立っており、その広さは10万人を収容可能なほどの規模である。

屋根は無く、円形の闘技場から見上げれば吹き抜けるような青空を望む事が出来るはずだ。一応は魔具による雨除けが可能であるが、本日は晴天であるため使わなくて大丈夫そうだな。


そして今日から5日間は3大魔法学校の対抗試合に用いられるため、動員される観客は貴族が多くなっていた。



といっても、この闘技場に足を踏み入れる者は貴族の比率が高いわけで、普段と大差ないんだけどな。


ただ、貴族という一括りにしていた身分を更に細かく分けるのであれば話は違ってくる。



「なんっか空気がピリピリしてんな」

「あそこさ、今にも倒れそうだぜ?」



俺とラグは素直な感想を述べながら控え室で周囲を見回している。


そこには今回の対抗試合へ出場する各学校の生徒達が待機しており、その様子は様々だ。



特に緊張度合いが高いのは一般生徒で、交流試合に出場する生徒だな。


なにより気の毒なのは、交流試合だとしても一般生徒が出場するのはグランバス魔法学校だけだ、という話だ。



他は下級貴族っぽかったり、上級貴族だったりで、本当に尊い身分とやらが主役であると主張しているかのようである。



そんな場に迷い込んだかのごとく控え室の隅で固まっているのが一般生徒であり、中には震えている者も居た。


改めて思い知ったのだろう。この貴族達の中で、誰かと戦う羽目になると。



まあ最悪怪我させても処罰なんて皆無だけどな。度が過ぎてなければ。


けども何かしら根に持たれそうとか考えるんだろうか。

一応はソマリとハイクが側で励ましているんだが、あまり効果が高いとは言えないな。



「まあ、その内吹っ切れるだろ」

「だな。今回は一般も活躍する主役の一人、って理解するだろうぜ」



そだな。


たしかに対抗試合は貴族が、それも名門が主役の行事である。そこは否定しない。



けど、ならば一般の生徒が無関係かって言うと、そうでもない。


なにせ出場しているのだ。選抜を勝ち抜いて出場を果たした生徒がな。



彼らは本当に実力を有している。昨年までは学校の在り方が貴族中心であったため、爪を隠していた者達だ。


人数としては3人であり、個人戦の出場人数が各校で約10人なのだから3割も食い込んできたのである。



依然として貴族の生徒が高い比率を保っているグランバス魔法学校において、しかも今年から一般の入学者が多くなったとは言っても新入生だ。



彼らは最上級生が2人と三年生が1人。つまり圧倒的少数派だった時代を生き抜いて、今回は圧倒的多数の貴族達を相手に勝ち残った猛者である。


一般の新入生は個人戦の一次選抜で全員が敗退したからな……その難易度は想像に難くない。



てことで、彼らには自信を持ってもらいたい。貴族と同等以上の力を有しているんだから。



しかも今回は交流戦として個人の試合を行うのだから、どうしても注目が集まる。活躍次第ではお偉いさんからスカウトされる可能性だってあるくらいに。



そこからの飛躍を狙って個人戦に出場しようとする貴族が殆どなのだから、どれほど有益なアピールチャンスであるか、語らずとも分かろうというものだ。




……って事をクリストフ先輩から聞いたな~、と思い出しながら考えていると、突然に背後から呼びかけられた。



「そこの君達」

「「ん?」」


振り返ると生意気そうな顔をした貴族らしき生徒が立っていた。ギッさんが可愛らしく思えるほどの生意気っぷりである。


背は高くて赤い短髪。少し柔らかい表情を見せているけども、なんだか胡散臭いな。

昨日の前夜祭で見かけた気もするし、気のせいかもしれない。



「修練世代三期、アーカイン・フラムグラスだ」

「ノーマン・グラファイ」

「ノートン・グラファイ」


それぞれ自己紹介をしてくる。中央はアーカインと名乗った名門六家が一人、そして左右で少しだけ後ろに控えているのが配下なのだろう。


ノーマンとノートンは名前が似ている上に家名も一緒。そして容姿も似ていた。

双子なんだろうか……首元に黒子のある奴がノートンだな。



てかさ、服装まで同じにしたら余計に判別できないだろ。


そうツッコミを内心で吐き出しながらも、挨拶されたのだから応えないとな。



「ども、ルイスだ」

「ラグニーロ」

「君達が本戦に出場するという一般生徒達だろう?」

「あ、はい」



やはり話題になっているのだろうか、気付けば俺達に視線が集中し始めている。


「素晴らしい、実に素晴らしい」

「?」


いきなり褒められた。嬉しくはないな、理由も不明だし。



「そうだろう? 周りを見てごらん。こんなにも青い血が集まっている場所で君達は……」


そこまでアーカインが喋った瞬間、俺とラグの目の前にグラファイ家の二人が踏み込んできた。



「「っ……」」


腹を殴るような姿勢でグラファイ家二人が静止し、およそ寸止めのような状態で動かなくなる。


いきなり何なんだ……そう戸惑う俺とラグに、アーカインは拍手を贈りながら宣う。



「君達は、下賎の血だというのに平静な表情で立ち尽くすのだから、称賛に値するよ」


それとも……と付け加えながらアーカインが顔を少し寄せてくる。



「全く動けないほどに怯えているのだろうか。だとすれば今すぐ棄権したほうがいい」



グラファイ家二人が拳を引き、再びアーカインの後ろに控えた。動きが揃ってるなぁ。



「この二人と戦えば、君達は降参の言葉すら言わせてもらえないからね。では」



言いたいだけ言って踵を返すアーカインとグラファイ家の三人。


ひとまずラグと手でサインを交わしながら相談開始。



ル(やる? やっちゃう?)

ラ(だな。顔に1発だ)

ル(おっけ、俺右な)



てなわけで歩み去ろうとするグラファイ家二人の背中を追いかけようとしたら、その足が止まった。


シャロンがアーカインの正面に立ち塞がったのだ。腕を組んだ状態で背の高いアーカインを見上げている。



「おお、シャロン様ではありませんか」

「……」

「どうされましたか? まさか何か私に含むものが?」

「……」


シャロンは何も応えない。ただただアーカインの顔を見上げている。


「ふ……シャロン様のようなお美しい女性に見つめられるのは光栄ですが、私も暇ではありませんので。失礼します」



アーカインがシャロンの横を通り抜けていく。様付けで呼んだり敬語だったりするのは、アーカインが旗頭じゃないからだろうか。


と、奴らが横を通り抜けてから、シャロンは近くに佇むチーム仲間へ話しかけた。



「大きい犬だったわね」

「は、はあ……」


話を振られたチーム仲間は困惑顔である。そりゃあ名門を犬呼ばわりしているのだから、同意したくはないだろう。


が、シャロンは返事を求めていない。まるで独り言のように、しかし聞こえるように呟いている。



「見てみなさい。あの二人も突然ワンワンと吼えられたものだから困惑しているわよ?」


俺達を示しながら語るシャロン。そしてまるで姉のような雰囲気で俺達にも話しかけてきた。



「大丈夫よ。この場に連れて来られるくらいなのだから、しっかり躾けられているはずだもの。噛みつきなどしないわ」



などと言い放ち、シャロンの背後では睨むようにアーカインが振り返っていた。


おうおう、今にも噛みついてきそうだ。



「犬は怯えると吼えるのだから、許してあげなさい」


まだ言うのか。とことん挑発する気だな。


……しゃあない、乗るか。




「「ワンワン」」

「あなた達まで犬になってどうするのよ!」

「良いツッコミだ」

「だいぶ掴んできたよな」



シャロンも段々とノリが良くなってきたな。喜ばしい事である。




「……行くぞ」

「「はっ」」


アーカインは何も言い返さず控え室の端へと移動した。不機嫌そうに椅子へ座っている。



「軽率な行動は控えなさい」


と、シャロンが俺達に近寄り注意してきた。


「何の事だ?」

「手で合図してたでしょう? 不穏な気配しか感じなかったわよ」

「あ~……大丈夫だって」

「だな。ちょっと顔に一発入れようとしただけだ」

「それが軽率だというの。ここはグランバスではないわ」



身分差が直結する場だと心得なさい、と注意された俺達は渋々ながらも頷き、シャロンは離れていく。



「待たせたな。組み合わせ表を持ってきたぜ」



ちょうど良いところにケートス先輩が控え室に戻ってきた。



各チームに一枚ずつ渡されたのは、試合のルールと組み合わせが表記された紙である。


裏には予定表があるな。今日の予定は開会式と来賓紹介、そして交流試合を二試合挟んでから本戦の一回戦を実施するそうだ。



今回は個人戦を交流試合、チーム戦を本戦として呼称し、交流試合の出場者は32人。本戦は12チームだ。



どちらもトーナメント形式での試合になるため、交流試合は三位決定戦を含めて32試合となる。



本戦は11試合となるんだが、二回戦終了時点で3チームが残るからな。


その内の1チームは自動的に決勝へと進み、残った2チームで三回戦を行う。これが三位決定戦の扱いでもあるんだ。



で、自動的に決勝まで進めて1試合分は楽できるチームに関してだが、これは前年度の優勝校が獲得できる。


つまり準決勝となる三回戦は勝ち残ったチームによって組み合わせが決まるんだ。



前年度の優勝校はドリポートの魔法学校なのだから、ここの学校から選出されたチームが勝ち残っていれば自動的に決勝進出。


残っていなかったり複数チームが条件を満たしていれば抽選で決めるのである。



そういうわけで、続いては試合のルールだ。


出場者には特殊な魔具が貸し出される。物理軽減を付与する魔具と魔法軽減を付与する魔具の二種類だ。



これらは即時発動直通式・魔石充填・連結型であり、本来は一つの魔具を文字通り連結して扱うことが出来る。


魔具に内蔵されている魔石の魔力が続く限り軽減効果が付与され続けるわけだが、これを残命として呼称するそうだ。


それぞれ物理残命と魔法残命だな。



で、一つの残命が尽きたら連結した次の残命が機能し始めるという仕組みだ。

幾つの残命が残されているかは魔具に備わっている照明が発光しているから見て取れる。



というわけで、出場者は残命が尽きるまで戦ってもらう事になるのだ。



物理か魔法どちらかの残命が尽きた時点で脱落となり、基本的に場外は無い。



試合会場がリングの上であるのは違いないけど、観戦席の壁まで範囲があるからな。


場外は即ち観戦席まで吹っ飛ぶしか条件が無い。



ケートス先輩なら吹っ飛ばせるだろうけど、そこまでの威力で殴ろうものなら残命が先に尽きるだろうと思う。




ともあれ、試合を行うリングも種類がある。


交流戦と、本戦の二回戦まではシンプルに耐魔コンクリだけで作られたリングであるけど、本戦の準決勝および決勝では、シンプルのままか障害物ありかを選ぶことが出来るんだ。



障害物ありのリングは岩石多めだったり池ありだったりと、様々な種類が用意されている。


障害物を利用したいならリングの選択権を獲得しないとな。逆にリングを選べなかったチームは残命数を選ぶことが出来る。


残命数は最低2つから最大5つまでであり、短期決戦狙いなら少なめを選べばいいだろう。チームの強みに合わせたらいい。



まあ、リングの選択は本戦の準決勝か決勝のみだ。

それまでは残命数の選択権が一方のチームに与えられるだけなのだから、そこまで気にする必要も無いかな。



勝ち残る自信があるなら今の内に対策を練ればいいけどさ、まずはシンプルリングの試合だし。




ちなみに、武器は残命魔具で保護されない。剣で魔法を打ち払うだけで残命が減るとか、話にならないからな。



一度武器を持たずに残命魔具を起動させてから、武器を持つ。そうすれば武器だけ保護されない状態になるんだ。



出場者が持ち込む魔具だったりも残命保護対象外であるため、相手の装備を破壊する事も戦略の一つである。自身の魔法で保護するのはアリらしいから一筋縄じゃないけどな。



なお、残命魔具は魔石1つ分の軽減量が中級魔法程度に設定されている。上級魔法なら3つ分は消し飛ぶから回避必須だろう。



もし残命が1つなのに上級魔法を喰らいそうになった場合、ギブアップと叫べば良い。


その言葉がキーワードとなっており、緊急用に設置されている別の魔石によって、上級魔法1発分の障壁が展開される。



脱落となってしまうが、障壁なら打ち消されるし怪我は無いはずだ。


死んでも降参したくない奴は知らん。運営側が救出するだろ。



ちなみに軽減効果と障壁の違いだが、まあ文字通り軽減するか打ち消すかの違いだな。

軽減効果であれば魔法の等級に応じて無力化に近い状態まで軽減してくれる。

しかし魔法が無くなるわけじゃないから、何かしらの影響を受けるんだ。


一方の障壁は完全に無力化する。魔法自体を打ち消して何も無かったかのようになるな。


で、軽減効果は身に纏うから動いても大丈夫だけど、障壁は固定の範囲に展開する。

そのためギブアップで障壁を展開するなら範囲外に出てはいけない。




以上の説明は本戦への出場が決まった選抜翌日に職員から説明を受けている。


残命魔具で物理も魔法も軽減されるとはいえ、痛みはあるし吹っ飛んだりもするから注意だな。






「なんか今日は交流試合が少ないっすね」

「目玉となる試合が後になるからな。そこで合間を縫って試合させるんだろう」


初日で本戦の一回戦は終了する。


そして二日目では交流試合の一回戦と本戦の二回戦が終了。


三日目に本戦の準決勝を消化し、交流試合は二回戦を消化だな。


四日目は交流試合の三回戦を消化して小休止、十分な休息を取ってから準決勝だ。つまり本戦は無し。


で、五日目に交流試合の決勝と三位決定戦。最後に本戦の決勝となる。



「合計で43試合の内、最終日は3試合しか実施されない」

「つまり4日間で40試合も消化するんですよね」

「とは言っても本戦の試合時間が長いだろうからね。初日で半分も消化するから大丈夫だよ」

「夕飯までには宿へ帰れるな」

「おいおい、今は試合に集中しろよ?」

「「「「う~い」」」」



・・

・・・




「これより、3大魔法学校による対抗試合を開催する!」


万雷の拍手が響き渡り、リングに立つ俺にとっては周囲から音の振動まで伝わってきそうなぐらいに感じる。



開会の音頭を取っているのは王家であるらしい。

第三王子がどうたら、って声が周囲から聞こえてきてたからな。



で、そんな王家から対抗試合の開始が告げられ、続いては来賓紹介だ。



名門で継承世代、もしくは現役世代として活躍している家族が招かれており、そこに付き従う上級貴族やらまでは紹介されなかった。



中には現役世代の当主が見に来ている場合もあり、というかドリポートが管理地域であるフラムグラス家だった。




ゼグノート家からは継承世代二期というエグラフさんの叔母が登場。年齢的には30近いが綺麗な人だと思う。



で、ローレライ家からは現役世代の三期と……継承世代五期のルドルフだ。


紹介時に立ち上がった動きは隙など微塵も無い、普段から気を張り続けているだろう所作である。



「やっぱ、強いな」

「だね」


隣に立つハイクと小声で話していると、ケートス先輩まで混ざってくる。


「新入生の頃しか見る機会は無かったが、魔法も強いぞ」

「ローレライ家は水系統が多いんでしたっけ」

「そうだ。しかもルドルフは武術の才能まである」



遥か格下相手には遠距離からの魔法のみ、それなりの強さを持つ相手には接近戦からの至近距離魔法で戦う傾向らしい。


どちらにせよ瞬殺であり、まともに戦える生徒は碌に居なかったとか。



「今は俺やエグラフとかの上位5人で五指と呼ばれているが、当時はルドルフの一強だったな」

「ほぉ~」



貴族として見るなら武力より知略、そして社交性が勢力の強さに影響しやすいから一強とはいかなかったが、ルドルフが在学中の対抗試合ではグランバス魔法学校が優勝する機会も多かったとか。



「まあ、今更ルドルフの強さを知っても意味ない」

「そっすね。試合に出るわけじゃないんだし」



てことで来賓紹介も終わり、まずは交流試合が2試合実施される。


試合が次に控えている者だけ控え室に戻り、他は観戦席へ移動となった。



観戦席は少し小高い場所に王家が座り、その左右をフラムグラス家とローズ家が挟んでいる。

あとは間に一般人や各魔法学校の下級貴族と一般生徒達が座ってるな。

この配置を繰り返して、名門六家勢力が均等な間隔を空けて並ぶようになっていた。



「王家の左右は前年度の優勝と準優勝の名門になる」

「どっちも同じ名門の場合は?」

「その場合は同じ学校の名門が並ぶな」



細かく決めてんだなぁと、感心よりは呆れてしまった。

好きに座ればいいじゃんよ。



ともあれ俺達はローレライ家とゼグノート家の間に挟まれた配置へ座る事になるらしい。

そこまで移動すると、ジャホースが隣に寄ってきて話しかけてくる。



「緊張しなかったか?」

「別に? なんで?」

「嘘だろ……あんな中央で並んでたら俺なんか息できなくなるぞ」

「大袈裟だな」

「本当だって! さっきヤークが呼吸不全になってたぐらいだ!」



それこそ嘘だろと思ったものの、少し向こう側に座っているのがヤークであり、今も息苦しそうだった。隣のオールトが背中を摩っている。



「あんな顔ぶれの中で戦うんだよな……?」



ジャホースが心配そうに周囲を見渡した。


そこには確かに国を代表する者達が観戦席に腰掛けているわけで、更には王家だって来ている。


今までは関わりなんて持つことが無かった上流階級の者達だ。来ているのは一部でありながら、それだけで果てしない重圧が感じられるのかもしれない。



「そう言われると、なんだか緊張してくる気がしますね」


ソマリの顔色が少し悪い。ジャホースの緊張が伝染したのかもな。


「ソマリさ、よく考えてみなって」



ハイクが何やら語りだすようだ。周囲を見回しながら楽しそうにしている。


「これほどのお偉いさんが集まって、身内が戦う姿を見ようとしてるんだよ?」

「そうですね……」

「で、俺達はといえば前代未聞の一般生徒として出場。きっと対戦相手は幸運だと思うだろうね」



なにせ一般なのだから。碌に装備も充実していないだろうし、ましてや5人中4人が新入生。


「応援してる親御さんも一安心して、これなら一回戦は余裕だなと見ているわけ」



ソマリの顔が訝しげなものになってくる。たぶんオチは予想したことだろう。


「そこを一般生徒達が叩き潰す。どんな反応をするか楽しみだよね」

「どこがですか!」



どうやら緊張は解れたようだ。こうなるべくしてなったような語り方だな。



「てかさ、ハイクは貴族だろ」

「もう一般でよくない? 仲間はずれとか嫌だし」

「……そんな理由で身分捨てるのはハイクぐらいだよな」


まあ、いっか。たしかに一般みたいなもんだ。いい加減にこのやり取りも飽きてきたし。



【お待たせいたしました。交流戦一回戦、第一試合を始めます】



ソマリが普段の調子を取り戻したところで放送が響き渡る。


周囲の喧騒も落ち着き、全くの無音ではないものの静かになったな。



俺は目の前で繰り広げられる試合に集中しようと、入場してきた選手に目を向け直したのであった。



次回・・・夢想の都 対抗試合 初戦

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